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妖精たちの反乱(飯テロ)

「もしもし、」と夕ご飯のとき電話に出たのはママで、どうやら相手は清水のおばちゃんらしい。話が盛り上がっているのを良いことに、僕は小さくごちそうさま、と言って席を立つ。食器を片付けるフリをして、アスパラガスを生ゴミと一緒の袋に詰めてしまう。ばれませんように、と願いつつ、背すじがぞわぞわしてるのをごまかすために、ごちそうさまー、と大きな声で。
はーいとママの返事が聞こえた。

僕が妖精たちに会ったのは、そんな日の次の日で。楽しみにしていた給食の揚げパンが、妖精になっていた。いや、揚げパンだけじゃなくて、おわんやお皿に1匹ずつ、アルミのおぼんにのっているもの全部。そして僕の方を見て口々にこんなこと言うんだ、「きみ昨日アスパラガスを捨てたね。」
「捨ててない」「いや捨てただろう、ボクたちは見ていたよ」「なんでよ、てか誰なの」「ボクたちは妖精、ところできみ、今日の給食は楽しみにしていた揚げパンだよね」「僕のはそれが妖精になってるんだけど、」むすっとしている僕をよそに、妖精たちは ははは、と甲高い声で笑い出す。「きみの分はボクがもらったよ。返して欲しけりゃもう食べものを捨てたりしないって約束するんだね」ふよよ、と僕の鼻先に浮かんだ揚げパンの妖精は、意地悪なことに揚げパンの匂いがうんとして。
「そんなのムリだって!」
「ねえサトシくんさっきから誰としゃべってるの」聞いてきたのは隣の席のアユミちゃんで、
あ。その手には揚げパン。
「アユミちゃんごめん、それ一口ちょうだい」「え」ぱくりと口の中に楽しみにしていた揚げパンが拡がって、キャーーッと妖精たちの黄色い悲鳴が教室に響いた。

だからと言って嫌いなものは嫌いだ。僕は相変わらずアスパラガスは残すし、妖精たちはキャイキャイ騒いで現れる。あと変わったことといえば、僕がアユミちゃんを、アユミと呼ぶようになったこと、だろうか。

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その時、トイプードルに電流走る!!(物理)

「俺ぁよ、アイツに会ったときに死を覚悟したんだ。」
愛知県某所在住のトイプードルさんは、噛みしめるようにゆっくりと語り始めた。
「最初に目に入ってきたのは、黄色い毛並みに赤い真ん丸ほっぺさ。赤いとこがバチバチ音をたてて放電してやがった。戦闘準備万端って訳だ。こっちはボール追っ掛けながら公園走り回った後でぐったりしてんのによ。洒落にもならねえ。」
ふわふわの茶色い毛に覆われた小耳を上下させながら、トイプードルさんは小柄な身を小刻みに震わせる。
「勝敗は最初から決まってたんだ。そこへさらにあの声が聞こえた訳よ。『ポ○モン、ゲットだぜ‼』甲高い声だ。ヤツの背後から聞こえてきやがった。こいつが聞こえちゃ、もうどうにもならねえ。俺のこの愛くるしい尻尾も、一気に臨戦体制に入る。」
彼は、その愛くるしい目を閉じて、真ん丸の尻尾をピンとさせた。
「だがそのときだ、愛しのご主人が投げた緑色のボールが、俺とヤツの間を横切ったんだ。俺ぁ思わずそのボールを目で追っちまった。その隙にヤツは、俺の全身に電気ショックを食らわせやがった。俺ぁ毛並みが良いからよ、電気の通りも良い訳だ。身体中がちぎれるように痛んだ。あまりの痛みに俺ぁ、そのまま気を失っちまった。」
再び開かれたその愛くるしい目には、微かに涙が浮かんでいた。
「気がついたときには、近所の今西動物病院のベットの上だった。完敗さ。俺ぁアイツに手も足も出なかった。可愛さでは負けてねえつもりだが、まだまだ修行が足りねえな。ま、ご主人と一緒に一からまたやり直しだ。」
トイプードルさんは深いため息を吐き出すと、どこか晴れ晴れとした顔で部屋から出ていってしまった。

