ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 7.サイレントレイヴン ⑭
「あとお前と関わると面倒な事が起こりそうだからってのも」
「うっ」
わたしはうろたえる。
…確かに彼の言う通りかもしれない。
わたしとの関わりによって、彼らにとって不都合な事が起きているのは事実だし。
でもそこまで言わなくても…
「人と関わるかどうかはその人の勝手、こっちが何を思ってもこっちの自由」
他人の思いなんて理解できないし、と黎は続ける。
「自由…」
わたしは思わず繰り返す。
確かに、その辺りはその人の自由だ。
黎はうつむきながらさらに言う。
「他人の感情なんかよく分かんないし、理解できない」
だから勝手に関わられても、基本的にはどうでも良い事、と黎は付け足す。
「でも…」
不意に彼は口ごもった。
わたしは何を言おうとしているのだろうと首をかしげる。
「お前だけは、何か干渉され過ぎそうで嫌…」
消え入りそうな声で彼は言った。
「…」
黎はこちらをちろと見た後、逃げるかのように駆け出した。
「あ」
わたしがそう言う頃には、彼は視界の外だった。
最後の方、何だったんだろ…
わたしは路地裏でただただ呆然と立ち尽くしていた。