実験的プチ企画「我流造物創作」の要項を上げた所、「造物茶会シリーズ世界の現時点で分かっている設定をまとめて欲しい」と言われてしまったので自分の中での情報整理を兼ねて設定まとめです。
ただ設定解説の都合上、未公開設定が断片的(つーかかなり)に出てくる可能性があるかも…?
とりあえず最初は用語解説です。
〈用語〉
・魔術 Magic
「造物茶会シリーズ」の世界における、“魔力”を用いて物理法則や常識を無視した現象を引き起こす術。
“術式”を組むことで使うことができ、これを使う人間を“魔術師”と呼ぶ。
この世界における現代では「魔術は一般人に秘匿すべきもの」という暗黙の了解があり、多くの一般人はその存在を知らないか、おとぎ話の存在だと思っている。
・魔力 Magical power
“魔術”を使うために消費するエネルギー。
空間や無機物に宿る不可視の力。
生物など有機物には宿りにくいが、人間は後述の“術式”を上手く使いこなすことで魔力を扱い魔術を行使できる(未公開設定)。
・術式 Sigil
“魔術”を使うために組む、魔力を媒介する回路のようなもの。
(以下未公開設定)パッと見はいわゆる魔法陣のように見えることが多い。
魔力を媒介する物質を溶かした液体で平面に魔法陣的な模様を描いたり、魔力を宿しやすい無機物に模様を刻みつけるなど、様々な方法で組むことができる。
平面の模様として組まれるだけでなく、高度な術式は立体的な形で組まれることもある。
一般的な“魔術師”はその場で術式を組んだりせず、事前に術式を組み込んだアイテムに魔力を流すことで魔術を行使することが多い。
・魔術師 Wizard
“魔術”を使う人間。
色んな派閥に分かれている。
(以下未公開設定)魔術を習得するためには一般に“学会”と呼ばれる機関で術式の組み方や魔術師としての心得、魔術の歴史などなどを学ばなければいけない。
一瞬でも魔術を使った人間は魔術師と言っても問題ないのだが、一般的には“学会”などの機関や魔術師から魔術を教わり使いこなせるようになった者を魔術師と呼ぶことが多い。
最近はなり手不足が深刻。
とりあえず長いのでその2に続く。
「おれは”コマイヌ”」
人間としての名前は生駒 耀平(いこま ようへい)と彼は言う。
「お前は?」
目を光らせるのをやめた”耀平”がボクに聞いてくる。
面倒くさと思いつつ、ボクは両目を赤紫色に光らせた。
「ボクは、”ネクロマンサー”」
「人間としての名前は?」
すかさず耀平が尋ねてくる。
「…言わなきゃいけない?」
ボクがいぶかしげに聞くと、耀平はえー知りたいじゃんと返す。
呆れたボクは目を光らせるのをやめてこう言った。
「滋賀(しが)、禰蕗(ねろ)」
ふーん、ネロかと耀平はうなずく。
「で、どんな異能力だ?」
ちなみにおれは”人やモノが辿った軌跡を見ることができる”能力なんだけど、と耀平はニコニコ顔で言った。
「…それも言わなきゃいけないのかよ」
ボクは思わずジト目を耀平に向ける。
「良いじゃん」
だって知りたいし、と耀平はしゃがみ込む。
昔むかし、六百年以上昔。
帝国が、まだ名もない小国だった時のこと。
当時の皇帝は、何故帝国が弱いのか、と、ある占星術師に尋ねた。
占星術師は、「どうも、帝国より東の、ワルプルギス島がいけない」と言った。
「その島の邪気に当てられているからだ」と。
皇帝はすぐさま調査を命じた。
調査を命じられたのは、帝国最強と名高いサヌオス将軍と、将軍の部下である5人の騎士だった。
将軍一向は調査に出向き、帝国へ文を送り続けた。
その内容は酷いもので、
「島には邪悪な龍、ホムラが居り、島民たちはその邪龍を神として崇め奉っている。また、恐ろしい魔法を操る」と記されていた。
皇帝はすぐさま将軍一向を呼び戻し、島への出兵を命じた。
海に一千の軍艦を浮かべ、五十万以上の兵が島へ向かった。
その後、島へ着くや否や島民たちが襲いかかってきた。
島の内部に進むにつれ、老人や女子供までが襲ってきたという。
魔法が飛び交い、瞬く間に島は炎に包まれた。
将軍一向が何とか島の中心に辿り着くと、そこには神殿があった。
神殿の祭壇には宝珠があり、一人の少女がいた。
その少女の名はリム。
少女は龍を呼び出し、百の厄災と千の魔物で襲いかかってきた。
将軍たちは必死に戦ったが、どんどん限界が近づいてくる。
もう駄目か、と将軍たちが目を伏せたとき。
天からまばゆい光が降り注ぎ、獅子王ハルク・ド・リゼルが現れた。
獅子王ハルクは、聖なる光を放ち、百の厄災を打ち破り、将軍たちの傷を癒した。
傷の癒えた将軍たちは、千の魔物を破り、遂に邪龍と少女に迫った。
すると少女が宝珠に呪詛を呟いた。
