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カタストロフィ

「さあ、皆さん今から開演です」
僕独りだけのステージから
誰一人としていない客席に向けて
君一人だけでも見てくれるというのなら
ありがとう、どうぞお好きな席へ

まだポケットのナイフはしまっておいて
いざという時までは隠しておいて
ワン・ツー・スリーの合図でさ
拍手喝采の時までは

やっぱり悲劇モノには涙がさ
付き物なんだからさ
目薬とかで練習しててよ
ホントかウソか分からなくなるまで

僕には切り札なんて無くて
結局、僕は僕でしかなくて
君にも切り札なんて無くて
君も君以上の何者でもなくて
ならどうすればいい?
憧れや理想や夢を演じればいい?
案の定、今日の公演のチケットも
一枚も売れませんでした

みんな誰にも見せられない部屋があって
そして誰にも見せられないゴミ箱があって
僕のゴミ箱にはさ、失敗作の僕が
ティッシュに包んで捨ててある

売れると思うんだ
夢破れて途方に暮れる男女
君をヒロインに抜擢するよ
ねぇ、考えておいてくれよ
今度こそ売れると思うんだ

泣きたいよ、もう泣きたいよ
僕に3本目の腕があったなら
11本目の手の指があったなら
アレさえあれば、アレさえあれば
良かったのに

僕には切り札なんて無くて
結局、僕は僕でしかなくて
君にも切り札なんて無くて
君も君以上の何者でもなくて
ならどうすればいい?
いっそもうフィナーレに入ればいいかな?

「満員御礼」の旗ももう捨てておいて
看板ももう全て捨てておいて
ステージのライトももう切っておいて
僕の目も、腕も、手も、足も、胴も、
全て捨てておいて

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see saw

僕が捨てた春を
君はすぐさま拾いに行った
それを誰かが「幸せ」と呼ぶのなら
大声で笑ってやるよ

白いカーテンが不吉だと誰が言ったんだろう
黒と白が別れに合うと誰が言ったんだろう
悲しかったら涙を流せと
何処のどいつがほざいたんだろう

何だって足りなさすぎるモノなんです 
何だって知らなさすぎるモノなんです  

なのに、なんで
君は僕の枕元に春を置いていったの
僕を置いて
そんなに遠くへ行ったの
僕を見てよ、ちゃんと見てよ、
目を合わせてよ、お願いだから

君はなんで夏を罵倒したんだろう
きっとこの気が触れそうなくらいの
暑さのせいだろう

泣けないから笑っただけなのに
笑えないから涙を流しただけなのに
そんな繰り返し、雨の檻の中

そんなに急いで剥がすから
ホラ、血がでちゃったじゃない
泣くくらい痛いんでしょ、違うの?

じゃあ、なんで
君はそんなに泣き腫らしているの
どうしていつもみたいに嘘で汚さないの
君を見るよ、ちゃんと見るよ、
目を合わせるよ、だから涙を拭いて
お願いだから

ずっと、いつでも君のことを
見ていたはずなのに
君との距離、約90ミリメートルが
なんでこんなにも遠くなったんだろう

じゃあ
早くおいでよ
まあ、無理せず走ってきてよ
待ち合わせは世界の端っこで
君の中の君がいなくならないように
僕は君のもう片方の心臓になるよ

君がもう片方に乗れるように
君の涙でこのシーソーが
傾かないように