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飛龍造物茶会 Act 19

「…よかろう」
お前たち、武器を下ろしなさいと男はナツィたちへ武器を向けている人工精霊たちに命令する。
すると周囲の人工精霊たちは静かに武器を下ろしていった。
それを見てナツィはキャスの槍に押しつけていた大鎌をゆっくり離す。
しかし男はそのわずかな隙を見逃さず、自身の上着のポケットに忍ばせていた魔力式銃を取り出しナツィに向ける。
それに気付いたナツィは慌てて大鎌を盾にするように構えるが、そこへ1本の矢が飛んできて男の手から魔力式銃を弾いた。
「⁈」
男が矢が飛んできた方向を見やると、白いワンピースを着た青い長髪のコドモが背中の白い鳥のような翼を羽ばたかせながら男たちの方へ接近していた。
そしてその手には短弓が握られている。
「っ、散開!」
男がそう叫ぶと目隠しされた人工精霊たちは一斉にその場から離れていく。
青髪のコドモはそのまま人工精霊たちを追うように飛んでいった。
その隙を突いて、ナツィはしゃがみ込んでいるキヲンの腕を引っ張って無理やり立たせると、そのまま走り出した。

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飛龍造物茶会 Act 18

「な、なにって…」
キャスは自分の目の前でなにが起きているのか分からず困惑する。
なにせ自身の目の前にいるのは、蝶が象られた大鎌を持つ黒髪の人工精霊…“黒い蝶”ことナハツェーラーなのだ。
なぜこの街にそんな有名な人工精霊がいて、自身に襲いかかってきたのか、キャスにはすぐに理解できなかった。
「テメェ、とにかくなにしようとしてたんだ」
吐け‼︎とナツィは怒鳴る。
キャスは驚きのあまり口をぱくぱくさせるが、おいお前と男の声が飛んできた。
ナツィがちらと声がする方を見ると、ストリート風ファッションの若い男が近付いてきていた。
「キャシテライトから離れなさい」
でないとコイツらに攻撃させるぞと男は周囲の人工精霊たちに目を向けながら低い声で言う。
目隠しをされた人工精霊たちは各々の武器をナツィの方に構えていた。
しかしナツィは、お前がコイツらの主人かと魔力式銃を持つ男を睨んだ。
「コイツを離して欲しけりゃ、周りの雑魚共の武器を下ろすよう言うことだな」
そうでもしなきゃ、コイツの首を刎ねるぞとナツィはキャスの方を見やる。
キャスは目を大きく見開いていた。

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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ:告鳥と悪霧 その③

「やぁ君、大丈夫だったかい?」
レヴェリテルムを収納し、サルペンタリウスは少女に近付いて行った。
「名前は? ここで何してたの? お父さんかお母さんはいる?」
「次々連続で質問するな、相手チビッ子だぞ」
そう指摘するカズアリウスの腕の中で、少女は首を傾げ、数秒考え込んでから口を開いた。
「ぇク……ミ……?」
「クミちゃん?」
「ん!」
「そうかそうか、クミちゃんか。お父さんやお母さんはどこかな? 1人は危ないよ?」
「…………?」
クミと名乗った少女は、要領を得ないような表情で首を傾げている。
「……リーダー、この子危機感が欠けてます!」
「本人の目の前で言うな大馬鹿野郎」
サルペンタリウスの頭頂部に、カズアリウスのチョップが叩き込まれた。
「いてて……それじゃ、クミちゃん。君のお家はどこかな? お兄さんたちが送っていってあげよう」
「ん……あっち」
クミが路地の向こうを指差した。
「あっちだね? 分かった、それじゃ、行こうか」
サルペンタリウスが、クミを抱き上げる。
「んー。あっちー」
クミの指差す方向に従って、3人は路地を抜けて歩き出した。

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機密

さて、私はどこまで行けたのだろうか
内部メモリーが若干不鮮明だ、流石に全てを完璧には移せなかったようだ
パーソナル部分が大きすぎたか、まぁいいだろう
しばらく歩くとドーム上の場所に出た。
「何をしている!アヴェスは全員出動のはずだろ!貴様、どこのカテルヴァだ!」
振り返ると軍服を着た男がいた。
アヴァス…確かこの体の名称のことだ、覚えている
カテルヴァは所属だったな…伝承の中の『鳥』とかいう有機生命体の名前だったっけ?
「ケツァルコアトルス」
「ケツァルコアトルス…?聞いたことのないカテルヴァだな?お前、名前は何だ?他のメンバーはどうした」
名前…こっちは生きてる『鳥』だったか
「ソロウ ・フォルスラコス、部隊は全滅しました。しかし直前に仲間が掴んだ情報を届けるため、一人戻ってきました」
「情報だと?なんだ」
「すぐそこまで迫っています…■■■■■が。アリエヌス如きに構っている暇はありません」
「な…なんだって?」
あぁ、そういえばこの種族には発音できない音だった
えっと…発音できるように言い換えなければ
「星喰い、その残留思念です」
「我々のセンサーには何も映っていない。星喰い?そんな与太話を信じろと?」
「アリエヌスの母星といえば信じてもらえますか」
「母星だと…なぜそんな事を…」
「星の架け橋(ブリッジ)が繋ぎっぱなしだからです。おそらく、敵勢もそこから 」
「ブリッジ…?そんなデタラメが!」
男が明らかに動揺している、思い出してみればそういえばこれは機密だったっけ?
「戦力を全て宇宙(そら)に」
「それはできん、街を放棄しろというのか!」
明らかに逆上している、どこまで知っているのだこの男
「そうではありません、敵の核がそこだと言っているんです」
「ぐ…まぁいい、上には私から言っておくから戦線に戻れ」
そう言って男はさっき私の来た方向にはしっていった
当然、『上』とやらはそこにはない
街の外に繋がる道だ

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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ:告鳥と悪霧 その②

“天蓋”が解除され、3人はパッセリフォルムズの中を歩いていた。近道のためにひと気の無い裏路地を通っていた3人は、少し先に一人の子どもが遊んでいるのを目にする。
「あぁいうのを見るのは気持ちいいよなぁ。何かこう、『俺達がこの光景を守ったんだー!』みたいな」
カズアリウスがぽつりと呟く。
「でもおれ達、トドメ役は全然やれないじゃん」
そう反応したディクロスの頭に、チョップが叩き込まれた。
「いてぇ」
「水差すな大馬鹿野郎」
「ゴメンナサイ」
3人が向かっていることに気付いたのか、その子供――リトルブラックドレスの幼い少女は3人の方に目を向けた。その背後、建物の隙間の陰から、大人の背丈程度の小型アリエヌス2体が、のそりと姿を現す。
「ッ!」
カズアリウスが咄嗟にレヴェリテルムを起動し、少女を抱えながらアリエヌス達の隙間をすり抜けた。
「っぶねぇ! 何だってアリエヌスがこんなところに居やがる! ビク太郎!」
呼ばれたサルペンタリウスが三節棍型のレヴェリテルムを構える。
「オーケイ、よっさ任せろ」
アリエヌス達が同時にサルペンタリウスへと突撃し、同時に拳を振りかぶる。
「2対1か……悪いが俺の、得意分野だ!」
三節棍の中央節を鎖状に変形させ、両端の節でそれぞれのアリエヌスの拳を受け止めた。各節の表面は刃のように形状変化しており、アリエヌスたちの指を切断している。
「悪いが俺は両利きでね……右も左も防御力は抜群だぜ?」
アリエヌス達を同時に押し返すと、両手に握った刃で片方を叩き斬り、返す刀でもう1体も撃破した。