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黑翆造物邂逅 Act 4

その数日後。
この前晴れていたのが嘘のように、外はしとしとと雨が降っている。
誰もが傘をさして歩く街中で、ビニール傘をさし荷物の入ったトートバッグを肩にかけた1人のコドモ…カシミールが歩いていた。
「…」
カシミールは静かに、足元が濡れないよう水たまりを避けながら、自身の住まいである喫茶店へと向かっていく。
細い横道を進み、角を何度も曲がってカシミールはついに喫茶店の裏口へ辿り着いた。
しかし、カシミールは裏口の前で足を止める。
…裏口の扉の傍に、黒い外套を着た人物が座り込んでいるのだ。
しかも先日、カシミールが感じた“妙な気配”もする。
カシミールは思わず呆然としてしまった。
「あ、あの…」
カシミールがつい声をかけると、相手はほんの僅かに身じろぎする。
しかしその人物は何も答えなかった。
「どうかしましたか…?」
カシミールは心配そうに尋ねると、相手は黙ってそっぽを向いた。
どうしたんだろうとカシミールは不安がる。

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世界制服

 ジェニーは35歳、セーラー服がよく似合う。なぜなら、海軍だからだ。
 デイジーは78歳、メイド服がよく似合う。なぜなら、貴族の家で働くメイドだからだ。
 制服って本来こういうものでしょう?
 日本の文化がおかしいんですよ!

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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ -Japanese Robin- 18

その一方、アカはアリエヌスを引き寄せつつ要塞都市から離れるように空を飛んでいた。アリエヌスたちに自らを“親玉アリエヌス”だと思わせるレヴェリテルムの効果を与えているため、アリエヌスたちはアカを“親玉アリエヌス”だと思い込んで追いかけてきているのだ。しかし、多くのアリエヌスにその効果を与えているため、アカ自身には相当な負荷がかかっていた。
さらに、アカはアリエヌスたちに追いつかれないよう身体が耐えられるギリギリの速さで飛行しているため、余計に身体や神経に負荷がかかっており、アカは早速意識が朦朧とし始めていた。
それでも、アカはアリエヌスたちを引き寄せて飛び続けている。モザとロディ、そして他のカテルヴァのアヴェスたちが親玉に攻撃させるため、この作戦を発案した自らを囮にするのが最善だと考えたからだ。
モザやロディたちが親玉を撃破し終えるまで、自分はアリエヌスたちを引きつけていられればいい。全ては、あのアリエヌスを倒し切るまで……とアカが自分自身に言い聞かせたとき、不意につんざくような悲鳴が聞こえた。
アカは思わずその声が聞こえた親玉アリエヌスの方を見やる。すると、背後を飛んでいる小型アリエヌスたちが急に悲鳴を上げてアカに飛びかかってきた。
「⁈」
アカは一気に飛行速度を上げてその攻撃を避けるが、ただでさえ身体の限界ぎりぎりだった飛行速度を上げたものだから意識を失いそうになる。なんとか体勢を維持しようとするが、その瞬間に気が抜けてしまったのかアカの身体は突然重たくなった。そして地上へ向けて落下を始める。
このままでは要塞都市外の地面に激突する——そんな考えがアカの脳裏によぎるが、不意に誰かの腕を掴まれる。アカが思わず顔を上げると、ベレー帽を被ったアヴェスことトログがアカの真上に浮いてアカの腕を掴んでいた。
「トログ!」
アカが驚いて声を上げると、トログは笑みを浮かべる。その直後、上空からアカを追いかけてきていたアリエヌスたちが、トログの上で見えない壁のようなものに弾かれた。

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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ -Japanese Robin- 17

「アカ……」
ロディは思わずこぼす。
「レヴェリテルムの効果でアリエヌスを狂わせて引きつけるって言ってたけど、まさか本当にやるなんて」
「あんな数のアリエヌスに影響を与えるなんて神経に負担が……」とロディはアカの方を見つめる。アカはアリエヌスをできるだけ親玉アリエヌスから引き離そうと、要塞都市の上空から飛び去ろうとしていた。
ロディはそんなアカが心配で空を見上げていたが、モザが「行くぞロディ」と声をかけたことで我に返る。
「アカに言われた通り、親玉アリエヌスを倒さなきゃいけないんだから」
モザがそう言うと、ロディは「うん」と頷く。そして2人はレヴェリテルムを握り直して天蓋を蹴飛ばすと宙に浮き上がり、親玉アリエヌスに向かって飛び立った。

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闇を打ち消す者がいるなら

闇の夜空に一筋の光が放たれた。

月の使者はいつでも私を助けてくれる。

オリオンは私の救い。

シリウスは私に知識をくれた。

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夏休みにはめを外した話

 まったく。
 いい加減にしろ。
 夜中に制服着てぶらぶらして通報されたらどうするんだ。
 コンビニ行っても不審がられなかった?
 そんなわけねえだろ。
 ちゃんとレジの人年齢わかってるわ。
 てかコンビニまで行ったのかよ。
 はあ?
 サイズがぴったりだったから嬉しくてつい?
 ぱつぱつじゃねえか。
 そもそもな。
 娘が夏休みで旅行中だからって、セーラー服借りて着る母親なんてお前くらいだ。

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百舌鳥と愉快な仲間たち_1

「あ゛ーっ!!また引っかかった!!また検診か!週に何回やれば気が済むんだよ!!」
冷房の効いた部屋にブケファルスの大声が響く。
「くっそ…面倒くさい…お前もそう思うよな?俺が検診のときお前留守番だぞ?」
ブケファルスはケースに入った自分のレヴェリテルムに激しく同意を求めた。昔からブケファルスには自分のレヴェリテルムと会話しようとする癖があった。
ピンポーン
突如部屋のインターフォンが鳴る。
「…ん?」
扉を開けると、少年が3人。左は髪のつんつんした不良っぽい容姿で、真ん中は小さくて目が大きく、右は大きく妙に居心地悪そうにしている。
「よぉ!あっ違ぇ、初めまして!」
「僕たち、ドムスの方から君に会ってって言われたんだ。ラニウス・ブケファルスだよね?」
「…その、突然すみません…」
突如左から順に三者三様すぎる挨拶をくらい、ブケファルスは大いに戸惑った。
「えー…えっと…とりあえず、上がるか?」
三人は互いに顔をみやる。
「マジで!?よっしゃお邪魔します!」
「やったね!冷房がこっちまで届いててさっきから涼しかったんだー」
「ええ…そんな無遠慮な…あっお邪魔します」
ブケファルスにとって、初めての同期との交流である。

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大地

水は大地を潤し
大地は緑を生む

あなたの優しさは私の心を支えてくれた

-ポエム-
凍てつく氷を溶かす火は水を生み
水は大地を潤し木々には緑が彩る

人々の優しい心は地球を救う

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水に対して常に感謝の気持ちを発してみよう。

水は身体を癒すって話が本当か分かるから。

雨の有り難さが分かるから。

地球を彩る新緑の有り難さが分かるから。