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世にも不思議な人々60 見せる人その2

「阿呆とは何だ阿呆とは!初対面相手に失礼じゃないのか!確かに考え無しにやって来たのは自分でもどうかと思うけどさ!」
「まあまぁまぁ落ち着け」
キタ、今は嵐山斎六と呼んだ方が良いだろうか、が何とか宥める。
「で、要するに僕が消えればそれで解決ってことで良いんだね?」
「ん、あ、ああ。あんたが死ねばそれで解決よ。けど、どこの世界に自分から進んで死にたがる阿呆がいるんだ?」
「お前十代の死因の一位だか二位だかが自殺だって知ってる?まあこうするんだよ」
キタがそう言って自分の背後に手を向け、直径およそ2mほどの大穴を『可視化』した。
「ん?そんなの見せてどうするんだ?」
「変に騙すとか通用しない気が」
真琴と初は不思議そうにしている。
「こうする」
キタは倒れ込むようにして、そのただの幻覚であるはずの大穴に飛び込んだ。そして、そのまま居なくなってしまった。
「「……ええええええええええええ!?」」
初と真琴が派手に驚いた。
「え!?何今の!?嘘だろ!そのまま入ってっちゃったけど!」
真琴が大穴に手を突っ込む。
「うわっすげえ!ちゃんと空間に穴が空いてる!あの人の能力って可視化じゃなかったのか!?」
「……えっ、あ、じゃあ、これで達成?え、嘘だろぉ……。何かあっさり……」
と、ここで空中に再び穴が開き、そこからキタが現れた。
「えっ」
「また出た」
「え、嘘でしょ」
吾魂も一緒になって驚く。どうやら吾魂になる前の性格が少し出ているらしい。野望達成により先代までの性格は、所謂『成仏』したのだ。

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世にも不思議な人々59 見せる人その1

所変わって、主人公たちの住む街では。
初が本屋に小説の新刊を買いに行き、そこで参考書を見ていた真琴に遭遇し、なんやかんやで一緒に出てきたところにヌエを連れたキタが偶然出会し、その結果、第一コミュニティ+αという不思議な組み合わせが完成していた。
「へー、別次元から来た能力者か」
「マジか。まさかあのハブアウィル次元の人間に会えるとはな」
「そっちではそんなに有名なんで?」
「まあ、少しね」
「じゃあ、お前も『ネクロマンサー』とか『クラーケン』とかと会ったことあるのか?」
「いやー、あんまり他の異能力者とは話さなかったもんで。あ、けど二十五代前の僕が初代ネクロマンサーの誕生を見たことがあるぜ」
「マジで。良いなー」
「良いだろー」
と、そこに。
「やっと見つけたぞォッ嵐山斎六!!」
立ち塞がるように現れたのは嵯峨野吾魂。
「なあヌエ、お前、嵐山って苗字だったりしないか?」
真琴が尋ねる。
「しないなー」
「じゃあ……」
四人が揃って後ろを見た。
「馬鹿野郎共が!後ろにゃ誰も居ねえよ!んな古いネタをやんな!お前だよ!」
彼が指差したのは、何とキタであった。
「「え、えええええええ!?」」
初と真琴が同時に驚く。
「キタさん名前あったの!?」
「いやそれは当然として!そんな古臭い名前だったのか!?」
「悪かったね古臭い名前で。……そうか、君があの『アコン』か。で、何の用だい?」
「あんたには死んでもらう!それこそがもう遥か昔、六代目からの悲願だからな!」
「そんな武器も無しの丸腰でよくそんなことが言えたね。どうやって死んでもらうつもりだい?」
「え、……あっ!考えてなかった!」
「阿呆か」
「阿呆かな」
「阿呆だな」
真琴、初、ヌエの意見が見事に一致した。

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世にも不思議な人々58 受け継がれる人その3

少年は困惑していた。それも当然である。一日のうちに自殺しようとして、謎の老爺に会い、その老爺が目の前で死に、性格が豹変し、突然身体が動くのを止めるという、普通有り得ない経験をいくつも続けざまにしたのだから。
(……一体何だったんだ……?突然性格が変わったと思ったら身体動かなくなるし。大体何だ吾魂って。厨二病かよ。キラキラネーム過ぎるだろ)
身体の動かない中、頭の中だけで考えていたところに、別の何かが語りかけてきた。
『オイコラテメー何ヲシタ?トットト身体ヲ動カセ。野望ヲ果タスノダ』
そこに更に別の何かが割り込んできた。
『残念ダッタナ。コイツニハ既ニ先客ガ居ルンダヨ。ソレガ俺様ダナ』
『アァ?テメーガ原因カ』
『言ットクガ、俺ノガ先ニ来テタカラナ』
『エ、マジカヨ。ケド俺ヲコイツニ送リ込ンダノハアノ爺サンダカラナ』
『ソウイウ能力ナノカ。ソレハヤベーナ。一人ニ二ツ能力ガアルノハ駄目ナ気ガ』
『ケド実際起キチマッタ』
『ジャアシャーナイ』
『提案ナンダガ、俺ガコイツノ脳ミソニ取リ憑イテオマエガコイツノ精神トイフ概念ニ取リ憑ケバ解決ジャネ?』
『メイアンヤナ!明ルクテ暗イ!』
『ソレ明暗』
(何喋ってるんだこいつら?っつーかこいつら何者なんだ?)
少年の身体が再び動くようになった。
「いってて……。転んで身体を打っちまったよ。とにかく!忌まわしき嵐山家の最後の一人、滅ぼしに行きますか!どこ居るか知らんけど!」
どうやら今の彼は嵯峨野吾魂のようだ。
「…しかし、マジでそいつは何処にいるんだろうな?先代までの記憶によると、住んでる街までは割り出せてる……って!殆ど分かってんじゃあねーか!何でやらなかったし!」
『ソレハ能力ヲイツマデモ遺シ続ケルタメダゼ』
『吾魂』の能力が語りかけてきた。
「へえ、そうかい。けどこれ、野望達成したらどうなるんだ?」
『ソシタラオ前自身ノ野望ノタメニ生キロ』
「なるほど。そういうことか。あれ、ますます達成して良くね?」

