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魔法少女学園都市レピドプテラ:天蟲の弔い合戦 その⑪

ロノミアが追撃を狙い、ササキア達に向かう。その瞬間、ニファンダの魔法が彼女を捉えた。
(っ……時空干渉! マズい、モリ子の『糸』と違って、こんな単純な結界術でどうこうできる代物じゃない……!)
体勢を立て直したササキアが、盾で殴りつけようと踏み込んだその時、ロノミアの身体が自由を取り戻し、逆にササキアの動作が一瞬停止する。
(この『絡みつく魔力』……ニファンダの『時空支配』の中でもここまで妨害してくるのか)
ササキアとロノミアの攻撃が衝突し、再び空間が震える。
「……へぇ? 会長」
ニファンダに呼ばれ、ササキアは後退した。
「この『時空間を縛る糸』、犯人はあの双子ちゃんたちみたいだね。私の支配する領域内で、ここまで張り合ってくるなんてびっくりしちゃった」
「ふむ、そうか。なら、そちらから倒そう」
ササキアが注意を双子に向けると、それを庇うようにロノミアが移動する。
「くぁちゃん……どうしよう。あいつの時空間操作、すっごい強いよ」
ボンビクスが不安げに、ロノミアの背中に呼びかける。
「あん? そうかい。で? 駄目ならそこまでだぞ?」
「うっ……だ、大丈夫! だと、思う……」
「ふーん……モリ子、ヤマ子」
「「?」」
「何にせよ、私はお前ら信じるしか無いんだ。……だから、お前らに良いものを見せてやる」
ロノミアが、手にしていた“チゴモリ”と“ヒナギク”を消滅させた。代わりに、一振りの刀が出現する。
その刀は、『刀』と直接形容するには、些か歪であった。
刃渡り75㎝ほどの異常に幅広の刀身は先端に向かう程太く拡大しており、断面は五芒星を膨らませたような奇妙な形状をしている。外見に違わぬ質量のためか、ロノミアは柄こそ握っているものの、刀身の先端は設置させたままでいる。
「ブチカマすぞ、“癖馬”。……なぁ生徒会長、禅問答しようぜぃ。お題は、『制御できない力は“強さ”たり得るか』で」

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奇跡

みんなで力を合わせたらなんだって出来る。

奇跡が起きるんだ。

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魔法少女学園都市レピドプテラ -small cabbage white- 9

「フン、逃げるつもりか……撃てぇ‼︎」
サイアがそう声を上げると、彼女が従えている少女たちは一斉に銃器のトリガーを引く。サルペは咄嗟に展開している光壁を横方向に広げ、攻撃の飛んでこない上方向へ飛び上がった。光壁は少女たちが撃った光る弾丸を弾き飛ばす。
空中に飛び上がったサルペは右手に持つ水色の刀と同じ刀を周囲に生成し、地上にいる少女たちに向けて放つ。刀はそのまま少女たちが持つ武器目がけて飛んでいき、銃器を弾き飛ばす。しかしそれを避け切った少女もおり、そういった少女たちは塀から飛び降りて銃口をサルペに向けた。
サルペはそれに気付くと、飛行魔法を使って地上のサイア目がけて飛んでいく。サルペは飛びながら刀を構え、サイアも自身が持つマシンガンを向けてトリガーを引く。しかしサルペはサイアが放つ魔力弾を易々と避け、サイアの懐に入ろうとする。
だがサイアはサルペが自身まで3メートルほどの所まで近付いた時に魔力でできたバリアを展開する。サルペはバリアに弾かれ、小さくうめき声を上げてその場に転がった。
「……やっぱり、そう来るよねぇ」
サルペは立ち上がりながらそう呟く。当たり前だ、とサイアは答えた。
「私とお前は何年同じ学園にいたと思っている」
お前の作戦くらい簡単に分かる、とサイアはサルペにマシンガンを向ける。サルペは咄嗟に空中に飛び上がってそれを避けるが、すぐにサイアは銃口を空に向けて飛び回るサルペを追いかける。サイアが従える少女たちも各々の持つ銃器を空中のサルペに向けた。
「これは……だいぶマズくね⁇」
校門の前から校舎内に退避したシーアは、建物の柱の陰から外の様子を見て思わずこぼす。それに対し、グッタータもうん……と頷く。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 23.キリン ⑬

「彼女みたいに薄れているような奴じゃなかったわ」
むしろ顕われたり消えたりしているような感じとでも言うのかしら?と穂積は続ける。
「とにかく変な感じね」
穂積がそう言うと、隣に立つ雪葉はうんうんとうなずいた。
わたしがふーんと答えた所で、ネロがあ、と呟く。
「師郎」
ネロが目を向ける方を見ると、駄菓子屋の出入口から師郎とあの少年が出てきていた。
「おかえり~」
ネロがそう言うと、師郎はただいまと笑う。
「で、何買ってきたの?」
「いつものスルメ」
「渋いねぇ」
ネロと師郎が何気ない会話をしていると、狭い道路の反対側で話していた耀平と黎がこちらへとやって来た。
「師郎またスルメ買ったのか」
渋いな~と耀平が言いながら師郎の陰にいる少年に目をやると、少年はすぐに彼から目を逸らす。

