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逃鷲造物茶会 Act 4

「対価は支払えないけど…少しばかりいさせてもらえないかしら?」
少女の言葉にかすみはうーん、と唸る。
「別に自分はいいけど、マスターが何て言うか…」
知らない人をここに上げたことがバレたら何を言われるか分からないし、とかすみは呟く。
「バレなきゃいいのよバレなきゃ」
ね、お願いと少女は懇願する。
「…」
少女の有無を言わせぬ勢いに、かすみは気圧されてしまう。
暫くの間かすみは黙り込んでいたが、やがてこう口を開いた。
「じゃあ、ちょっとだけ」
その言葉に少女はにこりと笑うと、それじゃ上がらせてもらうわねとかすみの横を通り過ぎて塔屋の方に向かった。
「え、ちょっと」
かすみは困り顔で彼女の後を追った。

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Daemonium Bellum RE:堕ちた明星と狼 Act 4

「知り合い、かな」
そう言ってサタンは天使の腕を掴むと後ろに向かって引き倒した。
「⁈」
倒された天使は突然のことに困惑する。他の2人の天使はコイツ‼︎と飛びかかったが見事に避けられて地面に倒れ込む。あっという間に天使3人を倒してしまったサタンは後ろで呆然とその様子を見ている帽子の人物に目を向けた。
「…おや、まだ逃げてなかったの?」
君追われてるんじゃなかったっけ〜とサタンは外套の頭巾を外しながら帽子の人物に近付く。その顔を見て帽子の人物は驚いたような顔をした。
「…お前は」
「あ、気付いた〜?」
帽子の人物の言葉に対しサタンはそう言って笑う。
「いつか一緒に戦ったでしょう…“アモン”」
サタンがそう言った所で背後から…お前と声がした。2人が振り向くと先程倒した天使たちが立ち上がっていた。
「悪魔に協力しているなんて、許せん…」
悪魔もろとも倒して…と呟きながらふらふらと天使たちはサタンたちの方に近寄ろうとする。に、逃げるぞ!とアモンはサタンの手を引いて走り出す。サタンはえ、ちょっと〜と言いつつもその場を離れた。

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視える世界を超えて エピソード6:月夜 その⑩

「勝っ…………た……?」
少女は放心しつつ呟いてから、緊張の糸が切れたかのように倒れ込んだ。
風化を解除した鎌鼬が少女に近寄り、その背中をつついたが、反応は皆無であった。
「わー……完全に気ぃ失っちゃってますよこの子。師匠ぉー?」
怪異の死骸の方に呼びかけると、その後ろから先ほどまで怪異を捕えて動かないよう止め続けていた種枚が顔を出した。
「まァ、こんなデカい仕事終わらせたんだ。ゆっくり休みゃ良い」
種枚は死骸に刺さっていた刀を抜き、少女の前に放り投げ、少女の髪を掴んで顔を覗き込んだ。
「…………師匠? まさかその子、食ったりしませんよね?」
数分、微動だにせず少女の顔を眺め続けていた種枚に、鎌鼬が恐る恐る尋ねた。
「あァ? 馬鹿言え、お前じゃ無いんだぞ?」
「いや別に俺も人間獲って食うような真似した覚えは無いッス」
「お前が覚えてないだけだよ馬鹿息子め」
「……え? いや待って師匠? 俺、何かやらかしてたんですか?」
動揺する鎌鼬には反応を返さず、種枚は少女の頬や頭を軽く叩き、身体を揺すり、起こそうとしていた。
「…………ん……?」
しばらく揺さぶられ続け、ようやく少女が目を覚ました。
「起きたかイ。おはよう、お疲れ様」
歯を見せるように笑いかけた種枚に、少女は一瞬怯えたような視線を投げた。髪を乱暴に掴まれ頭を持ち上げられている状態では、致し方ないことであろう。

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Daemonium Bellum RE:ふぉーるんらぼらとり キャラクター集

・堕天使
追放組の堕天使。反逆については自分馬鹿なことやったよなー……くらいの認識。何かもう色々とどうでも良くなって現在は孤独に天使と悪魔の研究をしている。権能は『武器使用の最効率化』。片翼を失って尚その力は衰えず、というか元々そこまで強くない権能であり、雑に言うと武器扱いの品物で発揮する威力が結構高くなり、扱う腕前も強化されるというもの。

