表示件数
0

我流造物創作:邪魔者と痩せ雀 キャラクター②

・おネコ
身長:130㎝  人格:ネコ寄り  武器:艦載光子砲
アルベドの製作した使い魔。外見は耳がネコのものになりネコの尾が生えた栗毛のショートヘアの子ども。言動はネコ寄り。ワカバさんは『娘』扱いしているので、女性寄りなのかもしれない。アルベドが得意とする多重立体術式を使うことができる。というかそれ以外能が無い。使用する武器も飽くまで術式の『演出』の範疇であり、一連の全ては1つのプログラムの一部でしかない。燃費が悪いので、普段は日の当たる場所か涼しい場所か親しい人間の頭の上で丸くなって寝ている。才能ナメクジのアルベドが創り出した唯一の使い魔。
※おネコに刻まれた多重立体術式:「術者を中心とした旋風の発生」「術者を中心とした電光の発生」「魔力の全方位への放出」「重力と逆ベクトルのエネルギーの発生」「武器の展開」「武器の強化の実行権獲得」「光線の射出」「光線の集光率に対する操作権獲得」「光線に対する破壊力付与権限獲得」「破壊力付与の偏向性に対する操作権獲得」という10種類の魔法を実行するための術式を組み合わせたもの。これらが上から順番に発動し、起動から実行完了まで15秒ほどかかる。

・おスズ
身長:128㎝  人格:ほぼ無い  武器:なし
アルベドを襲撃してきた使い魔。極度の痩身で、両脚の膝から下は猛禽のそれに変じており、背中からは痩せた茶色の鳥の翼が生えている。服装は白いノースリーブのワンピース。微妙に薄汚い。生み出した魔術師は既に死亡しており、アルベドに恨みを持つ魔術師が魔力供給を担う魔道具(紫水晶球)を所持し、暗殺命令を出していた。自我が希薄で、命令を実行するために都合の良い人格を演じることには長けているが、『素』を出そうとすると『本当の自分』を表出する経験の不足から、情緒が幼児以下になる。刻み込まれた術式は「物質の変形」。肉体の一部(多くは足の爪)を変形させ、武器とする。
ちなみに名前はアルベドが付けた。スズメのスズ。
※おスズの魔法:自身の肉体のみを対象とする制限はあるものの、極めて精密に自身の形状や性質を変形させる。分子単位で変形操作を適用し、振動数を調整することで、高温化・低温化も可能。なお、肉体の総量は変わらないので、大きくなったり小さくなったりということは基本的に不可能。密度を調節すれば出来ないことも無い。

0

五行怪異世巡『肝試し』 その⑫

翌日、3人から事の顛末を聞いた種枚は、からからと笑って千ユリに声を掛けた。
「おい千ユリィ、その捕まえたって悪霊見せてみろよ」
「んー……アイツ扱いにくいからそんな出したくないんだけど……“朽縄”」
千ユリが指鉄砲を虚空に向けると、高速で伸びる腕が現れ、種枚に迫った。彼女はそれを最小限の動きで回避し、掴もうとして“草分”に止められた。
「だっ……かぁらぁっ! 触んなっつってんでしょうがぁっ!」
「いやはははゴメンヨ」
「もう消す!」
“朽縄”は消滅し、それと同時に無数の腕の拘束も解除された。
「けど青葉ちゃん、本当に強かったなぁ。トドメ刺す動きなんか人間やめてたでしょ」
「ん? あぁ……」
犬神の言葉に、青葉は昨夜の戦闘を思い返す。
“野武士”の攻撃で弾き飛ばされ、彼女が飛んでいった先は、朽ちかけた社の屋根瓦の上だった。そこから強く踏み切り、落下の勢いも合わせ、今や“朽縄”の名がついた悪霊の頚部に斬りつける。
そこでとどめを刺し損ね、“朽縄”の反撃を受けそうになっていたところをやや乱暴な形で守ったのは、犬神の力で発生した土柱。吹き飛ばされながらも空中で態勢を整え、壁面に着地し、そのまま地面には降りずに土柱を足場として跳躍しながら再び背後に回り込み、遂にその首を刎ねることに成功したのだった。
「あれは……私自身よく分かってなくて。カオルも教えてくれないし……」
「カオル……って誰?」
「え……あっ」
犬神の疑問に青葉は気付いた。自ら姿を現わした白神との一件を除き、カオルについて、特に他人に報告するような機会は無かった。

