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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ:告鳥と悪霧 その⑦

カズアリウスの言葉に、男性は平然と答えた。
「知っているさ。だからこそ、こんな『地下』で、ひっそりと生み出したんじゃあないか」
「なッ……!? テメェ、確信犯かよこの野郎!」
「そうだね。しかし、悲しいことに私は研究者でね。憧れは止められない、というやつさ。エクトピステス・ミグラトリウス。君の力を見せてやりなさい」
男性の命令に、少女クミ――エクトピステス・ミグラトリウスは静かに頷き、右手を前方に翳した。
「動き出せ――“プリンセプス”」
クミの足下から黒い霧が噴き上がり、空中に吊られたアリエヌスの残骸に吸い込まれていく。
「……プリン、何?」
困惑するカズアリウスに、白衣の男性は溜め息を吐いた。
「まったく、呆れたね。アヴェスのくせにラテン語も分からないのかい? 群れを統べるもの、“Princeps”。意味は――」
男性とクミの背後で、アリエヌスの残骸が「ごとり」、と音を立て、動き出した。
「『支配者』さ」
アリエヌスの眼窩に赤い光が宿り、身体を伸ばして咆哮をあげる。
「安心し給え、防音対策はしっかりと取ってある。外に騒ぎを聞かれる恐れは無いよ。さて、“プリンセプス”について説明してやろうか」
男性は意気揚々と、説明を続ける。
「彼女の使う“プリンセプス”、その正体は『ナノマシン』だよ。無数の超小型機械を操作し、アリエヌスの体内に潜り込ませる。体内で“プリンセプス”を操作することで、そのアリエヌスを強制的に使役し、最後には内側から食い破って破壊する。実に効率的だろう。『支配』と『殺戮』、二段階で敵を減らせるのだから。しかし唯一欠点があってねぇ……」
大型アリエヌスは咆哮を止めると、3人のアヴェスに目を向けた。
「試験回数が少なすぎるのだよ。どれ君達、1つテスターをやってくれるかい? 何、この残骸が内側からズタズタに崩壊するまで、死なずに粘ってくれるだけで良いんだ。良い戦いを期待しているよ」

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企画変更のお知らせ

ご無沙汰しております。
ロクヨン男子です。
現在執筆中の『Trans Far East Travelogue』ですが,読者の皆様もご存知の通り国際情勢の変化に関する描写が多いです。
現在リアルタイムでの国際情勢の変化と動きが重なる部分が多くなり、今後紛争地帯となりかねない地域も多く登場する関係で皆様への混乱と誤解を招きかねないため一時的に執筆を中止します。

また,今後の作品については熟考を重ねた末,1つの結論に達しました。
それは,プロ野球です。

この2025年には、東京ヤクルトスワローズの球団マスコットとして世代を超えて愛されたつば九郎を一人で支え続けた職員さん,現役時代は守備の名手でトラの牛若丸として親しまれ,監督としては古巣を初の日本一に導いた吉田義男氏,前人未到の日本一9連覇に貢献したミスタープロ野球こと巨人の長嶋茂雄終身名誉監督と言った時代を築いたプロ野球の功労者が亡くなりました。
彼らへの弔いとして、そしてつらい出来事が続いた過去の僕に生きることの大切さを教えてくれて居場所も与えてくれたプロ野球に対して感謝の意を込めて,それまで野球に興味のなかった人でも楽しんでいただけるような作品を投稿してまいります。
これからも応援,よろしくお願いします。


ラジオネーム;ロクヨン男子

PS;新企画の初投稿では広島カープを扱います。

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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ:告鳥と悪霧 その⑥

