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我流造物創作:ロール・アンド・ロール! キャラクター紹介③

・ツファルスツァウル Zufallszahl
身長:145~220㎝  武器:ダイス
ある遊び心に溢れた魔術師の生み出した使い魔。刻まれた術式の効果は『ロールの実行』と『乱数による能力の増減』。ダイスによって『ロール(役割)』を決定し、『ロールプレイ(RP)』によって戦う。「A~C」の3システムそれぞれにスタイルの異なる6つ、計18のスタイルが付随している。実際はダイスを振る必要無くロールセレクトや行動が可能ではあるが、ダイスの出目に従うことで最大出力が更に向上する(下振れもある)。ちなみにRP中に死亡した場合は「システム」の終了として処理され、本体は死なない。同じシステムで『卓』を開くためには、多少のクールタイムが必要。
RP中はロールごとに人格が変わったかのように振舞うが、全てツファルスツァウルが自我それ自体はそのままに『演じて』いるだけであって実際の人格は1つだけなので、はい。
非RP時の外見は銀髪ショートヘアに青目の身長150㎝弱の子ども。服装は白いオーバーサイズのパーカーとショートパンツ。非RP時は引きこもりなので足元は素足。人格はやや希薄だが女性寄り。現マスターが赤ん坊の頃から一緒にいた。
ちなみにマスターの事は「にぃ」と呼ぶ。兄ではない。

・ツファルスツァウルのマスター
年齢:24歳  性別:男  身長:170㎝
ツファルスツァウルを創り出した魔術師の息子であり、現マスター。術式や魔法の使い方も父親から教わった。
生まれた時からツファルスツァウルが傍にいたため、ツファルスツァウルのことを昔は姉だと思っていた。今もその感覚は抜けきっていない。人間ですら無いと知ったのは中学生のころ。流石に姿が変わらなさすぎることに疑問を持ち、本人に尋ねたら教えてもらえた。大層驚いたそうな。
RP中のツファルスツァウルのことは道具として見ている。

・ナツィさん
今回、勝手に射程攻撃を覚えた。【神槍】は「刺突」なので、本来大鎌による行使はとても難しいが、ナハツェーラーさんなので。

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我流造物創作:ロール・アンド・ロール! キャラクター紹介②

・河上桐華(カガミ・キリカ)
年齢:17歳  性別:女  身長:169㎝
ツファルスツァウルのロールの1つ。システムBロール2。肩甲骨辺りまでの長さの黒髪をポニーテールにまとめた長身の眼鏡少女。基本的に長袖のセーラー服姿でいる。足元は黒いタイツとスニーカー。全長約1.2mの日本刀〈雨四光〉を用いた剣術で戦うが、最も威力を発揮するのは間合いを取った射程戦。練音ちゃんをフロントに置いて後ろから【神槍】し続ければ多分最強のコンビになれるけど、ツファルスツァウルの身体は一つなので実現はまず不可能。〈雨四光〉の銘の由来は「1足りずとも確かな輝きを放つべし」。ダイスゲー的にとても縁起が悪い。
ナツィさんに対するリスペクトはいまいち足りてない。好戦的な気質なのでまあしゃーない。
ちなみにマスターの事は「ボス」と呼ぶ。
※メタ的には『忍術バトルRPG シノビガミ』より流派:鞍馬神流のPC。【接近戦攻撃】の指定特技は《刀術》。習得忍法は【陽炎】【狭霧】【神槍】【先の先】。奥義の【鏡刃・乱影断】の効果は「範囲攻撃」。指定特技は《瞳術》。逆凪上等で先手を取り、-3ペナルティ入り(※1)の回避困難な高火力(※2)の突きを叩き込む。基本的に先手を取るためプロット5~6に貼り付いている人。
※1:【狭霧】は相手の回避に-1ペナルティが入るパッシブスキルみたいなもん。【陽炎】は使うと次の攻撃に対する相手の回避に-2ペナルティが入るアクティブスキルみたいなもん。
※2:【神槍】は『遠距離にしか撃てない』射程技。2点ダメージ。【先の先】は相手より先手を取ると1点追加ダメが入る技。理論上、敵を2手で殺せる。

