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年長の自分へ

あのときのことは、今でも鮮明に覚えているよ。朝起きたらおばあちゃん家に行くと言われ、車に乗るように言われた。お父さんに。君はお母さんと待ってるって言ったけど、行かなきゃだめだと言われて、大泣きしながら車に乗ったよね。その時は、なんでおばあちゃん家に行かなきゃいけなかったのか分からなかった。ただ、お母さんと待っていることが許されなかったことだけが、鮮明に思い出せる。無理矢理車に乗せられて、君は大泣きしながらも、まだ小さかった一番下の弟を抱っこしながら家を出たっけ。わけも分からず、これからはお母さんとは一緒に暮らせないってなって、どうにもできなかったよね。そんな小さな体で、よく頑張ったね。保育園の頃から父子家庭で育ったことは、今でも時々負い目に感じることもある。神様を恨むこともある。でもね、いつかこの環境に感謝できる日が来るよ!大丈夫!絶対に。高校生になった私が保証する。いいこともあるんだよ!小学生から自分でお弁当詰められるようになるし、高学年になったら、料理も洗濯も、できるようになるの。しかも、色んな人たちに、褒められるんだよ!お金の使い方とか、兄弟も多いから我慢の仕方とか、ほんとに色々経験できたな。君がやってる空手も、ピアノも、いまも続けてる。演劇とか、水泳とか、さんさとか、君はこれからも色んなことを経験する。お金に余裕もないけど、お父さん君たち3人に出来るだけ不自由のないようにって頑張ってくれてる。君はみんなに努力家って言われるようになるんだよ。そしてお父さんにありがとうって言えるようになる。この環境に感謝できるようになるんだよ。だから、高校生になった今、君に伝えなきゃいけないことがある。あのとき、本当に辛かっただろうに、受け入れてくれてありがとう。君らしく成長してくれてありがとう。諦めずにとことん続けてくれてありがとう。

高校2年生の私より。