LOST MEMORIES ⅡCⅣⅩⅢ
自分の中で、英人を含めた彼らの優先順位は高い。だから、なんとなく、彼らもそうだと勝手に思い込んでいたのかもしれない。違うのだと事実を目の当たりにして、勝手に傷ついて。
「……酸っぱい。」
強い酸味が、今は辛かった。こんな気持ちは初めてだった。
蜂蜜を横から差し出すチャールズ。
「お嬢さまの観察眼は、こちら方面ではめっぽう節穴ですよね。」
傷心のお嬢さまにかけるべき言葉ではないような気がするけれど。
品のない反応をしてしまいそうになるのを抑えてチャールズを見る。ぶつかった視線は、なぜか優しかった。
「気になったのなら、聞いてみたらどうです?」
「聞くって……。」
何と言って聞くのだ。
「“あの女誰よ!?”……とか?」
冗談を言えるくらいには通常運転に戻り、自分のその言葉に笑ってしまう瑛瑠。
「それぞれ大切な人がいるのはわかる。自分が1番になりたいとか、独り占めしたいとか、そういうことじゃないし、全て教えてほしいわけでもない。」
ほしいのは、無条件に信じられる関係性。