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LOST MEMORIES~Christmas ver.~

「瑛瑠、付き合ってくれないか。」
帰り道、時はクリスマス。ケーキを囲む家族や甘やかな時間を過ごす恋人たち、かたやクリスマス商戦に追われたバイトとクリスマスなんていらないと追い込まれた受験生。
そんな喧騒に飲み込まれていた瑛瑠は、英人の言葉に応える。
「いいですよ、どこへいくんですか?」
薄暗い帰り道さえ光で彩られ、浮き足だった街並みを体現している。
ふっと笑った英人は、デートと一言。瑛瑠は呆れたようにため息を吐く。
「行き交うカップルのクリスマスムードにでもあてられたんですか。」
「横に何の申し分もない女がいて、見せつけたくないわけがないだろう。」
瑛瑠はじとっと横目で見てやる。その目を見て、肩を竦める英人。
そうして瑛瑠はふと思うら、
「たしかに、隣にイケメンを置いてクリスマスの街を闊歩できるのは光栄なことですね。」
すると、今度は英人が好戦的な目を瑛瑠に向け、艶やかに微笑む。
「お手をどうぞ、プリンセス。」
ダンスパーティーにおけるマニュアル通りのエスコートを演じられてしまったので、瑛瑠はその手をとる。
「ほんと、いい性格してますね、王子様。」
どちらともなくきゅっと握った手は、冬の帰り道にも関わらず、あたたかかった。

3

なぞなぞリスペクト続き

と、そこで、使用人の一人が、ワゴンを押して客間に入ってきた。ワゴンには二つのクロッシュと二本のペットボトルが乗っている。
「昼食を用意させました。どうぞ召し上がってください」
「はあ、それはどうもすみません。ありがたくいただくことにしましょう」
使用人がクロッシュをとると、そこにはきれいに盛り付けられたクリームパスタ。
「ウニとアボカドのクリームパスタでございます」
「ああ君、ちょっと待ってくれ」
使用人が下がろうとすると、原垣内氏は彼を呼び止めた。
「少し毒味をしていってくれないか」
「構いませんよ」
返事をすると、使用人は皿の前にあったフォークを手に取り、少量をするっと絡めて音もたてずに口にはこんだ。
「恐らく大丈夫でございます」
「ありがとう、下がっていいよ」
使用人は客間からそそくさと出ていった。原垣内氏は安心したようにパスタを口にはこぶ。こちらも全く音をたてない。流石、育ちが違うというのだろうか。
「こんな風にものひとつ食べるのにも過敏になってしまってね。飲み物でも買ってきたもの以外は飲まないようにしているんだよ」
そういうと原垣内氏は置いてあった◯やたかのペットボトルの蓋を、これまた音もたてずに開け、口にはこんだ。
「ささ、刑事さんもどうぞ召し上がってください」
「はあ、ではお言葉に甘えて」
そういって観音寺も(流石に音をたてずにというわけにはいかなかったが)その絶品のパスタの味を楽しんだ。いつも安い飯ばかり食べている彼からすれば異文化の食である。

「今日はごちそうさまでした。近いうちに調査のためにもう一度お邪魔させてもらうと思いますのでまたよろしくお願いいたします」
「ええ、わかりました。お待ちしております」
そういって観音寺は帰っていった。
その晩、原垣内氏が毒殺されたとの情報が入った。その日の話を観音寺がすると、案の定先輩刑事の五十嵐にとことん絞られたのである。

0

LOST MEMORIES ⅢCⅥⅩⅦ

「私と英人さんで先に話のすりあわせをしていたこともあり、ふたりで出した仮説なのですが、」
ちらっと隣の英人を見ると、頷いてくれた。それを確認した瑛瑠は、背中を押されるように言葉を紡ぐ。
「この前も話したように、何らかのプロジェクトの一環、またはその延長ではないかという結論に至りました。
ここに至るまでの思考の過程のして、ふたりにきいておいてもらいたい話があります。」
瑛瑠が見た夢の話。もう、完全に覚えていない。ノートに書いてあることが、瑛瑠の今話せるすべて。やっぱりかと思うも、思わず苦笑いがこぼれる。
3人は黙って瑛瑠の話を待つ。もちろん、英人は知っているけれど。
「夢を見たんです。」
歌名と望の目は至って真剣で、英人に話したときと重なる。
夢という言葉に拍子抜けするような仲間でなくて良かったという思いが胸を掠めた。
雪のなか、まだ幼い自分が母と神殿へ行ったこと。そして、そこで起きたことやエルーナとの出会い、会話内容をすべて伝え、締めくくる。
「これが、たぶん実際にあった出来事の夢なんです。」
瑛瑠の引っ掛かるもの言いに気が付かないふたりではない。
「たぶんってことは、覚えていないってこと?」
優しく問いかける歌名に、瑛瑠は困ったように微笑んだ。

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LOST MEMORIES ⅢCⅢⅩⅢⅩⅦ

「私と英人さんで先に話のすりあわせをしていたこともあり、ふたりで出した仮説なのですが、」
ちらっと隣の英人を見ると、頷いてくれた。それを確認した瑛瑠は、背中を押されるように言葉を紡ぐ。
「この前も話したように、何らかのプロジェクトの一環、またはその延長ではないかという結論に至りました。
ここに至るまでの思考の過程のして、ふたりにきいておいてもらいたい話があります。」
瑛瑠が見た夢の話。もう、完全に覚えていない。ノートに書いてあることが、瑛瑠の今話せるすべて。やっぱりかと思うも、思わず苦笑いがこぼれる。
3人は黙って瑛瑠の話を待つ。もちろん、英人は知っているけれど。
「夢を見たんです。」
歌名と望の目は至って真剣で、英人に話したときと重なる。
夢という言葉に拍子抜けするような仲間でなくて良かったという思いが胸を掠めた。
雪のなか、まだ幼い自分が母と神殿へ行ったこと。そして、そこで起きたことやエルーナとの出会い、会話内容をすべて伝え、締めくくる。
「これが、たぶん実際にあった出来事の夢なんです。」
瑛瑠の引っ掛かるもの言いに気が付かないふたりではない。
「たぶんってことは、覚えていないってこと?」
優しく問いかける歌名に、瑛瑠は困ったように微笑んだ。

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