天使のピアス
飴玉のようなひとみから
ぱたりと落ちてきたひとつぶのしずく
ぼくの目をぬらす その温度はたぶん
きみが人間だったころの名残
朝焼けにのびるひかりはゆがんで
まるで螺旋階段みたいに見えた
羽が生えていることもわすれて きっと
お姫さま気取りで駆けてきたんだろう
水たまりの月にキスするように
星空へ子守唄をささげるように
愛しい記憶は愛しいまま
きれいにしまっておいたはずなのに
まだかなしいよ、情けないぼくだ
いっそ夢であれと願っても
好きなひとの家には忘れ物をするものよって
きみが、きみが言ったんだから、