それに応えるように邪龍が一声鳴くと、たちまち、島が沈み始めた。
将軍たちは仲間を連れて、慌てて船へ乗り込んだ。
一千あった軍艦は、たったの五つになっていた。
最後の一人が乗り込み、船が出航した瞬間に、島は海底へと姿を消した。
ーーーこの事件は、後に「ワルプルギスの悪夢」と呼ばれることになる。ーーー
その後、帝国は不思議と栄えてゆき、獅子王の加護、将軍を筆頭とした騎士、兵士たちへの感謝を込めて、国の名を「ハルク帝国」とした。
かくして、「旧ハルク帝国」は誕生した。
「……上って来た石段、結構高かったような……?」
青葉の呟きに、千ユリが視線を向ける。
「まあそれなりに? それが何?」
「あの勢いでうっかり転げ落ちたら、怪我じゃ済まないんじゃ……」
「ア・タ・シ・が・知ったことかよォぉぉ……」
「気にしてよ……一応基本方針は『人間を守る』ことなんだから」
言い合う2人の肩を、犬神が1度叩く。
「二人とも、出てくるみたいだよ」
犬神の言葉に、2人は素早く本殿の方を見た。半分ほど木材の腐ったその建物の前に、夜闇の中で尚浮き上がる漆黒の靄の塊が蠢いている。
「……多分、ここじゃぁ『神様』として扱われてたンだろーなァ…………けど、所詮正体は『悪霊』だ。アタシの戦力として、コキ使ってやるよ」
咥えていたロリ・ポップを噛み砕き、2本目を取り出しながら、千ユリが1歩前に出る。左の手を開き、靄から少しずつ姿を現わそうとしているその『悪霊』に向ける。
「“アタシの愛しいエイト・フィート”!」
異常に長身の女性霊が出現し、靄から現れた霊に組み付こうとする。その悪霊は”エイト・フィート”の両手を自身の両手で受け止めた。
「ッ……⁉ 退け!」
千ユリの合図に応じて、”エイト・フィート”は彼女の目の前にまで後退った。
「千ユリ? 何があった?」
青葉の問いには答えず、千ユリはその悪霊を睨みながら”エイト・フィート”を消滅させた。
どうも、テトモンよ永遠に!です。
突然ですが、今月で自作小説「造物茶会シリーズ」は投稿開始2周年を迎えます。
めでたいですね、いえい。
これもひとえにKGBさんやスタンプやレスを付けてくれる皆さんのお陰です。
ありがとうございます。
…という訳でプチ企画です。
ポエム掲示板の皆さん、「造物茶会シリーズ」の世界観を使って創作、してみたくありませんか?
個人的には少し前に、「ぼくが企画とかとは無関係に書いている物語を他の人が書いたらどうなるんだろう?」と思うことがちょいちょいあったんですよ。
まぁ端的に言えば「二次創作」を見てみたいって訳です。
そういう訳で、プチ企画「我流造物創作」を開催します。
ルールは簡単、ぼくテトモンよ永遠に!が書いている小説「造物茶会シリーズ」の設定・キャラクターを利用して文芸作品を作り、タグ「我流造物創作」を付けて投稿する、これだけ。
ただ公序良俗には気を付けてね。
あとちゃんと「造物茶会シリーズ」を読まないと書けない(はず)なのでまとめやぼくのマイページの過去書き込みに目を通した方がいいかも。
開催期間はこの書き込みが反映されてから今月が終わるまでにします(多少の遅刻は大丈夫)。
「造物茶会」の設定とキャラクターを使っていれば内容は基本なんでもいいし、オリジナル設定やキャラクターをぶち込んでも大丈夫です(二次創作なんで)。
作品形態も問いませんし、タイトルも自由です。
まだ分からないことが多い作品なので、“伏せられている設定”はぼかして描写してもオリジナル設定で埋めちゃっても怒りませんよ。
超実験的な企画ですがよかったらご参加下さい。
ちなみに質問などはレスからお願いします(設定については答えられる範囲で答えます)。
では、よろしく〜
琥珀は大型犬であった。狼と犬の間くらいの大きさや顔で、人々が彼の毛色を琥珀のような色だと口々に言うので、それを名前とすることにしたのである。物心ついたときから琥珀はブラックマーケットに住んでいた。
…正確には、住むというよりそこで売られては逃げ、別の人間に捕まりまた売られ、を繰り返していた。そうしているうちに白い子兎と出会った。引きずるほど長い耳と瞳が赤いのが特徴なので、瞳の色から林檎と名付けた。
『おい起きろ、そろそろ行くぞ』
鼻で突くと、林檎は起きたのか顔を上げた。
『おなかすいた』
『言うと思った。ほら飯』
林檎は長い耳をぴよっと跳ねさせた。
『ありがと。いただきます』
『ああ。早めに食えよ』
琥珀には特に大きな目的などはないが、もっと上の階層を見てみたいという純粋な好奇心はあった。だから売られても逃げる。懲りない。
『ごちそうさまでした』
『じゃ行くぞ』
琥珀は林檎の首根っこを甘噛みして歩きだした。