0

我流造物創作:邪魔者と痩せ雀 キャラクター①

・“アルベド”
年齢:25歳  性別:男  身長:170㎝
“学会”所属の魔術師。魔法の才能はほぼ無い。「多重立体術式」を唯一の特技としている。性格と実力・実績から“学会”ではあまり良い目では見られておらず、普段は玄龍大学の地下にある研究室で低燃費高効率の魔法術式の開発に勤しんでいる。
ちなみに通り名である“アルベド”は、“学会”から良い目で見られていない自分の立場を察した彼自身が「ちょっとしたユーモア」で『アルベド(ミカンに付いてるちょっと邪魔な白い筋)』と名乗った結果、何故か広まったもの。
※アルベドの魔法【多重立体術式】:アルベドが発明した術式形態。才能の無いアルベドが自分の能力で少しでも高い威力に『見せかける』ための技術。
通常ならば平面の簡単な魔法陣で展開可能な魔術を、敢えて難易度の高い魔術に要求される立体術式に変換し、更にそれを複数個パズルのように組み合わせ、1つの術式として構築するというもの。その複雑な術式の形状は外見的威圧力をもちながら、構成する一つ一つが起こす現象自体は大したものでは無く、しかして立体術式ゆえの魔術容量によって通常の1.3倍程度の出力効率を実現している。
術式構築のためには、各魔術の術式全てを『同時に』構築していかなければならない。立体術式を一つ一つ描いてから組み合わせるのは構造的に不可能なためである。
アルベドは基本的に5種以上の術式を組み合わせるので、1つ製作するだけでほぼノンストップの数十時間を要する(最も使い慣れているものについては、書き慣れて半日もかからないようになった)。やっていることは人間3Dプリンターだが、構築の段階で術式の発動順や発動タイミングも細かく設定する必要があるので、現状手作業以外での構築はできない。
弱点はまず、術式への負担が大きいために、使用の度に最低でも20時間以上のクールタイムが発生する点。アルベドはこれを大量にストックしてあたかも通常攻撃のようにぽこぽこ使うので、クールタイムの弱点については未だにバレていない。次に、1度術式を起動すると一連の流れを完了させるまで中断も終了もできず、発動順も固定されている点。

0

五行怪異世巡『肝試し』 その⑪

どす黒い液体をまき散らしながら、悪霊の頭部は地面を転がる。そこに悠然と歩み寄って来た千ユリを悪霊は睨み、口を僅かに開いて舌を伸ばしてきた。
しかしそれは、千ユリが指鉄砲の要領で立てた右手の人差し指に触れると同時に硬直する。
「ふぅーー……だいぶ暴れられたけど、よぉーやくとッ捕まえられる程度に弱ってくれたな? これからアタシの下僕になるわけだけど、どんな名前が欲しい? ぁいやお前の希望なんて聞く気無いんだけどさ。そうだなぁ…………あぁ思いついた。ゴキゴキ伸びてる時の様子やその気持ち悪いツラのヘビっぽさ。今日からお前の名前は」
悪霊の頭部と立ち尽くしたままの胴体が少しずつ煙のように分解され、加速しつつ千ユリの指に吸い込まれていく。
「……“朽縄”だ」
悪霊“朽縄”の身体が完全に消えると同時に、周囲の不浄な雰囲気は消え、代わりに自然な木々のざわめきが静かに響き始めた。
「……終わったぁ…………」
気が抜けたようにその場に座り込んだ千ユリに、青葉が近付いてくる。
「千ユリ、お疲れ」
差し出された右手を取ろうとして、チユリの手が止まる。
「そっちの手ぇ出さないでよ」
「え?」
「なぁーんで好き好んで皮膚ズル剥けた手ぇ取らなきゃなんねーのよ」
「……あー…………あ、マズい……ちょっと身体が痛みを思い出してきた」
「……クソっ。ちょっと悪霊使うけど、抵抗しないでよ?」
“野武士”の刀が、青葉の右手首を通過する。
「…………? 待って何か右手の感覚が無くなったんだけど?」
「アタシの“野武士”は魂のダメージを肉体に誤認させる。あんたの魂は今、右手首より先を切断されてるの。そりゃぁそこより先をどれだけひどく怪我してようが気にならないでしょ。まぁ、しばらく休んで魂の消耗が癒えれば元通りだから、さっさと手当てしてよ?」