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幸せ

人生で1番幸せな時は人の役に立った時

少なくとも私はそう思います

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魔法少女学園都市レピドプテラ -small cabbage white- 8

「我々はかつて同じ学園の仲間だったじゃないか」
恩を仇で返すとでも?とサイアはサルペに尋ねる。サルペは「……そうだね」と目を逸らす。
「ボクたちはかつて仲間だった」
だけど、とサルペは右手に青い刀身の刀を生成する。
「今のボクはキミたちと同じ諜報員ではない」
だからキミに従う理由はないよ、とサルペはサイアを睨む。
「……それに」
サルペは続ける。
「ボクの友達たちに武器を向ける人の言うことなんて、聞けるわけがないじゃん」
その言葉に驚いてラパエはサルペの方を見る。その視線に気付いたサルペはラパエを見てにこりと笑い、またサイアの方を見た。
「と、いう訳で、マイセリア サイアニス」
キミやその仲間たちにはお引き取り願いたいんだけど、とサルペは笑いかけた。
それを聞いて、サイアは「……そうか」と呟く。
「それなら我々は実力を行使するしかないな」
そう言うと、誰もいなかった学園の敷地を囲む塀の上に黒い軍服のような制服姿で、銃器を構えた少女たちが一斉に現れた。その光景を見たラパエ、シーア、グッタータは思わず身構えるが、サルペはそうかいと答える。
「キミたちが本気を出すというのなら、ボクもそうするしかないね」
そう言うと、サルペは背後にいるラパエたちに目を向けた。
「3人とも、危ないからどこかに隠れてて」
今からちょっと手荒なことをするから、とサルペは言う。それを聞いたラパエたちは頷いて校舎内へ戻り始めた。

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不確かな確か

目の前は暗く

何を信じていいか分からない

そんなとき【自分自身】だけが味方だ

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突然いなくなった

失恋した
失恋自体は初めてじゃない
人生で3回目
でも、やっぱり慣れない
心の中が空っぽになって何も手をつけられない
自分が自分じゃないみたい
今は春
なのに一瞬夏の香りがしたのは気のせいだろうか
たった4カ月の恋
短いのに濃い時間だった
今日聞こえたLINEの通知音はいつもより悲しい音だった
電話の約束はもう叶わない
もう会えない
私にとって大切な人
でもあなたにとって私はそうでもなかったみたいです

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魔法少女学園都市レピドプテラ -small cabbage white- 7

「えっ、なに⁈」
真っ白な煙の中、ラパエは慌てて周囲を見回す。グッタータとシーアもなにが起きたのか分からず立ちすくむが、サルペだけは冷静に首のペンダントについた水色で六角柱の宝石のようなアイテム……メディウムを握りしめる。その次の瞬間、煙の外から光る弾丸が飛んでくると共にサルペの周囲から光が放たれた。
「⁈」
光が止んでからラパエ、グッタータ、シーアの3人は恐る恐る顔を上げる。彼女らの目の前では黒と水色のサイバーパンク風ファッションに身を包んだサルペが手を前に出して光の壁を展開していた。
そして彼女の数メートル前方の校門の前には、青紫の軍服のような服装に身を包むボブカットの少女がマシンガンを携えて立っていた。
「久しぶりだね」
サイア、とサルペは相手を睨みつける。サイアと呼ばれた少女はああ、そうだなと淡々と答える。
「まさかお前がこんな所にいるとは思わなかったが」
我々の邪魔か?とサイアは尋ねる。サルペは「いや、ボクはなにも知らないね」と返す。
「あの学園を去ったボクにとって、キミたち諜報員の動向は最早無関係だよ」
サルペはそう続けるが、サイアはそうかと呟く。
「……なら、そのバリアを解除してほしい」
我々はそこのピエリス ラパエに用があるんだ、とサイアはラパエに目をやる。ラパエは驚いて目を見開いた。
「あ、あたし……?」
なんで……⁇とラパエは困惑する。その言葉に驚いてグッタータとシーアもラパエに目を向けた。
「理由は今ここで言えないが、ピエリスさんには我々についてきてもらいたいのだ」
だから頼むとサイアはサルペの目を見る。暫くの間その場に沈黙が降りたが、やがてサルペが口を開く。
「……残念ながら、ボクにはそれができない」
その言葉を聞いてサイアはなぜ?と聞き返す。