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カタストロフィ

「さあ、皆さん今から開演です」
僕独りだけのステージから
誰一人としていない客席に向けて
君一人だけでも見てくれるというのなら
ありがとう、どうぞお好きな席へ

まだポケットのナイフはしまっておいて
いざという時までは隠しておいて
ワン・ツー・スリーの合図でさ
拍手喝采の時までは

やっぱり悲劇モノには涙がさ
付き物なんだからさ
目薬とかで練習しててよ
ホントかウソか分からなくなるまで

僕には切り札なんて無くて
結局、僕は僕でしかなくて
君にも切り札なんて無くて
君も君以上の何者でもなくて
ならどうすればいい?
憧れや理想や夢を演じればいい?
案の定、今日の公演のチケットも
一枚も売れませんでした

みんな誰にも見せられない部屋があって
そして誰にも見せられないゴミ箱があって
僕のゴミ箱にはさ、失敗作の僕が
ティッシュに包んで捨ててある

売れると思うんだ
夢破れて途方に暮れる男女
君をヒロインに抜擢するよ
ねぇ、考えておいてくれよ
今度こそ売れると思うんだ

泣きたいよ、もう泣きたいよ
僕に3本目の腕があったなら
11本目の手の指があったなら
アレさえあれば、アレさえあれば
良かったのに

僕には切り札なんて無くて
結局、僕は僕でしかなくて
君にも切り札なんて無くて
君も君以上の何者でもなくて
ならどうすればいい?
いっそもうフィナーレに入ればいいかな?

「満員御礼」の旗ももう捨てておいて
看板ももう全て捨てておいて
ステージのライトももう切っておいて
僕の目も、腕も、手も、足も、胴も、
全て捨てておいて

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〜二人の秘密〜長文なので時間があるときに読んで下さると嬉しいです!

私はいつもの窓辺で歌を口ずさんでいた。

“なんの歌?”
先生と一緒に来たアルが答える。
「教えない(笑)。」
『教えてあげてもいいんじゃないか(笑)?』
先生は笑いながら隣に座る。
アルも座ろうとしたので引き止める。
「待って、先生の隣は私!!って言うことは私が真ん中!!」
“え〜、だめなの?”
「そりゃそうでしょ?ここまで来るのに先生のこと、独り占めしてたんだから。」
『まぁまぁ(笑)、アルは何人かの生徒に話しかかられてて、私は先に歩いていたよ?』
「それはそれで腹立つからだめなの!」
“どこが!?腹立つ要素あった??”
「先生よりモテてる。」
私がそう言ったとき、先生は吹き出して笑った。

「先生?」
『あ〜、ごめんごめん。君たち、仲良くなったな(笑)。』
「どこが!?」
『喧嘩するほど仲が良いとか言うだろ(笑)?』
“確かに言いますけど……。”
「なんかさ、今日はただ、3人でいちゃいちゃしてるだけじゃない?(笑)」
“はっ?いちゃいちゃ?”
「そう。先生を二人が取り合う三角関係?的なの(笑)。」
『確かに、ありそうだ(笑)。』
「まぁ、本当にアルが嫌いなわけじゃないの。」
『私はわかっているよ。』
「さすが先生(笑)。」
“なんか、僕が負ける三角関係のパターンですね。”
私と先生は、しょんぼりしたアルを見て笑った。

私達は同級生のようだった。
そして意地悪な事を言いながらもお互いの事を思い合っていた。
私は先生とアルになんの歌を歌っていたのか教えると、続きを歌うことにした。

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