0

我流造物創作:無我と痩せ雀 その⑥

「まぁ……それについちゃどうでも良いんだ。問題はテメエだクソガキ」
アルベドが右手を前方に掲げると、おネコに刻まれていたものに似た形状の立体術式が出現した。
「そっちが先に手ぇ出してきたんだ。やり返されても文句は無ェよな?」
「えっ、い、いや待っ、お、おい! 助け」
「遅せェ」
術式から、細い光線が放たれる。青年が咄嗟に展開した魔法障壁にそれは弾かれるが、アルベドは既に2撃目の射撃準備を整えていた。
「はーいドーン」
先程より太い光線が、再び青年を襲う。先ほどより広く展開した魔法障壁によって防御しようとした青年だったが、その障壁は光線が直撃したのとほぼ同時に粉砕され、そのまま青年に命中した。
「…………死んだか?」
「虚仮威しだったのでは?」
「ここまで細めりゃ威力持たすくらいは出来ンだよ」
ワカバが青年の傍に屈み込み、様子を確認する。
「……あ、呼吸してる。生きてますね」
「そりゃ良かった。ああそうだ」
「はい?」
顔を上げたワカバに、アルベドは紫水晶球を放り投げた。慌てて受け止めたワカバの横をすり抜け、アルベドは自身の研究室に引き返し始めた。
「え、ま、待ってくださいよ! 何なんですかこれ!」
後を追いながらワカバが尋ねる。
「おスズの魔力源」
「えっと、おス……?」
「あの鳥脚」
「! 名前、付けてあげたんですね!」
「違っげーよ。個体識別用の勝手な呼称だ。名前はそっちで勝手に決めろ」

0
0

五行怪異世巡『肝試し』 その⑩

「っ…………あァおばぁあっ!」
千ユリが呼ぶのと同時に、“野武士”が無事な片手で取り落とした刀を回収し、『青葉に向けて』振るった。
「ッ⁉」
青葉はその攻撃を仕込み杖〈煌炎〉で防ぐが、その勢いに弾き飛ばされる。
「……ごめん、“野武士”。痛いよなァ、辛いよなァ……」
千ユリは口の中でぼそぼそと呟きながら、右の中指を悪霊に向けて立てる。
「こんな目に遭わせるそこのクソを、ブッ殺すしか無いよなぁあ!」
“野武士”の放った斬撃を悪霊は大きく身体を捩じりながら回避し、首元に掴み掛かる。
瞬間、背後から高速で『飛んできた』青葉が、その速度を乗せて抜刀した仕込み杖で悪霊の伸びきった頚部に斬りつけた。
半分千切れた首を折り曲げて青葉を睨みながら、悪霊は彼女にも手を伸ばす。その手が触れる直前、その場に発生した土の柱が青葉を轢き飛ばし、飛ばされた青葉は既存の土柱の壁面に着地した。
そのまま土柱を蹴って、それら同士の隙間を縫うように移動する青葉を、悪霊は顔面を変形させて片目で追い続ける。
「……ッキヒヒヒ、そっちに目ェ奪われてンじゃァねェよ。アタシの悪霊はまだ!」
首の折れた“野武士”が、悪霊の腹部に蹴りを打ち込む。
「テメエを殺せるぞ!」
その脚は悪霊に触れた瞬間からへし折れるように変形しながらも確実にダメージを与え、悪霊が頽れる。
膝をついた悪霊に、真横から土柱を蹴り青葉が迫る。しかし、悪霊はそれを片目で捉え続けており、片腕を伸ばしてきた。その反撃が届くより早く、別の土柱が真横から伸びてきて、更に青葉を弾き飛ばす。
(くそ……さっきからふっ飛ばされてばっかだな、私…………)
そのまま飛ばされた先の土柱を足場に、障害物の隙間を跳び、遂に悪霊の死角、背後に到達する。
「“草分”!」
千ユリが右の親指を下に向けるハンドサインをする。掻き消える武者霊と入れ替わるように無数の青白い腕が津波のように悪霊に向けて押し寄せる。それらを迎撃しようと悪霊が腕を伸ばした瞬間、背後から青葉に斬りつけられ、完全に切断された首から上が宙に舞った。

