卒業式のあと
卒業式のあとに、私は…。
ぎこちない笑みを浮かべていた。
3月7日、午後3時。2年間お世話になった生徒会の広報室で、私たち卒業生を送るために後輩たちが開いてくれた集まりが続いていた。某委員長を務めた私は、当然参加。花束や色紙をもらったり、みんなでお菓子を食べたり、ワイワイと楽しんだ。そこには学び舎を去ることに対する哀しさはなく、いつもの男子のおちゃらけや女子の控えめな態度があり、それまでの日常となんら変わりがなかった。
ただ、そこにいたうちの数人にあった特別なこと。それは某国立大学の合格発表。私もその1人だった。みんなの前で堂々と見るような男子とは違い、恥ずかしくてできない私はトイレに駆け込み、ホームページから確認する。大きく掲げられた合格発表のページ。すぐさま入って確認する。私の番号がありますようにと願いながら…。
だけど、私の番号はなかった。
信じられなかった。頭が真っ白になった。心臓の鼓動が速くなる。ずっと行けると思っていた。なのに、なのに…。
広報室に戻る。もちろん平然を装って。どうやら、あの男子たちは合格したようだ。嬉しそうに騒いでいる。心が締めつけられる思い。部屋に充満するその空気に耐えられなくなって、すぐに部屋を出た。その足で、ずっと信じてくれてた担任の先生に報告する。もちろん悲しさは隠して。気持ち切り替えて後期頑張ろうと言ってくれた。その時はその言葉を信じるしかなかった。
再び広報室に戻る。嫌でもその時に私に与えられた場所はそこしかない。座っていた席に戻り、お菓子を味わったりどんちゃん騒ぎの男子たちを見て笑う。泣きたい気持ちを同居させながら。自分でもわかる。あの笑顔は純度100%の笑顔じゃない。今にも悲しみに押しつぶされそうな、ぎこちない笑みだった…。