・悪魔氏
異形態は鼠色の不定形の物体。スライムみたいな見た目で『首』という概念が無い。また、心臓の代わりに全身の体組織と血管が直接血流を発生させており、『心臓』も存在しない。人間のことは混沌発生器だと思ってるから割と好き。好きだから天使や悪魔のせいで死ぬところはあまり見たくない。天使のことは悪魔を攻撃する分には特に何とも思わない派。でも陣営単位では対立してるから遭遇したら死ぬほど煽り散らす。権能は『人間の死の奪取』。何、大切な人に死んでほしくない? 良いね、優しい願いだ。叶えてあげよう、『死なないだけ』で良いなら。

・天使氏
不幸にも巻き込まれたちょっとかわいそうな天使のひと。対立過激派で堕天使や悪魔を見下し嫌っている節がある。人間のことは守らなきゃいけない存在だと思っているので、人質にされると弱い。権能は『電撃の操作』。ビリビリのバチバチ。

・人間さん
天使氏がいなければ巻き込まれなかったであろうガチでかわいそうなホモサピ。

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革命のレイ〜第2話 惨状〜

言葉を飲み込んで沈黙を破った。
「残念だが平行線だな」
「だからこうして足繁く通う価値がある」
そう言いきると、彼は皮肉がちに笑った。
「物好きだな」
レイは呆れたように歩き出した。
「お前に言われたくはない」
ムーラがレイの後ろ姿に向かって言うがレイは振り返ることなくそのまま馬車の中へ消えていった。
「ムーラ…お前はなぜ…あいつの後を追う?」
馬車の窓からは戦火の跡と追いやられた人間の泥臭い作業の姿が見えた。
『惨く醜いな、これが辞め方を失った物の末路だ。だからお前は始めるな、お前の戦争を』
「父の言葉なんか…」
その景色の凄惨さにレイは先のムーラとの会話と父と最後に交わした会話が重なった。
「…イさん、レイさん!」
そんな考え事をしている間に到着したようで馬を走らせていた付き人のケイが客車の扉を開けた。
「あ、すまない」
「珍しいですね、いつもは着いたらすぐに降りるのに」
「ストーカーを躱すのに疲れてるだけさ」
そう言ってレイは少し笑って馬車を降り、目的地であるファーム(人間の居住地)の出口の扉を通った。

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Daemonium Bellum RE:ふぉーるんらぼらとり その⑨

青年が片手剣を構え、悪魔氏に突撃する。悪魔氏はすぐに不定形の物質に姿を変え、回避を試みる。けれどあまりにも素早い斬撃の連続に変形が間に合っておらず、みるみるうちに床と壁、天井が悪魔氏の血飛沫に染まっていく。
「こ、これはやべェ……再生が追い付いてねェや。ガチで強いなこれ。お前なんでロングソードなんか使ってンだよ」
少し小さくなった鼠色の物質が震えながら言う。
「射程はあった方が得でしょうよ」
「たしかに」
短い会話の後、また青年が斬りつける。鼠色の物質は変形による回避を止め、部屋全体を飛び跳ねるようにして回避を試み始めた。これによって悪魔氏の回避率はだいぶ向上したように見えるが、それでも先ほどの7割程度の攻撃は継続して直撃しているように見える。
「あッ」
しばらく跳ね回っていると、悪魔氏が素っ頓狂な声をあげて扉に激突した。そこに青年が斬撃を加えたことで、勢いで扉が吹き飛び、悪魔氏が室外に押し出された。
「あっ」
「お前……鍵くらい掛けとけよなァ」
「してたのに壊れたんですけど」
「そっかー。ンじゃ、開いたから取り敢えずそこのカワイソーなヒトカスは追い出して良いか?」
「天使さんごと放り出しといてください」
「アイよ。危ねーから天使の方の拘束は放置で良いか」
「そうですねー」
青年が私に近寄って来て、手足の拘束を片手剣で切ってくれた。
「それじゃ、お帰りくださーい。あなたの住んでる町は東に歩いて半日ほどなので」
青年と悪魔氏に見送られながら、その部屋……というか小屋を後にした。