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我流造物創作:ロール・アンド・ロール! キャラクター紹介①

・木下練音(キノシタ・ネリネ)
年齢:13歳  性別:女  身長:145㎝
ツファルスツァウルの『ロール』の1つ。システムBロール6。黒髪ロングヘアの華奢な少女。黒い和装には金糸で蜘蛛の巣柄の刺繍が施されており、背中の部分は蜘蛛脚展開のために大きく開いている。
背中から大蜘蛛の脚を展開し、攻撃に利用する。だが、真に得意とする領域は、近接武器でさえ邪魔になるほどの『超』接近戦。自身の周囲極めて狭い範囲にのみ展開される蜘蛛糸の防御結界と攻性結界を駆使して相手の動きを阻害し、相手の動きを封じてからチクチク攻める。実は奥の手として射程攻撃もある。
ちなみにマスターの事は「主殿」と呼ぶ。
※メタ的には『忍術バトルRPG シノビガミ』より流派:土蜘蛛のPC。【接近戦攻撃】の指定特技は《異形化》。習得忍法は【鬼影】【雪蟲】【鎌鼬】【糸砦】。奥義の【外法・御霊縛り】の効果は「判定妨害」。基本的には相手の命中判定に-3ペナルティぶち込んだうえで(※1)判定妨害で強制的に失敗にまで引きずり込む(※2)。練音ちゃんは基本的にずっとプロット値3~4に貼り付いている(ファンブル値が3か4)ので、コンボが決まれば相手は勝手に逆凪(※3)に引きずり込まれる。実は別に攻撃役がいた方が活躍できる。
※1:【鬼影】の効果により、相手は自身に対する命中判定に-2のペナルティが入る。また、【雪蟲】の効果によって、同じプロットにいる他のキャラクターは命中判定と回避判定に-1のペナルティが入る。
※2-A:『シノビガミ』の判定は2d6振って5以上なら成功。「判定妨害」は相手のダイス1つの出目を強制的に「1」にする=最大でも相手の2d6の結果は「7」になる。あとは分かるな?
※2-B:『シノビガミ』のルール上、同じプロットにいる奴らの行動は「同時に」行われている扱いなので、逆凪になってももう1人が行動し終わるまでは逆凪の影響は受けないんですが、そこはまあ、ノリ重視で。はい。
※3:『シノビガミ』では戦闘中ファンブルすると、そのラウンドの間あらゆる判定で自動失敗するようになります。これが「逆凪」。先手を取った奴がうっかり逆凪になると、後手の皆さんにボコボコに狙われても回避できなくなる。怖いね。

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我流造物創作:ロール・アンド・ロール! その⑮

「練音ちゃんから見て、どうだった?」
「私の守りの強さが露呈したと思います!」
「うん、自分でカスタムしてて思ったけど、君と戦うの絶対つまらないよね……全然当たらないんだもん」
「ナハツェーラーさん、すごい使い魔だって聞いてたのに……私の防御を抜けないなんて不思議でしたねぇ」
「そりゃそうさ。理論上、君の防御は『絶対』成功するんだもの」
「あ、あといっぱい逆凪させられました!」
「出目が味方したねぇ……。桐華さんとは正反対だ。とにかく、よく戦ってくれたね。……ところで質問なんだけど」
「はい」
「次、ナハツェーラーさんと戦ったとき、勝てると思う?」
「…………感覚としてはなんとも……ってところですかねぇ……」
「ふむ。理由を聞いても?」
「はい。まず、私の得意な間合いがバレました。近距離戦にはもう入ってもらえないでしょう」
「けど、ナハツェーラーさんには射程能力は無かったはずだよ」
「【神槍】です。キリカさんが技を盗まれました。私の術は全部、『蜘蛛』と『呪術』に由来してるので良いんですけど、キリカさんは体術メインですから……。こちらも【鎌鼬】はまだ見せていなかったので、恐らく1回は射程戦に食らいつけるでしょうけど…………あちらの方が間合いでは勝っているので。私が死ぬ前にあちらの『逆凪』を誘発して、あちらが慎重になってくれれば、あるいは」
「……うん。とにかく今日はお疲れ様」
「ごめんなさい、勝てなくて……」
「いや良い。別に本気で勝てるとも思ってなかったし。むしろ予想以上に届いたなって感じだよ。今日はゆっくり休みな、“ツファルスツァウル”。桐華さんと合わせて結構消耗したでしょ」
「はい。それではおやすみなさい、主殿」