0

我流造物創作:邪魔者と痩せ雀 その④

再び使い魔が姿を現わした。おネコの背後への出現と同時に、おネコの右腕の肘より先が切断される。
「速えェな。まあ問題はない」
アルベドが呟く。おネコは斬り飛ばされた腕が地面に落ちるより早く左手で受け止め、鳥脚使い魔の方に振り向いて再び空中に投げ上げる。
掌が下を向いたのと同時に、その下に添えるように左の掌を上に向ける。すると、両手の間に立方体に近い形状の複雑な術式が出現した。
「吹き飛ばしてやろうぜ、おネコ」
術式が凝縮されるようにして消えるのと同時に、足下からおネコの周囲に旋風が発生した。風は少しずつ勢いを増し、やがてその中に青白い電光が混じり始める。
おネコに刻まれた術式の持つエネルギーは世界に伝播し、大気を震わせ、地響きを起こし、砕けた微小な土片を余波により生じた反重力が舞い上がらせる。
「んゃぁ……消し飛べ」
おネコが左手を前方に伸ばすと、その手の中に全長3mを超える巨大な携行砲が出現した。片手でそれを構えると、砲身にエネルギーが充填され、銃口から少しずつ光が迸る。
「っ!」
射線から外れるように駆け出した鳥脚使い魔に、おネコは身体ごと砲身の向きを変えて対応する。発射の直前、使い魔は大きく跳躍した。
「……んゃぁ、ばーか」
おネコが携行砲を持ち上げ、空中の使い魔に照準を合わせたのと同時に、直径約30mほどの巨大な光線が放たれ、光線は一瞬にして使い魔を飲み込んだ。
数秒間の照射の後、鳥脚使い魔が力無く地面に落下してくる。
「はい、キャッチしました」
結界術を解除して元の研究室に戻り、ワカバは落ちてきた鳥脚使い魔を受け止めた。
「よくやった。おネコもな。腕は後で治してやる」
「んゃぁ」
ワカバが床に転がした使い魔を、アルベドは近くにしゃがみ込んで見下ろす。
「光線直撃しましたけど、この子大丈夫ですかね?」
「大丈夫に決まってんだろ。ただの虚仮威しだぞ」

0
0

我流造物創作:邪魔者と痩せ雀 その③

「んー……こうなったらもう仕方ないですねぇ……」
ワカバは徐に立ち上がり、先程荷物を置いた机に近寄り、リュックサックを漁り始めた。
「私が何とかしますね。もう少し頑張ってくださいアルベド先生」
「おう頼んだ」
アルベドの返答を聞いた辺りで、ワカバは1冊の手帳を取り出した。
「それでは…………」
手帳を開き、その中の数ページを重ねたまま破り取る。
「【展開】」
ワカバの手の中でページが燃え上がり、直後、研究室内の全員が月夜の平原上空に転移された。空中に投げ出されたことで、使い魔はアルベドから離れ翼を広げてゆっくりと落下し始める。
「流石に助けろおネコォッ!」
「んゃぁ」
一瞬早く着地していたおネコは一言鳴き、再び跳躍してアルベドとワカバを受け止めた。
「助かった……」
「ありがとうね、おネコちゃん」
「んゃぁ」
3人の着地からやや遅れて、鳥脚の使い魔も地面に下り立つ。
「ねぇ君、名前は何ていうの?」
ワカバの問いかけに、使い魔は何も言わず首を傾げた。
「……名無しか。作ったモンには呼び名くらいつけるだろ普通。命令する時どうするんだよ」
アルベドが呟く。
「じゃ、名前つけてあげたらどうです?」
ワカバが反応する。
「あー? 俺の使い魔じゃねえんだぞ」
「じゃあ、うちの子にしちゃいましょう」
「面倒くせえ。勝手にやってろ。……おネコ!」
アルベドの命令でおネコが駆け出すのと同時に、鳥脚使い魔の姿が消えた。