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タイトルは最後に考えるタイプなので未定 #1

 ぱしゅ。としゅ。とすん。
 ここでは、さまざまな音が飛び交う。
 小さな店に、そう多くはない人々。
 そのなかでも、今私の隣にいるこの女性は一際恰好いいと思う。特別容姿がいいわけではないし、年齢はうちの母親と同じくらいだろう。まぁ言ってしまえば普通のおばさんだ。
「飛鳥ちゃーん? どうしたの、ぼーっとしちゃって」
 私の隣にいる女性、京本さんが声を掛けてきた。
「あっ、すみません。ちょっと考え事してました。京本さんのこと、考えてたんです」
「あたしのことを? 飛鳥ちゃん、やっぱりちょっと変わってるよね」
 京本さんは周りも気にせずケラケラと笑う。こういう良い意味でフランクなところが好きなのかもしれない。
「いやぁ、私たちってどうやってこういう関係になったんだろう、ってつくづく思うんです。親子くらい歳が離れてるのにこうも気が合うもんなんですね」
「ふむふむ、なるほどねぇ。確かにそれは言えてるね。あたしも何でかわかんないもん」
 ですよねぇ、とフンフン頷くと、京本さんはまたケラケラ笑った。

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待ちに待ってて

君に渡すつもりだった鈴は
まだ僕の手元に残っている

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越冬

泉のほとり
震えている人魚をみた
目があって
長い髪を翻えすと
涼しい顔で水中へと帰っていった
イメージを守るのも大変だ

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恐竜くん

恐竜くんには眠れない夜に会える。まぶたの裏に現れるものだから、一応目は瞑ってないといけない。いつかの眠れない夜、ずいぶん打ち解けた恐竜くんがカラカラと言ってきた。

「ぼくの父さんに会わせてあげる」

のそのそと歩む恐竜くんに合わせてゆっくり歩く。私はこの速度で歳を重ねていくのだなあ。着いたよ、と丘の上、広がるのは海。
海…が父さん?

「は、はじめまして!
恐竜くんにはいつもお世話になってます」

カラカラと笑う恐竜くんに見守られながら、何かを思い出せそうな気がした。大事だったこと。

「きみも父さんって呼んでいいよ」

「ほ、ほんと。ありがとう」

帰り始める恐竜くんに慌ててあとを追う。恐竜くんは大きなカラダをしているけれど、だんだんわかってきた。優しいこと。こわがりなこと。

背後には海。父さん、私たちの。

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対怪談逃避行2

『君の手にあるその双眼鏡。なかなかゴツくて倍率も高そうじゃないか。たぶん、真夜中くらいかな。君は部屋の窓かどこかから、その双眼鏡で街を見ていた。合ってる?』
その通りだ。そして……。
「そして、遠くを見ると、何か虫のようなものが見えた。何かと思ってよく見ると、明らかに人じゃない男の子が手を振りながらすごいスピードで走ってきてた。合ってる?」
「うわ、喋った」
「うん、面倒になってきてね」
「さいですか……。まあ、当たってます」
「やった。で、こっちに来てる。目もバッチリ合っちゃってる。奴の狙いは明らかに自分。それで家を飛び出して逃げてきたってわけか」
「……はい。なんで分かるんですか?」
「なに、ネットに似たホラーの小話があった、ただそれだけさ。まあ、あれを読んだことのある僕からすれば、夜中に双眼鏡で外を覗くなんて、絶対やりたくないけどね」
「………夜景を見ていた。ただそれだけだったんです」
「ふーん。やっぱりソレ使うと違うんだ。まあ問題はそこじゃない。『あれ』をどうやってやり過ごすかだ」
それを聞きたかった。思わず前のめりになって訊く。声はどうにか小さくできた。
「ど、どうすれば良いんですか?」
男は腕を組み目を瞑り、カッ、と目を開いて言った。
「まったく分からん」

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甘い甘い砂糖菓子のような

今年もまたこの日がやってきて
きみは“おとな”になった
きみは、おとななんかじゃない
って言うかな
でも私、おとなになったきみに会うのが楽しみで
次はどこに行こうかと考えたりして笑っている
きみは本当に素敵な人
美味しいお菓子を作れるし
笑顔で私を癒すことができるし
はしゃぐ私を見ていてくれるし
きみに出会えて一緒にいる時間が
何よりも嬉しくて
きみがくれる幸せの後味が
甘く甘く残っているから
きみにも幸せになってもらいたいんだ

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夕焼け雲

夕焼け雲
まぶしいほどにひかる光

夕焼け雲
私の心をスッキリさせる

夕焼け雲
明日の幸せいのってる


これが僕が3年程前に市内の企画に投稿し、採用されたものです。カッコ悪いな笑

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つき (2)

「貴方は…俺ですか」
「はぁ…?覚めたばかりで混乱しているのでしょうか。ゆっくりお休みください」

駄目だ。

でも、確信はある。
こいつは、絶対に俺の身体をのっとっていた。
ただ解らないことがひとつある。
怪我していた時はあいつの身体だったのに、目覚めた時は俺の身体。
夢だとは到底思えないが、色々と証明がつけられなかった。
次にあいつ…真月が来たのは、3時間後。
「体調は如何ですか」
向こうの質問など無視して攻め寄る。
「嘘を吐くな。お前は俺の中に入り込んで怪我をしたのち、俺から出て来て今ここに居る。
そうだろう?」

「…お身体の調子を伺いたいのですが」
向こうの口角が若干下がり、確信する。
アレは夢ではない。
「身体は大丈夫だ。
正直に言え。どうやって入り込んだ。何の為に」
彼から表情が抜け出る。
やっと真実を語り出す様だ。
「懐葵のこと、覚えてないんだ、…へえ?
まぁ今は僕の彼女だし、関係ないけどね?

あぁ……そっかぁ。
そうだもんね

お前…懐葵のこと忘れさせられちゃったもんね…」
そう言うと彼は
意味深な余韻を残して
そそくさと去っていった。

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振り回される私

ねぇ。私があなたに沢山アピールしたんだよ?
あなたがいるから私頑張れるんだよ?
なのに、なんであの子と楽しそうに話すの?
私とも話してよ。落ち込むな。
でも、見れるだけでドキドキするんだ。
話しかけられたらもっとドキドキするんだ。
みんなによく言われるの。喜怒哀楽だねって。情緒不安定だけど大丈夫?って。
喜怒哀楽なのも情緒不安定なのも全てあなたのせい。
あなたの笑顔で笑って、あなたの辛い顔で悲しくなって、あなたの他の子に見える笑顔に涙が出てきて。私、あなたに振り回されてるね。振り回されて疲れるのに大変なのにあなたが好きなの。
気づいて?