エレベーターから下りた4人は、薄暗い廊下をゆっくりと進んでいく。
「電気くらい点けとけよな……」
カズアリウスの呟きに応じるように、闇の奥から男声が響いてきた。
「それもそうだ。すまないね、ここには他人を驚かせるものが色々とあるものだから。……しかし、娘の『友達』だというなら、心配することは無いだろう。少し待ってい給え」
その声は、上階でスピーカー越しに聞こえてきたものと同じだった。
一瞬の後、辺りを電気照明が一瞬にして真っ白に照らし、3人のアヴェスは思わず目を細めた。やがて視界の正常に回復した3人を出迎えたのは、空中回廊、半径100m近くはあろう球状空間、そして、その中空に鋼線で吊るされた、全長50m近い『大型アリエヌスの残骸』だった。
「なっ……何だこれ……!?」
「あ、アリエヌス……!? ここは、処理施設の一部だったのか……?」
「それにこんな広い場所が地下にあるなんて、聞いてねえぞ!」
3人の驚愕の言葉に、男声が答える。
「ここは、私の個人的な研究施設だよ。そして……3人の戦士たちよ、よく私の『娘』を連れ帰ってくれたね」
その声の方向に3人が目を向けると、いつの間にかサルペンタリウスの手から離れていた少女クミを抱える、痩せこけた白衣の男性が、空中回廊の突き当りに立っていた。
「ほら、挨拶してやりなさい」
男性に促され、クミは頷いて3人と正面から相対する。
「“迦陵頻伽”所属、アヴェス“エクトピステス・ミグラトリウス”」
少女の口から放たれたその言葉に、3人は眉を顰めた。
「“迦陵頻伽”……? 知らねェ名だなァ……少なくともこの要塞都市に、ンな名前のカテルヴァは存在しねェ。それに、そいつが“アヴェス”だァ? 馬鹿言いやがれ、アヴェスは野郎と相場が決まってんだ。女のアヴェスは禁忌って話だろうが!」

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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ:告鳥と悪霧 その⑤

クミの案内で3人が辿り着いたのは、路地裏の隙間に隠れるように置かれた、地下入口だった。
「ここ」
クミに言われてカズアリウスがインターホンを探す。
「あいてる」
その言葉に、カズアリウスがノブに手を掛けると、扉はあっさりと開いた。屋内は何かの機械や骨董品が並んでおり、照明もついておらず陰鬱な空気を醸している。
「本当にここなのか? そもそも人住んでんのか?」
カズアリウスが呟きながら中に入ると、天井の方からスピーカー越しの音声が降ってきた。
『お客様かい?』
男声のようである。3人のアヴェスが突然の出来事に動揺していると、クミがサルペンタリウスの腕の中で声を上げた。
「んーん、お友達!」
彼女の答えに反応するように、暗い廊下の奥に小さく明かりが灯る。長方形のそれは、どうやらエレベーターのようであった。
『入って来てもらいなさい。』
それだけ言うと、ノイズが途切れ、スピーカーからの通信は終了したようだった。
クミがエレベーターを指差し、サルペンタリウスを見上げる。
「はやくー」
3人は顔を見合わせ、しばしの逡巡の後、意を決してエレベーターに進入した。
4人が入ると同時に扉が閉まり、エレベーターは自動で下降を開始する。
そして約1分後、エレベーターが重い金属音を立てて停止した。

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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ:擬命ランギヌイ その③

「えー……1位ぃ」
全てのレヴェリテルムがゴールし、ヴェロキタスがその順位を発表する。
「“ヴェロキタス”、タイムは2分59秒6。2位ぃ、“ヴェナトー”、タイムは3分1秒0」
「クソぉ……調子は悪くなかったのに……」
ヴェナトーが悔しそうに地団太を踏んだ。
「3位ぃ、“クルスス”、タイムは3分42秒1」
「無理だよ3000mは、僕の“クルスス”はスタミナ微妙なんだから」
「元気出せよクルスス。えー第4位ぃ、“エキドナ”。……タイム、20分フラット」
「鈍足!」
「ねぇこれ『駆け比べ』して良かったやつかなぁ⁉」
ヴェナトーとクルススの言葉に、エキドナは申し訳なさそうに身を縮こまらせる。
「いやぁ……おれの“エキドナ”、皆さんのレヴェリテルムと比べて足は遅くて……精々が早歩きくらいの速度しか……お恥ずかしい限りで」
「別に良いさ。スピード自慢なら有り余ってる。お前の“エキドナ”にも強みはあるんだろ?」
ヴェロキタスの問いかけに、エキドナは顔を上げた。
「はい! “エキドナ”はパワーとタフネスに関しちゃ、そうそう遅れは取りません!」
「へぇ……?」
立ち尽くしている“エキドナ”に、“ヴェロキタス”が突進を仕掛ける。その胴体に頭突きが直撃したものの、“エキドナ”はぴくりとも動かず受け止めた。
「何……だと……!? 10m級のアリエヌスだってひっくり返したことのある“ヴェロキタス”の突進を……!?」
「はい、パワーには自信があるので!」
「自信満々じゃねぇか。あぁ良いよ、お前はうちのパワー担当だ! レヴェリテルムが二足歩行なのも便利だ。地味にうちにいなかった重機役だ!」