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我流造物創作:ロール・アンド・ロール! その⑭

「さて」
帰宅後、男は自分の目の前に桐華を正座させた。
「感想戦を、始めます」
「はーい。お説教じゃないんですね」
「お説教じゃなーい。別に叱られるようなことしてないでしょ? まず、実際にやり合ってみてどうだったよ、ナハツェーラーさんは」
「あー……そうだな…………ネリネの方が長く戦ってたし、そっちに訊いた方が良いんじゃ?」
「桐華さんも戦ったでしょうが」
桐華は顎に手を当て、思案する。
「えっとなぁ……これはネリネ側の記憶も混じってるんだけど……そうだな、強いって触れ込みだったにしちゃ、弱かった」
「失礼な。まあ、『最高傑作』であって『最強』とかじゃないからねぇ」
「できることがシンプル過ぎてなー……体術と鎌ブンブンだけじゃん?」
「それに負けかけてたのは桐華さん、どう言い訳するおつもりで?」
「出目が腐った」
「さいで」
「あー、でも【神槍】パクられたのは痛かったなー」
「はい?」
「あいつ、私の【神槍】を見ただけで習得しやがりました。戦いの中で成長するニュータイプだよありゃあ」
「何それ怖い……」
「あとタフすぎる! 私の攻撃だけで1回以上死ねたはずだぞ。何度殺してもあれが死ぬビジョンが見えない!」
「まぁ……それはしゃーない。ナハツェーラーさんだし」
「ナハツェーラーさんだからかぁ……」
「それじゃ……練音ちゃん」
ツファルスツァウルが、『木下練音』に姿を変じる。

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我流造物創作:ロール・アンド・ロール! その⑬

桐華が攻撃に入ろうとしたその時だった。
「ふぅ、ようやく追いついた……っと」
「ナツィいたー!」
「げっ……ピスケス、キヲン」
空気を読まないかの如きタイミングで乱入してきた二人に、一瞬場の空気が凍り付く。
「え、お前何やってるの?」
「あれ、ナツィ怪我してる。なんで?」
「……別に何でも良いだろ」
「…………あー、ボス? やっても良い?」
攻撃の態勢を保ったまま、桐華は隣の男に問いかけた。
「えー……じゃあ奇数が出たらね。……3。ゴー」
「了解ぃっ!」
桐華が咥えた眼鏡を宙に放り上げ、回転運動が発生したそれのレンズが数m先のナツィの姿を映したのと同時に、そのレンズに斬り付ける。
「ひっさぁあつ!」
衝撃によってレンズに亀裂が入り、同時にピスケスとキヲンが鏡像に加わる。
「【鏡刃・乱影断】!」
そのまま刀を振り抜き、レンズが粉砕される。鏡像が破壊されたのと同時に、現実の3人にも刀傷が発生した。
「っ⁉」
「なっ……!」
「わぁっ」
「おっ、入った入った! やっぱ死なないかー!」
「桐華さん、満足した?」
「したした!」
「それじゃ、さらばナハツェーラーさん! 対ありでした!」
男は桐華を小脇に抱え、その場を離脱した。
「痛たたた…………ねぇ、あいつら何だったの?」
ピスケスがナツィに尋ねる。
「知らん。……けど」
「けど?」
「何か、疲れた…………」
「あっそう」

