やさしいまなざしで僕を溶かして。 これはいとしさなんかじゃない さびしい夢で僕を生かして。 愛想なんて底を尽きたの、からからに しがらみは明日、見えない向こうに くるしい嘘で僕を眠らせて。 ささくれだったグレーにうもれて かなしいことは忘れてゆく それはいいことなんかじゃない 頭に金平糖を詰めて 笑っていたい、僕はいつも 僕はいつも
うだる私をプールに沈めて 酸素の夜明け 生きている 火照る目蓋に君がほしい いっそ力を抜いてしまえば 硬いシーツにも慣れるのかしら 嘘のすべてを見抜かないで 呼吸のリズム 生きている 生きている
水玉模様の中、 息ができない たったひとりのときは 夜明けの薄明かりで しんと冷えたまま もう覚めない どうどう巡りをして 夢もおぼろげな意識におちて 泣けないだけかと問う 泣きたいだけかと問う 私のぬけがらがあったとしても そのぬけがらを背負って 息をしようとする 簡単に捨てられたら軽いのに 夜更けもしんと閉じたまま 待てども待てども まっくらくらのどうどう巡り
花は雪だ 風で降り注がれる花びらのシャワーは 冷たくない雪だ 君の頭に舞い落ちた花びらを もったいないからと取らない君を 似合ってる?と笑う君を 無邪気なきらめきに揺れている また花にうもれて いつの間にか蕾開く 花は恋だ 君の頭にのっている花びらは 淡い色の恋だ
伸びる、消える、影。 落ちる、転ぶ、涙よ、とまれ。 君が、一度、指切りしたの、思い出して、うつつ、ゆらら。 なんで、わたしなのかしら。 ああ、悲愴の雨。 ねえ、知らないふりして、 ねえ、振り返ってよ 灯る、探る、夜。 潜む、塞ぐ、瞳に、映る。 君が、嘘を、ついたの、今、思い出して、うつつ、ゆらら。 なんで、わたしなのかしら。 ああ、うねる悲愴。 ねえ、涙の跡は、 ねえ、隠せちゃうの。 ああ、悲愴の雨。 ねえ、どこまで待つの。 もう、知らないふりして、 ねえ、振り返らない。
君の声をもう一度聞きたくなって、 電話してみたなんてね、どうかしていると思って欲しい またたゆたうように視線を揺らすから、 桜のせいだとか言って笑ってほしい 宝石箱からぽろりとアクアマリンが落ちるように、君のどこかで弱さが落ちたんだ 腕いっぱいに花を、 胸いっぱいに花を、 春を迎えよう 腕いっぱいに広げ、 胸いっぱいの勇気で、 君を受け止めよう たくさん泣いたあとは、もう春がきていたんだねって笑いあいたい
君の心がうきうき弾むならぼくはいくらだって駆けていけるんだよ 約束をしよう、指切りげんまん こぼれたしずく、ひとつひとつすくいあげてくれた 夜のひかりが淡く照らす君の指を眺めていた 君が眠れないときは夜の向こうへ一緒に行こう なんだってこわくないんだよ、目を閉じるときは胸に手をあてて深呼吸しよう また明日笑えるように
冷たいガラスに添った指を見ていた きみのことがきらいだった 危うげな視線 雲模様は雨予報だ 純白はかすんじゃうってわかっているつもり 理性じゃ飛べない 心は不透明だ 天秤を捨ててほしい できないってわかっているつもり
何回だって夢を見られるんだ ぱっ ぱっ ぱっ ぱっ 切り替わる情景に 色彩が舞い散る この胸にくすぶる涙を パレットで溶かして! いつかは笑えるんだと 何回だって思いたい この耳に残る声を いますぐ連れ去って! あなたの後ろ姿 水彩画のようだ ぱっ ぱっ ぱっ ぱっ 移り変わっていく
僕は泣いていたのだ 見つけられない花のことを思いながら 粒ばかりが集まって 完成しないパズルを解いているみたい 歌を歌いながら あの人のことを思いながら 泣けないのだ りんどうの色がどうしても 心を引き寄せる