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ファヴァー魔法図書館 #38

『ノスタルジイ』

ぽたり......ぽたり......。

次の瞬間、ガラシャの顔にはガラシャが干からびてしまうのではないくらいのの涙が流れていた。
「ねぇ、ユリ。」
ガラシャは流れる涙以外は無表情で呟いた。
「ねぇ、これが正解だったのかしら。
全ての記憶を取り戻して、果たして幸せなのかしら。もしかしたら私酷い間違いを犯してしまったのかもしれないわ。いや、きっとそう。」
ユリはゆっくりと言った。
「そんなことまだわからないさ、それはこれからの君次第だよ。ただひとつ言えることは、君はこの図書館の外の国のお姫様で君はここに連れ去られてきたってことさ。」
ガラシャはまだ流れる涙を拭いて言った。
「一気に思い出してしまったの、怖いことを。
私、どうしたら良いんだろう。
でも一つだけわかるわ。私、あそこには帰りたくない。帰ってもどういう顔をすればいいかわからないよ。」
ユリはまたゆっくりと、今度は言い聞かせる様に、
「ガラシャ、今決めなくてもいいんだよ。ゆっくりとゆっくり決めればいいから。
今日は疲れたでしょう。一旦寝なさい。心を落ち着ければ見える景色も変わるよ。」と言った。

ガラシャが寝てしまった後、ユリはアパルトマンの外へ出て柄でもなくののしった。
「鵺ェェェッ!!貴様聞いているかァァァァッ!!
貴様だけは、貴様だけは絶対に許さんぞォォッ!!
この虚構を壊してもなッ!!」
その声は、無機質の空に虚しく響くだけである。

To be continued #39 第4章最終話↙
『虚構の崩壊、ロマンチック逃避行』

P.S.あとがきだけでもほっこりとしていって。
暇な時になんとなく意味わかんないタイトルを思いつきます。
だいたい使えませんけど。少しここで吐き出しておきます。良ければ使って頂いても結構です。
・その時、トイプードルに電流走る!!(物理)
・樹海ロスト
・着メロしかないオーケストラ
・ベラルーシのおとなたち
・妖精たちの反乱(飯テロ)
他にももっとあるんですけどこの使えそうなお(か)しいものたちを供養しときます。
これを文章化してくれる人が出てくる事を祈って笑

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ファヴァー魔法図書館 #37

『サルヴェイジ』

ある朝のこと、
「ねぇ、ガラシャくん。」
と、ユリはガラシャに向って話しかけた。
そして、
「君の記憶を取り戻す準備は整った。これから私は君の望む通りに事を運ぶ事にする。」
と、続けた。

ガラシャは余りにも突然のことに唖然とした。
ガラシャは記憶を取り戻したい、それは揺るぎない願いであり意思である。
それと同時にガラシャは本能的にユリとの別れを覚っていた。
その時、齢九つのアタマは『揺れた』。
そしてひとつの答えを出した。
「ユリ、私もう怖くない。記憶を取り戻したい!」

ユリはゆっくりと頷いた。
そして話し始めた。
「それじゃぁ、これから君の記憶をサルヴェイジするけど聞いてね。
君の記憶は私の魔法で引き上げるんだけど、ひとつ難点がある。
サルヴェイジと言っても思い出させる対象を見分ける事が出来ないから、結果的に君はこれまでの記憶を全て取り戻すことになる。過去の些細な会話とか、これまで食べたパンの枚数さえも思い出すことになるけどいいね?」
ガラシャの返事は決まっていた。
「言ったでしょう、もう怖くないって。」
ユリは笑顔でガラシャの前にしゃがみ耳元で囁いた。
「何があっても動揺してはだめ。だめだからね。」

ユリは立って、グリモワールの詠唱を初めた。
部屋は眩い光に包まれた。

To be continued #38 『ノスタルジイ』

P.S.#36なんてなかった、いいね。
#36は暗号化されたグリモワールの内容を書こうと思って投稿したんですが、いかんせん乗りませんでした笑
なんとなくここで内容を変更してやってしまうのが嫌だったので#36はなかったことにしました。ってけーねが言ってた。

