ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 8.イービルウルフ ②
「…何それ」
思わずわたしが尋ねると、師郎は手に持っている紙切れに目をやった。
「あーこれ?」
その手に持っている紙には、立派な字で”果たし状”と書いてある。
「果たし状って、まさか…」
嫌な予感がしてわたしが青ざめると、師郎はいや違うから!と立ち上がる。
「お前さんが思う程やばい奴じゃないから」
たまにあることだし、と師郎はわたしをなだめようとする。
「そんなに気にするこたないよ」
てか心配する人初めて見た、とネロは冷ややかな視線を送ってきた。
「いやだって…」
仕方ないじゃん、とわたしは弁明する。
何しろ師郎は見た目がちょっと怖いのだ。
言動などから悪い人ではないと分かっているのだが、こういうのを見てしまうと嫌な予感がしてしまうものだ。