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This is the way.[Ahnest]11

サザンカの月第三日。
一年も終わりに近づくと、「年の日」を祝うためにトルフレア人が各地から帰ってくる。そのためか、ソルコムは人で溢れかえる。もちろん、ケンティライムに向かう人も大勢だ。そんな帰国者たちのお陰で、不運にもアーネストは自分の足でケンティライムに向かわねばならなくなった。貸馬屋で馬を借りようとしても、この先20日間予約みっしりだ、わっはっは!と言って大笑いで帰された。あそこまでほくほく顔の貸馬屋は見たことがなかった。
そして、ラルシャル大通りライネン宅前。
「今行くことはないんじゃないの?もう少し暖かくなるのを待った方が......」奥さんのエナは途中で食べるようにと焼いてくれたレンコン入りのミートパイを渡しながら言った。
「うーん、国王さんも早く来てくれって手紙に書いてたしね。それに、王都での『年の日』の祭りはすごいって聞いたし、一度見てみたいと思ってたんだ」
アーネストがそういうと、エナは寂しそうな顔をして言った。「そう......今年は『年の日』を一緒に過ごせないのね......」
「そんな顔しないでくださいよ、奥さん。今生の別れじゃないんだから」
「いや、案外そうかも知らんぞ」ライネンが低い声で言った。「ダルケニアは雪国だからってトルフレアの冬をなめてかかってるんだろうが、あの山脈を足で越えようと思ったら、相当な覚悟は必要だぞ。まして真冬なんぞは生きて帰れんかも知らんな」
ライネンがそう言うと、エナは顔を歪め、今にも泣き出しそうだ。
「ちょ、ちょっと!ライネンさん脅かさないでくださいよ。奥さんもほら、泣かないでったら」
ニヤニヤしているライネンに顔をしかめて見せながら、アーネストは言った。

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This is the way.[Ahnest]10

「正確にいうと側近の人なんだけどね、なんか王さまが僕に会いたいって言ってるらしい」
アーネストは手紙を取り出すと、ライネンに手渡した。
「ふんふん...。来るべし、ねえ.........」
「何かありますか」
「うむ......この、『冬宮』ってとこが気になるな」
「んっ、どこですか?」
「どこですかって聞くほどたいした手紙じゃないだろう」
「そういえばそうでした」
『冬宮』というのは、王宮ケア・タンデラム城のことだ。寒さの厳しいトルフレアの冬季に最大の防御力を誇ることから呼ばれるようになった通称だと聞いたことがある。
「『冬宮』ってのは俗称なんだ。それも国民よりも外人が呼ぶ呼び方だ。それをましてや宮中の人が使うかな、とは思うんだが」
「確かに、それもそうですね...。まあ、トルフレアも丸くなったってことじゃないですか」
「そうか......まあ、なんにせよ、お前はどうしたいんだ。行くのか?」
「そう、ですね......。ケンティライムには前から行きたいと思ってたし、行ってこようと思います。王宮に行けるなんてまあなかなか無いことでしょうし」
「なかなかとかじゃなくて、普通ねえんだよ!」
そう大声を上げたライネンは、どこか寂しそうな気もした。
「ま、ちゃっとケンティライムまで行って、ちゃっと王様に会って、ちゃっと観光して、ちゃっと帰ってきますよ」
「ちゃっとってなんだよ、ちゃっとって」

そんなこんなで、アーネストのケンティライム行きは決まった。それから一週間、アーネストは外回りや旅の支度など色々な準備をするのだが、その辺りは割愛。