物語はここからクライマックス。
......だと思う。

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ファヴァー魔法図書館 #35

『キャンバスナイト』

ガラシャは起床したとき、謎の違和感に襲われた。
ユリの様子がおかしいのである。
しかし、ガラシャにはその本質を読み取る事は出来ない。
ガラシャはまだ9歳なのだから。

ユリは突然ガラシャにプレゼントをした。
内容は、ただひとつの真っ白なキャンバスだった。
ガラシャにこれを渡す時ユリは言った。
「心を見て、心で描きなさい。」
ガラシャからしたら意味のわからない言葉だった。
心を見るとは、心で描くとはどういう事なのか。
しかも一体どういう意図で渡されたのかもわからない。

取り敢えずガラシャは誰も居ないところへ行って考えて見ることにした。
そしてガラシャは『地上の果て』へ向かった。
ガラシャはずっと座っていた。
ずっと座っていた。
座っていた。
気がついたらガラシャの隣に一人が座っていた。
漆黒のスーツを着た何かが。
それは突然話し始めた。
「ねぇ、君は何を目指しているの?
僕にはわからないくらい君の心は散らかっている。
そんなに散らかっているとなくし物をしてしまうよ。
少し片付けようか、顔を少し近ずけて。
僕の目を見ずに、中空を見るんだ。」

ガラシャは疲れきっていた。
もう何が何でも良かった。
ガラシャの脳内に思い浮かんだのは、
襖から一度見た夜空とひょうという声だった。

ガラシャが正気を取り戻した時、何かはもういなかった。
キャンバスは相変わらず真っ白だった。
でも最初とは明らかに違くみえた。

視覚など所詮ただの感情の写し鏡。
本来映さねばならない物よりも、
感情というフィルターの方が近いでしょうに。

To be continued #36 『グリモワール』

P.S.世の中にはたくさんの景色があります。
でも、僕ら人間って一生かかってもその景色の1%も見ることができないんですよね。
人間の一生に対して世界って広すぎます。
何だかこういう連想ゲーム楽しいです笑

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ファヴァー魔法図書館 #34

『管理人、来邦』

こんこん...こんこん...
夜、ユリ以外の全てが寝静まった夜。
アパルトマンのドアが小気味よい音を立てた。
「やあこんばんは、違ったら失礼、此処はユリ・ロトウのお宅かな?」
「ええ、多分そうだわ。いいよ、入って。」
ドアがゆっくりと開き、一人が入ってきた。
『管理人』である。

「頼み事があってね。......とっても大事な。」と前置きして管理人は話を始めた。
「僕の勢力圏内にあるネペジの大切な女の子がいなくなってしまってこの街で目撃されたらしいんだ。それで、君にその子を探して欲しいんだけど、頼み事は出来ないかな?」
ユリはゆっくりと立ち上がり「わかったわ」と言った。
管理人は少し口角を上げて特徴を言い始めた。
「歳は9歳で身長は低め。目撃時着ていたのはローブでその中に紅いシャツを着ていて......」
ユリはゆっくりと瞬きをした。
そしてゆっくりと話し始めた。
「ある程度絞れはしたけど、最後に一つだけ名前を聞かせて貰おうかしら。」
管理人は片目を瞑って応えた。
「名は宝条ガラシャ、ネペジの元首『宝条八千代』の妹だよ。」

かたん...かちゃ...
ユリは管理人にいつものハーヴティーを淹れた。
摩天楼の絶えることの無い光に照らされて液面は重い体を動かす様に揺れていた。
管理人はキッチンの戸棚から瑠璃色の角砂糖を取ってきてティーカップに二つ入れた。
ちゃぷん
と不敵な音を立てて角砂糖は液面へ吸い込まれ、消えた。
ユリと管理人は無言でその様子を見ていた。
虹色の湯気をあげて、液面は揺れていた。
管理人はハーヴティーを片目を瞑り一口飲んだ。
ユリは棚から煙管を取ってアパルトマンの外へ出ていってしまった。

