「…自分が、いるから」
だからそんな事言わないで、と自分は続ける。
明らかに顔が赤くなるのが感じられた。
「…」
ネロは暫く驚いたようにこちらを見ていたが、やがてニコリと笑った。
「黎は優しいね」
て言うか昔と変わったね、とネロは呟く。
自分が思わず首を傾げると、ネロはこう言った。
「だって昔は周りの事なんかホントにどーでも良い、みたいな感じだったもん」
すごく変わったよ、とネロは笑う。
「…」
自分は増々恥ずかしくなってそっぽを向いた。
「ふふふ」
ネロはそう笑うと立ち上がった。
「独りじゃない、か」
そう呟いて、ネロは一歩前に出る。
「そうだと良いね」
ネロはこちらを振り向いた。
その表情はどこか幸せそうでもあり、どこか寂しそうでもあった。
「じゃあね」
ここで会った事は2人だけの秘密だよ、とネロは言いながら、川にかかる橋の方へ歩いて行った。
自分は1人河川敷の芝生の上でそれを見送った。
〈番外編 ある放課後 おわり〉
「沈んだねぇ……」
カゲの奔流に沈み、フォトンウォールで急遽封鎖された町の、カゲに浸蝕されきらなかったビルの屋上で猟銃型のP.A.のスコープから目を離し、その少女、下野真理奈は呟いた。
「沈んだなぁ……一瞬だった」
戦槌型のP.A.を杖代わりにして、真理奈とほぼ同年代の少年、和泉宗司も彼女の隣で賛同する。
「ヌシどこ?」
「あそこ、あの大きい交差点のところだよ、アカリちゃん」
「『ちゃん』って言うなこれでも男だぞ」
「良いじゃない男で『ちゃん』付けでも」
鉄線銃型P.A.を構えた少年、月舘灯に真理奈が受け答える。
「あそこ、あのビル、中学校の屋上、青い家の屋根。この順番で結構近付けるかな」
真理奈がスコープを銃から取り外しながら言い、灯も鉄線銃の狙いを定める。
「宗司、あの距離届くか?」
「ん、……おう、余裕だな」
「助かる。お前の武器重いからな、先に投げとけ。……よっしゃ、行くぞ」
「おう了解。かどみー、出番だぜー」
宗司に呼ばれ、屋内から彼より少し年上に見える少女が出てきた。
「結構上ってきてたよ。そろそろキツイかも」
「了解、こっちで対処するからヌシは任せたよ」
真理奈の言葉に、後の3人は信じられないといった顔を向ける。
「……え、何?」
「いやいや真理ちゃん、狙撃銃1丁でそれを言うのは無理あるぜ」
宗司の言葉に灯も頷く。
「その上こっちに指示まで飛ばすつもりなんだろ? 自分は1人しかいないって忘れてるところ無い? かどみーだけでも置いてった方が良いだろ」
「たしかその銃、最大装弾数5発とかじゃなかったっけ?」
『かどみー』と呼ばれた少女、門見初音も心配そうにしている。
「大丈夫! そっちは正直スコープでときどき覗いてれば良いし、そこの入り口結構狭いからちょっとずつしか出てこれないだろうし」
狙撃銃とスコープを左右それぞれの手に持ち、真理奈はウインクをしてみせた。
「さようなら」
「さよならー」
今日の授業も終わり、生徒達が教室から去っていく放課後。
教室に1人、短髪の少女…加賀屋 水晶(かがや みあき)が残っていた。
水晶はホームルーム後も暫く窓際の席でぼーっとしていたが、ふと時計を見て急に立ち上がった。
そして荷物をまとめて教室の外へ出て行った。
水晶が向かったのは、校舎の1階にあるカフェテリア。
カフェテリアは生徒でそこそこ賑わっている。
水晶はカフェテリアの端に4人の生徒を認めると、そちらの方へ向かった。
「あ、みあきち」
カフェテリアの端で駄弁っていた4人組の1人、二つ結びの少女…仁戸田 紀奈(にへだ のりな)は水晶に気付いて笑顔で手を振る。
