「だってわたしは、かつてヴァンピレスと同じだったから」
わたしは続けた。
「わたしもずっと独りで、周りの人達から邪険にされて、ヤケになって全てを終わらせようとした」
でも、とわたしは右側を見やる。
「わたしは、ネロ達と出会った」
ネロ達だけじゃなくて、他にも、色んな人達と出会って…いつしか、この日常に意味を見出せるようになった、とネロに目を向けた。
ネロは微かに驚いたような顔をする。
「だからヴァンピレスもそうなれるはず…」
「そんな訳ないじゃない」
わたしが逢賀さんに目を戻した時、不意に背後から声が聞こえた。
ハッと振り向くと、ヴァンピレスが地面に座り込んでワンピースの裾を握りしめている。
思わぬ言葉にわたしが呆然としていると、ヴァンピレスが顔を上げた。
「わらわが、他の異能力者と…人間と、仲良くなれる訳、ないじゃない」
だってわらわはヴァンピレスよ?と彼女は涙目で続ける。
「ふむ……小僧、成長したのう……その呪い人形もな」
清嘉の背中に負ぶさるように抱き着いた“メリーさん”は、その背丈が160㎝ほどにまで伸びており、体つきも幼い少女のそれから成人女性と同等の頭身にまで成長している。
「うん……って“コックリさん”腕ぇ!? そ、もげ、取れてる!?」
「案ずるな、接ぐ宛てはある」
「そ、そうなんだ……?」
「燿子の自我は沈めておるから、あの娘がこの痛みを感じることも無いぞ」
「あ、やっぱ痛いんすね……」
「そんなことよりもほれ、敵前じゃぞ」
“コックリさん”の言葉に、清嘉は改めて愛弥に向き直る。
「ふーん……何か強くなったっぽいけど……木偶人形如き、私の斬撃の敵じゃないんだよッ!」
愛弥は同時に十数本の斬撃軌道を展開した。一斉に迫り来るそれらを、“メリーさん”は背負われた態勢のまま身を乗り出し、材木質を思わせる両腕を振り回して次々と捌いていく。斬撃がその両腕に触れる度に硬質な衝撃音が響くが、それらの一つとして召喚体表面に傷をつけることは無く、受け流されたり弾かれて周囲の地面や壁を切り刻むに終わってしまう。
「あー……“メリーさん”曰く……」
斬撃の弾幕に冷や汗を流しながらも、清嘉は不敵に笑って言い返す。
「『クソガキの刃物遊び如き、メリーさんの敵じゃない』ってさ」
(煽りでめっちゃ脚色したけど……)
その言葉に、愛弥の殺気が更に燃え上がる。
「ブッ殺す!」
激情のままに無数の斬撃を雪崩の如く撃ち出し続けるが、“メリーさん”の両腕がそれらを全て叩き落とすため、清嘉たちより後方にその破壊が及ぶことは無い。
「あと……“メリーさん”、滅茶苦茶硬いってだけでさ……」
次の瞬間、清嘉と“メリーさん”は5m近く開いていた愛弥との距離を一瞬にして詰め切り、愛弥の顔面を人形の掌で掴むように捉えた。
「パワーも割と、あるんだわ!」
そのまま渾身の力で振り下ろしたことで、愛弥は押し倒され後頭部を地面に衝突させた。
「がッ……っ……」
愛弥の身体から力が抜け、動かなくなる。
「……一瞬、じゃったのぅ。流石じゃな、小僧」
「“メリーさん”がすごいんだよ。それに、野火止さんと“コックリさん”も足止めしてくれてありがとう」
「うむ。燿子には妾から伝えておいてやろう」
2100年全てはそこから始まった。
昔は人類たちが共存していたらしいそう、昔だ。
今の西暦が2658年5月18日今の人類は存続をかけて争っていた。国境も領土も無くあるのは大量の武器と命の奪い合いだ。