記憶とは糖度の高い果実。
心とは限りなく澄んだ水。
意味の無い、二人だけの秘密。
甘くない、誰も取らない果実。

ユリが絶対吸うことのない煙管は虹色のような星色のような煙を天に上げていた。

To be continued #35 『キャンバスナイト』

P.S.まさか、まさか書くのに三時間かかるとは。

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ファヴァー魔法図書館 #33

『空の境界は地上』

魔法都市ミコトはドーム状の無機質の空間の中にある。
そのため、地上の果ては空と繋がっている。
ユリとガラシャはこの日、誰も居ない地上の果てに来ていた。

この場所からは街の高楼が良く見える。
物悲しい摩天楼も。
「.........あそこが街の中央にある時計台で、あそこが魔法で雲を生成している煙突よ。」
ユリは眼鏡をかけながらガラシャに丁寧に説明していた。
ガラシャは一通り説明を聞き終えてから暫く口を閉じてしまった。
ユリは、その間持ってきたサンドウィッチを食べながら街の摩天楼を眺めていた。
そして、ガラシャが口を開いた。

【光の集まりは
実りし言の
葉を散らす
杞憂の天に
思ひをはせる】

ユリはサンドウィッチを食べ終わり口を開いた。
「なぁるほど、君は韻文を詠むのか......君は私の師匠と同じだね。」
ガラシャは少し恥ずかしくなってユリに言った。
「ち......違うの。これを詠もうと思って詠んだんじゃないの。無意識にこの音が出てきただけなの。」
ユリは少し納得した様子でガラシャに
「なら尚更だよ。もしかしたら君の記憶を取り戻す手掛かりになるかもね。」
ガラシャはその話を聞いて嬉しいような恥ずかしいような顔をした。

To be continued #34 『管理人、来邦』

P.S.授業受けていてなんとなく思ったんですけど。
漢文ってあるじゃないですか。
あれのいつか役に立ちそう感は異常だと思います。
言いたいのはそれだけです笑

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ファヴァー魔法図書館 #31

『ガラシャのたぶんはじめてのお使い』

ある日ユリは突然こう言った。
「ガラシャ、君にひとつ魔法を教えてあげよう。」
ガラシャは少し迷ったがこう言った。
「どんな魔法?」
ユリは企む顔をしてこう言った。
「力持ちの魔法だよ。」

「......そんで、このグリモワールを読んで......そうそうそんな感じ......よし、出来た。
これで君は少しの間力持ちだよ。」
ユリは少しあざとい顔をしてこう続けた。
「それでさぁ...あの、ひとつ頼まれ事をしてくれないかしら?」
ガラシャはこの時心の中で、あぁあの時断っておけばよかったと後悔した。
「どんな頼まれ事?」
「あのね、お使いをしてきて欲しいんだ。」
「何を買ってくればいいの?」
「このメモに書いてあるやつ。」
「わかった、行ってくる。」
「ごめんね、行ってらっしゃい。」

―表
ガラシャは魔法都市ミコトの中心街へ向かって歩いていた。
「もう何よ、ユリったら。ひどいよ。」
こんなことをぶつぶつ言っていたら着いた。
ユリが買ってこいと言ったのは、一週間の食料と蛍と沢山の便箋と芍薬の花である。
食料は何処でも買えるがほかの物は特定の場所でしか買えない。
おかげでガラシャは街の隅から隅まで歩く羽目になった。
ガラシャは歩いている最中街を見て、この街はなんだか哀しい街だなと思った。
永遠とも思える摩天楼もガラシャの目にはなんだか物悲しく見えた。

アパルトマンに帰ると壁に積まれたグリモワールが崩れていて、ユリが片付けをしていた。
ユリはガラシャを見て、
「おっ、丁度いい所にガラシャが。
すまないが頼まれごとを.........。」
ガラシャは呆れてこう言った。
「もう、ユリは仕方が無いわね!」

Coming soon ―裏⬇