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受信2:10ゼタクリック前

レポート1405
995原住生物と再び接触、一体の鹵獲に成功
記憶メモリーからおおよそこの星の戦闘の現状は把握した
私の支配下におく改造を施し都市に帰還させる
解析してみたが面白い仕組みの兵器だ、『思考』を『物質』に変換させるらしい


レポート1406
都市内に潜入成功
どうやら私が995原住生物と思っていたものはただの兵器だったらしい
旧995原住生物の名称を995鉱物兵器に更新
この995は有機生命体のものだった、以後はこちらを995原住生物と呼称する
それにここは一番エネルギー値が高い
もしかしたら『原石』があるかもしれない
調査を進める


レポート1763
調査を開始してから5ゼタクリックが過ぎた
少しまずいことになった、995原住生物による995外生物の掃討作戦によって惑星■■■■■側も本気になったらしい
都市もいつまで持つのか予測してみたがあまり長くはなさそうだ
それに妙な反応が惑星外縁付近にある、それを見ていると魂に刻まれた恐怖が呼び起こされる
嫌な予感がする
危険な賭けだが、戦闘で破壊されるくらいなら無理矢理にでも原石の確保に向かうことにする
5ゼノクリックの内に絞り込んだ候補地は3つ
とにかく時間がない、私も995に降下しようと思う


レポート----
\(*^▽^*)/

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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ:擬命ランギヌイ その②

4人がやって来たのは、施設中央に広がる芝敷きのトラックだった。
「あの……何するんです?」
「ん? 決まってんだろ?」
エキドナの問いにヴェロキタスがそう答え、彼のレヴェリテルムを展開した。赤銅色の金属物質で構成された、長い尾と首を有する四足歩行の無翼竜“ヴェロキタス”。他二名も、自分たちのレヴェリテルムを起動した。青みがかった金属物質で構成された無翼ヒポグリフ“クルスス”、白銀の金属物質で構成された狼“ヴェナトー”。3体の金属生命体が立ち並び、エキドナを興味深げに眺めている。
「……レヴェリテルムお披露目会?」
「まぁ似たようなもんだ。お前のレヴェリテルムも出せよ」
ヴェロキタスの言葉に、エキドナもレヴェリテルムを起動した。黒鉄色の金属物質で構成された、背丈およそ1.8mのコミカルな着ぐるみ風の、二足歩行のハリモグラ、“エキドナ”。その短い両足が力強く芝を踏みしめる。
「すげぇ! デカい!」
「二足歩行だー」
「腕ふっと」
3人が口々に感想を述べる。
「よっしゃ、取り敢えず全員、自分のレヴェリテルムに乗れ」
3人は素早くレヴェリテルムの背中に飛び乗ったが、エキドナだけは状況についていけない。
「え……何を?」
「あー? 決まってんだろー? 『駆け比べ』だよ。今回の距離はどうする?」
「1400!」
「3000で良いじゃん」
「お前ら自分の得意を言うんじゃねえ。エキドナ、お前のレヴェリテルムの得意はどの辺りだ? そこで勝負してやるよ」
「おいこらヴェロキタス、自分のレヴェリテルムが全距離対応だからってズルいぞ」
3人の言い合いを聞きながら、エキドナは思案の末に口を開いた。
「多分……スタミナは、それなりに……ある、かと……?」
「よっしゃ3000だ並べー」
3人はレヴェリテルムを操り、スタートラインに着いた。エキドナも少し考え、“エキドナ”の力強い両腕に自らを抱え上げさせ、他3体に並んだ。
「よっしゃ。それじゃあ用意……スタート!」
ヴェロキタスの合図で、4体のレヴェリテルムが一斉に走り出した。