2100年の7月27日に政府が極秘で保管、管理していた実験体達が各都道府県に脱走した、そして実験体達はそこでその地に住む全ての物に牙を剥いた熊、猪、猿、鷹などの猛獣もその怪物には敵わなかった、そして2100年8月9日その牙は人間に向けられるようになる。怪物達は作物を食い荒らしていた。まだ、そこまでは良かった、だが次第に奴らの人間への恐怖は無くなっていった。そして最初の犠牲が出たのがこの地鳴門の地である。この地に巣食う実験体を現地の人間はγと呼んでいる。γはとても攻撃的な性格であり、姿はおぞましく所々骨が見えてもいるそして何よりあの姿、昔の者達がいうティラノサウルスとでも言うのかわからないがそのティラノサウルスのような見た目であり身体からは緑のガンマ線が漏れていた。そのγは毎日夜になると人が住む地に足を踏み入れ、目に映る人間を皆襲い傲慢の限りを尽くしていた。そこで政府は実験体を排除すべく各都道府県から選ばれし48人を選別しその者たちで対実験体組織を生み出した。
その者達を私達はこう呼ぶ、「不動の渡剣」と。
久しぶりにポエム掲示板に書きに来ました!。今日から毎日出来る限り作品を投稿しようと思うので出来るのであれば応援して欲しいなぁ〜みたいな感じです。
自分の為にだけ戦え!
力こそすべてだ!
それが強さの本質だ!
いいや、違うよ
人の為に動くこと。尽すこと。何がすること。
それが強さってものじゃないかな
【コックリさん】の異聞能力によって張られた結界の中、燿子は少しずつ押され出していた。
「せやっ!」
獣の速度を乗せた、鋭い前蹴りを躱される。カウンターで放たれた愛弥の拳をどうにか腕を盾に受け止め、反動を利用して距離を取る。
「クカッ……お主、能力頼りかと思うたが、案外と空手もイケるクチじゃのう?」
「はッ、こちとら喧嘩慣れしてんのよ。雑魚がケモ耳生えた程度でイキんなよ?」
(ふむ……腹立たしいが事実。燿子の肉体は決して殴り合いに適した体格ではない。妾が速度と感覚を補ったところで、小さく、短く、軽い肉体は如何ともし難い……が!)
「それがどうしたァ!」
再び弾丸のように飛び出し、跳び蹴りを放つ。しかし――
「馬鹿じゃないの? 素手でカウンター取れるってことは……」
回避しながら愛弥の放った斬撃に身を捩るも、宙に置かれた身では行動能力に限界があった。斬撃を躱しきれずに左腕が飛ぶ。
「能力でも同じことができるってことなのよ」
「……クカカッ。面白くなってきよった」
(この損傷……身を裂かれる激痛如き、妾は慣れ腐っておるが、ただの人の身たる燿子には耐えられんじゃろう。悪いが眠っていてもらう他あるまいて……)
傷口を押さえながら、燿子――否、“コックリさん”は呼吸を整える。現在は彼女の手番であり、少なくとも自ら攻めない限り相手からの攻撃を受けることも無い。
(……それにしても『切り札』が『過去』になるのはいつじゃ! 随分と遅いではないか!)
“コックリさん”は愛弥との殴り合いの最中も、常に思考の隅で『再検索』を繰り返していた。求めていた情報が彼女の収集可能な『過去』となる瞬間を待っていたのである。そして、遂にその時が訪れる。
「ッ…………! ク、ククッ、クカカッ……!」
「……あ? 何がおかしいの? 痛みで気でも触れた?」
「クククッ……案ずるな小童よ。貴様を狩る『鬼札』が、最高速度でこの場へ迫っておる。最早この結界も不要じゃろて」
(小僧……! 出来るとは信じとったが……やはり“浄霊”を身に付けて戻ってきおった!)
結界をかき消すと同時、“コックリさん”の隣に一つの――正確には『一つに見えるほど密着した二つの』影が着地した。
「ごめん“コックリさん”! 遅くなった!」
『私メリーさん……今、所有者(あなた)の後ろにいるの!』