僕の景色
車が通る道路に背を向け歩いていく
車が通る音から背を向け歩いていく
終わらない坂道
足を速めようが遅めようが終わらない
靴底と地面が擦れる音
頭の中 君の歌声 子供のように喚き出す
いつも同じ 音が回る
いつも同じ 景色が見える
「覚えてないの」と声がして
そんな事ないと頭を探っても
出てこない どこへ行った
覚えたいことさえ覚えられない
忘れたくないこと忘れてしまう いつもの景色さえ
思い出だけじゃない
あの元素記号もあの漢字も
覚えられない どこへ行った
悪戯なら止してくれ
僕の大事な記憶を 大事な思い出を
奪わないで 取り上げないで
そんなことなら
ずっと憎かったあの坂道の方がよっぽど好きになれるさ