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鉄路の魔女 〈あとがき〉

どうも、テトモンよ永遠に!です。
自分や他の参加者さんの作品が完結したので、企画「鉄路の魔女」のあとがきです。
どうぞお付き合いください。

今回の企画は確か去年の12月頃に思いついたお話でした。
元々「(萌え)擬人化」的なものを自分でもやってみたいと思っていたのですが、「今の時代色んなものがことごとく擬人化させられてるから、自分が使えるネタってあるのか…?」って思ってて中々踏み切れなかったんです。
でも最近鉄道熱が復活しかけて、「鉄道擬人化ってあまり見ないし、自分の好きなもので創作したい!」と思って作ったのがこの企画のベースとなる物語でした。
ちなみに「鉄道路線」の擬人化は先駆者がいるようですが、まぁいいでしょうね。
それで同時期に思いついた他の企画と一緒に昨年末に行った「企画アンケート」でみんなに投票してもらって、開催に至ったという訳です。

さて、今回も裏話はここまで!
参加して頂いた皆さん、今回もありがとうございました。
それで今後の企画についてですが、この企画を始めた時は「これで最後にしよう」と思ってたけど、当企画を開催してすぐに新しく面白いお話を思いついたのでやっぱりまた開催します。
次は、みんなの時間に余裕がありそうな8月に開催しようと思います。
ちなみに「花の学名」を使う企画になるので、参加してみたい人は「花の学名」について調べておくといいかもしれません…
それでは長くなりましたがこの辺で。
テトモンよ永遠に!でした〜

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暴精造物茶会 Act 19

「ひっ…」
タイサンボクは驚きのあまり腰を抜かしてしまった。
「た、タイサンボク〜」
キヲンは慌ててタイサンボクの元へ駆け寄る。
それを見た中紅は目の前の怪物に向かって歩み寄った。
「あ、ちょっとベニ⁈」
クロミスは慌てて引き留めようとするが、中紅はその場で唸る怪物に近付いていく。
「…みんなは先に逃げてなさい」
ここはわたしが、と言いながら、中紅はどこからともなく2振りの太刀を出す。
「食い止める‼︎」
中紅は太刀を握りしめると目の前の怪物に飛びかかった。
「>{“|‘${$_<\>\*;+||”>|“‼︎」
怪物は雄叫びを上げると襲いかかってくる人工精霊を飛び上がって避ける。
中紅は地上の芝生に着地して、すぐに怪物を追って跳ね上がった。
「…」
キヲンたちは呆然とその様子を眺めていた。
「どうしよう」
クロミスのせいだ…とクロミスはしゃがみ込んで頭を抱える。
「クロミスが探検しに行こうとか言ったから…」
ベニがこんなことに、とクロミスは震える声で呟く。

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五行怪異世巡『天狗』 その②

種枚は獣道とすら呼べないような悪路を、散歩でもするかのように無造作に軽やかに進んでいた。その後を青葉も必死で走るように追い、どうにか食らいつく。
(は、速い……。やっぱりこの人、実は鬼なんじゃ……?)
青葉は進みながら、種枚と初めて会った夜を思い返していた。一瞬顔を突き合わせただけではあったものの額に確認できた2本の短い角、一瞬で数mの距離を詰めるほどの身体能力、抜き身の刀身を躊躇無く掴む度胸とそれを可能にするだけの耐久力。彼女の知る種枚の要素の悉くが、人外のそれとしか思えないものだったのだ。
「なァ君、大丈夫かい?」
種枚から声を掛けられて、青葉は意識を種枚に向けた。
「はい?」
「いやァ、随分と息が上がっているようだったんでね。休むかい?」
「いえ、まだまだ大丈夫です」
「へえ。それならもうちょい加速するか?」
「⁉ ……が、頑張ります」
「嘘だよ。のんびり行こうぜ」
そう言って、種枚は手近な木の根元に座り込んだ。

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化石

消えつつある柔らかな灯火に
抗う必要も危惧する必要もないのかもしれないけど
私の青春の最後の1ページが閉じられていくようで
少し寂しさを感じている抗いの言葉を
ここに置いていきましょうか。
緩やかに落ちていくことばと共に
君がいたことすら消えてしまわないことを祈りつつ。

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鉄路の魔女:あんぐら・アングラー その④

超高速で飛び込むように大鯰に追いつき、ギンはシックル・クロウをその頭部に突き立てる。
(こいつのパワー相手じゃ、私ごと引きずり込まれるだけだ。私如きの力じゃブレーキにもならない)
「……だから」
踵落としの要領で、突き刺した足を勢い良く振り下ろす。彼女自身の落下速度と蹴りの威力もあり、大鯰の下降は更に『加速』される。
「もいっぱあああぁぁぁあッつ!」
まだ自由な状態にあった方の足もシックル・クロウを起動して突き刺し、下方向への勢いを更につける。
「まだまだぁあ!」
真上から地面を透過して、キンの放った矢弾が大鯰に直撃し、爆発してその勢いで更に下方へと押し出す。大鯰とギンが地下を通る線路をすり抜けた直後、地下鉄の車両が轟音を立てながら通り抜けていった。
「……ふゥー、間に合った。そして、このまま殺す」
地上からキンの放った徹甲矢弾が、大鯰の片目を正確に射貫く。ダメージで暴れ狂う大鯰の銃創を、ギンの精密な蹴りが更に貫いた。事前の射撃によって砕かれていた頭骨はそれを止めることはできず、柔らかい脳漿に足首まで深々と沈み込む。
「どんな動物でも、脳味噌をブチ抜かれれば死ぬんだ」
一度格納されていたシックル・クロウが、再び起動する。その威力と衝撃は大鯰の内部から破壊を引き起こし、一度大きくびくりと身を震わせてからその幻影は動きを止め、少しずつぐずぐずと消滅していった。

「おかえり。勝てたんだ?」
出迎えたキンに、地上へ這いあがって来たばかりのギンは無言でサムズ・アップを示した。その手を引いてギンを完全に地上に引き上げ、衣服についた汚れを払ってやってから、2人は車道を出て手近な商店の屋根によじ登った。
「お疲れ」
「いえい」
拳を突き合わせ、互いを讃え合う。
「助かったよキンちゃん。っていうかよく私の意図が分かったね」
「まぁ、付き合いそこそこ長いからねぇ」
「あと、地面挟んで見えないはずの相手によくあんなに正確に当てられるよね……毎度のことながらちょっと怖いよ」
「いやぁははは。慣れてまして」