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五行怪異世巡『百鬼夜行』 その③

「……とにかくだ」
平坂は空中に4枚の紙片を投げ上げた。それらは不自然な軌道で四方に飛び散る。
「この中に、白神。貴様の許しを得ていない怪異が紛れ込んでいる。何が狙いか知らんが……“潜龍”の膝元で無法を働こうというなら、容赦はせん」
「う、うおぉ……何これ、力が抜け……」
白神は結界の効力によって膝をついた。
「……む、そうか、貴様も妖怪の類だったな。少し待て」
平坂が懐から1枚の紙製の札を取り出し、白神の額に貼り付ける。
「あだっ」
「本来は人間用だが……霊的現象を遮断する守護の札だ。痛むだろうが動けるようにはなっただろう」
「うん……さてと」
ゆっくりと立ち上がり、白神は膝についた汚れを払った。
「おぉーい、みぃーんなー」
白神が目の前の怪異存在の群れに呼びかける。結界の効力によって地面に這い蹲っていた怪異たちは、各々顔に相当する部位を彼女に向けた。
「今日集まってくれたの、わたしはすっごく嬉しいんだけどね? この中にまだ挨拶が済んでない子がいるみたいなの。怒らないから出ておいでー?」
白神の呼びかけに、怪異たちは蠢いて反応を示す。そのうちの1体、黒い棒人間の頭に1対の白く丸い目がついたような子供程度の背丈の妖怪が這いながら近付いてきた。
「ん? 君、どうしたのかな?」
屈み込んで目線の高さを近付けた白神に、棒人間は蚊の鳴くような声で返答した。
『ゴメ……ァィ……ゥアァ……』
「んー……あ、もしかして君、挨拶がまだ済んでなかった子かな?」
『ゥン……タノシソダタ……』
「そっか。じゃ、今お友達になろ? これでもうわたし達の仲間だね。ヒラサカさん、それで良いよね?」
白神に顔を向けられた平坂は答えを返さず、代わりにその棒人間の頭部に雑に紙の札を貼り付けた。
『アキャァ』

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我流造物創作:ロール・アンド・ロール! その⑫

『桐華』と呼ばれたその使い魔、ツファルスツァウルは、地面に落ちた刀を辛うじて動く左手で拾い上げた。
「それでぇー……ボス? もしかしてこれ……任務失敗強制帰還の流れですかねー……?」
「んー? まあ、フル残機とはいえ、自分の使い魔に死なれると悲しいからねぇ…………そういうわけで、ナハツェーラーさん。今日のところは失礼させていただきます。もうナハツェーラーさんや周りの人を無暗に襲わないよう、こっちでよぉーっく言い聞かせておきますんで、どうかご容赦ください! それでは!」
「なっ、待て!」
「そうですぜボス」
「えっ」
ナツィと桐華から立て続けに制止の言葉が入る。
「こっちの都合でボコされたナハツェーラーさんは良いとして、なんで桐華さんまで?」
「いやぁ? ネリネの【外法・御霊縛り】は見せたのに、私の奥義だけ見せないのはアンフェアじゃない」
「やるの? ナハツェーラーさん死なない?」
「ここまでやって死なないならもう死なないでしょ。それに万が一にも今度戦うことになった時、不公平じゃん?」
「うーむ……まあ良し。それじゃ、ナハツェーラーさん。あと一撃、お付き合いくださいな」
「は?」
桐華とマスターの動向を警戒しながら見つめるナツィの前で、桐華は左手で刀を構えた。
「へいボス、ちょっと私のポケットからコンパクトミラー出して」
「え、やだ……」
「ちぇっ。じゃ……」
桐華は頭を大きく振り、勢いで外れた眼鏡の縁を口で咥えて受け止めた。
「これで良いや」