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世にも不思議な人々57 受け継がれる人その2

少年が慌てて崖の下を覗き込むが、老爺の姿はもう遥かに下方にあり、見ること能わず。
「……何だったんだ今の」
不審がり考えていると、突然少年の頭の中に大量の情報が流れ込んできた。まるで、『六、七百年生き続けている人間の記憶がそのまま彼の頭に移植されているかのように』!
「うぬぁっ、ぐあああああぁぁぁぁああ……」
そして数分後、それが終わったらしく彼は立ち上がった。しかし、どうやら様子が先程までと違うようだ。
「……くフッ。ヒャッヒャッヒャッヒャッ。これが『俺』の新しい身体か。ちょいとばかし運動不足なんじゃあねえのか?」
一人称まで変わり、まるで別人格に乗っ取られたかのようである。
「まあ良いや。……第十三代嵯峨野吾魂。先代の野望は我が身命の全てを以て果たしてやろうじゃあないか」
どうやらガチに別人格関係のようだ。
「さて、先代の野望とは……?なに、『或る血統の滅亡』?ハハッ、こいつは物騒だ!……え?嘘だろ、件の血筋、残り一人って。つまんなっ。頑張って滅ぼせよ。何でそんな微妙な感じで残してたし。しょうがねーなー。俺が達成してやりますか!」
そう言って、崖とは反対側に歩き出した。
ところが、数歩行ったところで突然、まるで操り人形が糸を切られたかのように倒れこんだ。起き上がる気配が見られない。あたかも、『彼の身体が動こうと考えることを止めてしまったかのように』。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 6.ハルピュイア ㉕

「…まぁ、な」
彼はくく、と笑って続ける。
「例えそうなろうとも、友達だし…いやだからこそ、か」
そしてちらと斜め後ろに目をやった。
「…あとそれを望んでる人がいるし」
耀平の視線に気づいたらしき黎が、慌てて目をそらした。
「確かにねー…黎ってボクら以外にあんまり友達いないし」
「いやお前も基本おれら以外にに友達いないだろ」
…が、学校行ってねぇからしゃあないだろ、とネロは自分をいじってきた耀平に対して口を尖らせる。
「…そうなんだ」
「…何か悪い?」
わたしの何気ない言葉に、珍しく黎が反応した。
「あ、いや…別に」
「ならいいけど。…別に、こっちは最初ただの抑止力のつもりだったから。それがいつの間にか…」
話の途中で、何か言いにくいことでもあるのか彼の言葉が途切れた。
「いつの間にか…⁇」
その続きは?と言わんばかりに耀平はうつむいている彼の顔を覗こうとした。
「…耀平、それ以上やると軽く首絞められるぞ」
黎が言いたいことに気付いているのか、師郎は苦笑いしながら耀平をとがめた。
え~と笑いながら、耀平はネロと一緒に黎の顔を見ようとしていた。
…わたしは、異能力者はやっぱり只者じゃないんだと思いながら、彼らの平和な光景を眺めているばかりだった。

〈6.ハルピュイア おわり〉

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世にも不思議な人々55 ヌエ

ヌエはどうやら、別次元に飛ばされたようだ。
「おお、飛んだ飛んだ。さて、ここは一体何処なんでしょうね?」
そこに現れたのは、皆さんご存知キタさんだ!どうやら、というよりやはり、ヨニヒト次元だったようだ。
「お、能力者。……?けどちょっと毛色が違う?何だか分からんが、まあ色々見せてもらいましょうかね」
と、彼がヌエに対して能力を行使した瞬間、彼の目に、通常の人間ならば有り得ない量の情報が、『可視化』された。
「うおっ、う、うおぇぇ……。何だ今の。吐き気したぞ。君、本当に人間か?」
「んあ?ええそりゃーもう、太陽が東から昇って西に沈むのと同じくらい確かに、あっしは人間ですぜ」
今度は『あっし』か。
「よっしゃ、もっかいやってみよう」
再び能力が行使された。しかし、今度は何故か何も『可視化』されなかった。
「あれぇ?おっかしーなー。君、何かした?」
ニタニタしながらヌエが答えた。
「あ、また『アレ』が出てましたか。何をしようとしてたのかは分かりませんが申し訳無い。いやね、このヌエ、『より不可解な方向に行く』という能力でして、多分貴方のやろうとしたことが不可解にねじ曲がったんでしょうねぇ」
「ふーん、道理で。しかしヌエ、もしかして他の次元から吹っ飛ばされたクチだったり?」
「しますな」
「ほう。実はつい最近君と同じ出自の奴がこっちに来てさ、まあ君ならきっとこっちでも上手くやっていけるだろう。なかなか良い性格をしているからな」
「そいつは有り難いお言葉。しかし生憎とこちらの能力者事情は全く知りませんゆえ、色々教えてもらいとうございます」
「ああ、喜んで」