ずどどど、かしゅり、ととんたん #6
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あれ、この女の子、どこかで見たことある顔だな。誰だっけ。しばらく考え倦ねて、やっとひとつの結論に辿りついた。
あー! 水色のランドセル! ウエハースの子だ!
存在を忘れるくらい万引きの様子を目撃してから時が経っている。京本さんと知り合った日だから、半年くらい前だろうか。
あの日と同じように、彼女はキョロキョロおどおどしていた。嫌な予感がしたので、またそっと後を追いかけた。
しかし、前回とは異なり目的地もないようで、店内をしばらくぐるぐると歩き回った。かれこれ五分は彷徨いていたと思うが、彼女は何もすることなく出口へと歩を進めた。
疑ってごめんね、と心の中で謝罪する。けれど、本当に何をしに来たのだろうか。
自動ドアが開き、彼女の背中は外の世界へ消えた、と言いたいところだが、そこに入れ違いで京本さんがやって来たことで状況は一変する。少女は、あ! と大きな声を上げた。そして、ぎこちなく声を発した。
「あっ、あのっ、あのときの方ですかっ?」
京本さんは、んー、と一度唸ってから、
「あ、ウエハースちゃん?」
「はっ、はい。そそそそのとおりですっ」
ウエハースちゃん、とはなかなか雑なネーミングだと思うが、的確といえば的確な気もする。