「待った?」
「ぜーんぜん」
あたしもさっき来たばかりだよ、と紀奈は笑う。
「そう」
そう言って水晶は4人の傍に座る。
「ねぇねぇ、みあきちにもさっきの話をしようよ」
紀奈の右隣に座る小柄な少年…福貴迫 弾(ふきさこ はずむ)は紀奈に明るく言う。
「さっきの話?」
弾の言葉に水晶は首を傾げる。
「あー今日この街にあの澁谷學苑の代表部隊が来るって話」
紀奈がそう言うと、水晶は少し顔を曇らせる。
「澁谷、學苑…」
「何でも、うちのSTIとの交流会の準備らしいよ」
交流会でうちのSTIの代表部隊と模擬戦をするから、そのための下見みたいと弾は続ける。
確実にJust a friend でも
近くで話してたい
Not my lover でも
「ちょっと」心臓忙しいの
大嫌いな季節また来て欲しくないのに
頼れる愛なんか期待できないのに
恋なんか本当に嫌いなんだ
いい思いなんかしたことない
みんなばっかり報われていくから
心臓ぽっかり吐き出すような
そればっかり増える日々
認めたら終わり
抜け出したくて焦るのに
誰かにとりつき、その人格さえ変えてしまう鎧
その鎧はいみ嫌われ、その鎧には誰も近づこうとはしませんでした。
その鎧から感じたのは悲しみだったのです。
しかし私が唯一つ愛した方はその鎧を嫌いませんでした
私もその鎧を見捨てはしません。
大丈夫よ
愛しています。
とある鎧を着たら性格が歪み荒んだ人格になる
という呪いの鎧がありました。
そしてある方はこの鎧を着てしまわれ本当の性格とは全く違う性格になられてしまったのです。
そして私はその鎧を着たある方に出会いました。
その方は荒んだ心で、私に対して『俺を愛してくれ』とおっしゃられたのです
そしてある日、私はある方に『私の命はあと少しかもしれません。なので私のお願い聞いていただけないでしょうか。あなた様のその洋服を洗いたいのです』と言いました。
そしてガシャンと鎧を脱ぎ捨て洋服をお脱ぎくださったのです。
そしたら私が出会った頃の方ではなく皆様がご存知の本当の優しい性格の方にもとに戻られたのです。
ある日、私が森の色が好きだと言ったら
その方が『君は緑色が好きだったね』と仰ってくださったのです。
とある日、私に近づく悪に対してある方が『近づくな』と悪に対して警告してくださったのです。
そしてその方が『君を守るため生まれてきたんだ』と仰ってくださいました。
嬉しい気持ちを感じた私は『この方の為ならなんだって出きる』っと思ったのです。
久しぶりにこの掲示板を見る
正しくは見てはいたけど、書こうと思って見てはいなかった。
理由はシンプルだ。
書こうと思える機会がなかったことと
書こうと思えるものに溢れていたこと
そういう時間を1ヶ月も過ごすと
それは何かの断片のような気がした。
自分の経験は自分の人生の断片
眺めた掲示板の書き込みは無数の投稿の断片
でもそれがある程度の量あると
全体を予測する…いや、大袈裟か、
全体に思いを馳せることが出来る。
人生は、偶然と活かす努力の掛け算で
掲示板は、投稿と活かす人の掛け算だ。
そして実はどちらもひとつの変数で表せる関数だ、
偶然も努力によって引き寄せられて
投稿も人によって作られる
でもその方向が違うから
上記の掛け算で表される。
大事なのは
同じものも方向や役割で
存在が変わるってことだ
今、あなたは
何のために、何をしていますか?
良かったら教えてくれませんか?
僕らの言葉が誰かの無数の言葉を活かすのかもしれません。