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教室の副流煙

副流煙、を知っているだろうか。
煙草の火をつける側、即ち喫煙者が直に吸わない方の煙である。ちなみに直に吸う方は主流煙という。
この副流煙には、有害物質が主流煙の何倍も含まれている。
つまり、煙草を吸っている本人より、周りで副流煙を吸う方がダメージが大きいのである。

言葉も同じなんじゃないだろうか。
口にした側より、された側の方が、良くも悪くもその言葉をもろに受けるのだ。

そんな訳で、今日も私は教室の隅でこそこそ過ごす。
あまり彼らの近くに居ると、暴言の過剰摂取で中毒死しそうだ。
例えそれが、私へ向けての言葉でなくとも。

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五行怪異世巡『霊障遣い』 その⑫

武者霊の振り下ろした刀を大きく沈み込むように回避しながら前進し、更に伸びてくる女性霊の腕を跳躍して躱し、少女との距離を詰めて青葉は杖を相手の顔面に向けて突き出す。女性霊が少女の首の後ろを掴んで後方へ引くことで、少女はそれを回避し、反撃に伸びてきた無数の腕は、平坂の鳴らした鈴に消し飛ばされる。
一連の攻防を終え、2人の間に一瞬の静寂が流れる。
(……あのお兄ィさんの鈴、鬱陶しかったけど大分性質が分かってきた。あいつからの『距離』と悪霊の『格』で威力が変化するっぽいな。まあ“草分”はたしかに数だけ揃ったやつだけどさァ……っと)
青葉が振り下ろした杖の打撃を、女性霊の左腕で受け止める。青葉の小さく貧弱な身体から放たれたにもかかわらず、その威力は女性霊の腕を折るのには十分だった。
「クソ……鬱陶しい!」
ウエストポーチから取り出した個包装のキャンディ数粒をまとめて口に放り込み、少女が右手を頬に当て、小指でこめかみを叩く。それによるものか、青紫色の炎が少女の右眼から燃え上がった。
「……ん?」
「無能のくせに生意気なンだよ……! アタシの全力ブチ込んで、テメエは絶対殺す!」
後退すると同時に女性霊を前進させ、武者霊と同時に青葉に差し向ける。青葉はそれを後退りしながら回避するが、それを読んだように、斬撃から刺突に攻撃を切り替える。
「っ……!」
身を捩りながらその刃を辛うじて回避したところに、女性霊の拳が突き刺さる。
(…………動きが変わった? さっきより受けにくい……というより)
杖で拳を防いだものの地面に組み伏せられた青葉に、武者霊の斬撃が迫る。転がるようにしてそれを躱した青葉の首が一瞬前まであった場所を、刃が通り抜けた。
(……カオル)
(うん、ワタシの可愛い青葉。〈煌炎〉で当たって力の減衰しない悪霊なんて在り得ないのに……奴らの格からして、あそこまで押されるわけ無いのに)
再び距離を取り、青葉は平坂のいる場所まで下がった。
「おい、押されているようだが……手を貸すか?」
「いえ、そこまででは。突破口探すので、引き続きあの腕たちの牽制だけしていただければ」
「ふむ……だいぶ疲れてきているようだが」
「大丈夫……です、はい」
自分に言い聞かせるように言い、青葉は再び悪霊たちに向かって行った。

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皇帝の目_10

梓の身長が急激に戻った。
「いっっっった!!」
「すまんチトニア、ケツアタックした」
「大丈夫!良かった戻って!!」
傍目から見るとチトニアが梓の尻に頬擦りしているかなりカオスな状況だった。そしてそのタイミングの悪い時に病室へ人が入ってきた。
「あー…」
梓が諦めて落ち着くと、チトニアも振り返る。
「…あー…お邪魔しました?」
スーツ姿に黒髪ショートカットの中性的な人が渋い顔で梓たちを見ていた。
「いやそういうんじゃないんで。親友(?)どうしのスキンシップだから」
梓が言い張ってぐっと親指を立てると、チトニアもふにゃっと笑って梓を抱っこし直した。それを見てその人は絶妙な顔をして渋々入ってきた。
「あー…ビーストがいるって聞いたんだけど…倒した?」
「任せろ」
「それどっちの返事だよ…まあいい、倒したんだな。俺は対ビースト支援課のスタッフだ。名前は…まあ別に良いよな」
「…もしかしてとは思ってたんだけど…私のこと探しに来たの…?」
チトニアが尋ねると彼はため息をついた。
「契約しちゃったんだな?まあそれならそれでも良いが。…場所を変えるぞ」