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我流造物創作:ロール・アンド・ロール! その⑪

ナツィが再び、【神槍】の構えを取る。
(クソッ、断言できる。ナハツェーラーさんの方が速い!)
大鎌が振り下ろされる直前、二者の間に一つの影が飛び込んできた。咄嗟にナツィは動きを止める。
「ちょっ…………と待ったあ!」
「…………誰?」
突如現れたローブ姿の人物にナツィは敵対心を剥き出しにした目を向ける。
「やぁやぁどうもお初にお目にかかります、彼の伝説の大魔術師ヴンダーリッヒの生み出した最高傑作、“夜の蝶”の二つ名を冠するは、異国の吸血鬼の名を戴いた人工精霊にして使い魔ナハツェーラーさん。自分の身内がたいっへんご迷惑をおかけしました!」
その男はフードを脱ぎ、勢い良く頭を下げた。突然の事態に一瞬呆然としたナツィだったが、彼の言葉にすぐに食って掛かる。
「お前が、俺を暗殺するようその使い魔に命じた黒幕か!」
「えっまあそれははい」
平然と頷くその男に、ナツィは大鎌を振り上げて飛びかかった。しかし。
『武器を下ろせ』
男が短く言うと、それに従うかのようにナツィの身体は勝手に動きを止めた。
「⁉」
「うげっごめんなさいつい……けど今は非戦闘イベってことで一つ……」
「……なんでだ」
「ほい?」
「なんで、俺を狙った? 人質まで使って……」
「人質……ってのが何なのかは正直知らないけど…………自分の作ったものが実際どれほどの性能なのかって、確かめてみたくなるもんじゃないっすかね?」
きょとんとした表情で答えたその男に、一瞬呆然としたナツィだったが、すぐに正気を取り戻して食って掛かる。
「……はぁ⁉ そんな下らない理由で!? ってかその使い魔はお前が創ったものじゃないだろ!」
「ん? ぁいや『ツファルスツァウル』じゃなく、『ロール』の方。18個もぶち込んだからなー。結局いくつ使い潰した? 何か桐華さんに姿変わってるけど、練音ちゃんは?」
男がツファルスツァウルに尋ねる。
「まだ1個も死んでないやい。ネリネから選手交代で1発目だよ」
「それは良かった」

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我流造物創作:ロール・アンド・ロール! その⑩

街灯の下から外れ暗闇に紛れた少女の眼光だけが、ナツィを鋭く捉える。
(……奴の戦法。『ネリネ』とはまるで反対だけど……ある意味似てるな。『刀』って得物のくせして一番重い間合いは『遠距離』。同一人物ってのも冗談じゃないのかも……姿を変える魔法とかか?)
「……っ!」
ナツィが接近しようとしたその瞬間、遠距離刺突がナツィの脇腹を深く抉った。
「づッ……!」
「おっ! ようやくハマったなぁ!」
「くっ……そぉっ!」
ナツィは足を止めずそのまま接近し、隙のできた少女の鳩尾に、走る勢いを乗せた拳を叩き込んだ。
「あっ」
威力に吹き飛ばされ、少女は土の上を勢い良く転がった。
「ごぅぉぉぉ……っ、痛ってぇえええ……」
大袈裟に騒ぎながらも、少女は素早く立ち上がり、体勢を整える。その目に映ったのは、独特の姿勢で大鎌を構えるナツィの姿だった。
「たしか…………こうだったか?」
(なっ……こいつ!)
少女が対応するより早く、ナツィが鎌を振るう。その切先は数m先、本来届くはずの無い少女の頬を掠めた。
「ッ、『死地』の域かよ……!」
更に距離を詰めたナツィは大鎌を振るい、少女に袈裟斬りを命中させた。
(痛った……それよりも、さぁ……!)
肉体の損傷により握力を失った少女の手から、刀が抜け落ちる。
(ナハツェーラーさん…………私の【神槍】を見様見真似でパクりやがった!)
「これで、得物はもう使えないな」
「っ……へへ、仰る通りで…………」
ナツィの言葉に、少女は冷や汗を流しながらも努めて不敵な笑みを保ちながら答えた。
(……いや、これはマジにマズい。今の攻撃で体術の手が死んだ。…………っつーか何だよアイツ、おかしいだろ。ネリネと私で2回くらい殺せそうなダメージは入れてるはずだろ? せっかく『ネリネ』から継いだってのにさァ……私が決めなきゃ、格好悪いじゃんねぇ……?)