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Trans Far East Travelogue86〜新旧パートナー談義①〜

俺も嫁も揃って船室でひと眠りし,暫くしてデッキに出て水平線を見ていると件の松山の先輩も交際相手である俺の元カノを伴ってデッキに出てきた。
すると,嫁と元カノが2人で会話を始める。「少し良いかしら?私,本当は今の貴女の夫と結婚する筈だったの…彼は本当に優しくて,私がデートで行きたい遊園地を挙げたらその場所でのイベントの時間とか全部調べてくれて,本当に好きだったの。でも,私の誕生日に遊園地デートした次の日に突然別れを切り出されて、連絡先ブロックされちゃって…でも,原因が分からなかったから彼と復縁したかったけど,もう彼は彼で幸せそうだから無理ね」と元カノが切り出すと、「彼は日本にも韓国にもルーツを持っていて、しかも気の毒なことに6歳の時から日韓関係が改善されるまでイジメや差別と10年近く向き合ったから、誰かの軽はずみな言動で傷付く人の気持ちが分かるの。だから,彼は貴女を傷つけないように大切にしてたのだと思うわ。ただ,本人から直接聴いたけど本当はデートで遊園地なんか行きたくなかったらしいわ」と嫁も返す。
「私の国ではマイナーで知らなかったけど,今の彼氏に教えてもらった野球なら元カレと復縁できるかもと思ったら…実際に野球したり試合を観てた時のあの人の笑顔、私と付き合ってた頃よりも幸せそうで…私が一方的に好みを押し付けてたと知って…」と元カノは涙を堪えながら答え、嫁は「彼が貴女も含めて元カノと付き合っていた頃が最悪のトラウマになってたって知ってた?」と投げかける。「いいえ,でも私達が一方的に彼に好みを押し付けてたからそう思われても仕方ないわね」と元カノが言うと「そうじゃないの」と嫁が反論し、「彼にとってトラウマだった理由,それは貴女達とデートで行っていた遊園地はかつて彼をイジメて何度も自殺を試みるまで追い詰めた連中が休日に集まって遊んでた場所で彼にとってつらく悲しい過去の象徴だったし、日韓両方で盛んな野球は今も彼の心の支えだけど彼が好きなチームはデートの日の試合で必ず負けて帰宅後1人で泣いてたのに、当時の彼女は野球を知らないから自分の気持ちを理解してくれなくて,極めつけにはその人の誕生日の試合で負けて決勝ラウンドに行けずに帰りの電車で泣いてたのに隣に座ってた彼女は笑顔で心が折れたって本人が言ってたわ」と嫁も涙を堪えながら続ける。

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魔狩造物茶会 あとがき

どうも、テトモンよ永遠に!です。
予告通り「魔狩造物茶会」のあとがきです。
どうぞお付き合いください。

今回のエピソードは「とりあえずナツィたちがバトってるシーンを書きたい!」という願望から作りました。
ただそれだけじゃ無理があるので、今まで出してこなかった設定を出すことにしました(ナツィの“保護者”とか)。
まぁまだ謎は多いですが、次のエピソードはメインキャラのかなり重大な設定が出てくる予定ですので楽しみにしていてください。

さて、今回はかなり短いですがこの辺で…と言いたい所ですが、少し言っておきたいことがあるので少し。
いつも「ハブ ア ウィル」と「造物茶会シリーズ」を交互に投稿してきたので、「造物茶会」を投稿した次は「ハブ ア ウィル」を投稿しようとしているのですが…
なんと、次のエピソードを全く執筆できてないんですよね〜(笑)
ここ最近、大学での所属サークルの会誌の原稿のネームを描いたり、身内が危篤になってお見舞いに行ったり(ちなみに今は持ち直した)したので全然執筆している余裕がなかったんですよ。
あと今後も夏休みの最終盤になってゼミの発表会が2日連続であったり、学園祭実行委員会の活動があったり、実行委員会の仲間と遊びに行く約束してたりと怒涛の展開が待っているんです。
今さっきだって、学園祭で実施するスタンプラリーの台紙のデザインの下書きを急遽作ってたし…
まぁだいぶ忙しくて書いてる余裕がない訳です。
そういう訳で、次は結構前に書いた「ハブ ア ウィル」の番外編を投稿しようと思います。
いわゆる「過去話」ですが、お楽しみいただけたら幸いです。

という訳で、今度こそこの辺で。
「造物茶会シリーズ」第9弾もお楽しみに。
それでは、テトモンよ永遠に!でした〜