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×××××中学校の七不思議 甲斐田正秀 12

 次の日の放課後。
 部活に参加した俺に、件の先輩がやって来た。部活の始まる前からソワソワした様子で辺りを見回していた。俺を見つけるとぱっと明るい顔で俺の名を呼びつつ駆け寄ってきたのだ。
「で、昨日どーだったよ!?」
 やっぱりな。
 先輩はおっかなびっくり訊いてきた。
「どうだったって……」
 甲斐田正秀はいましたよ。彼と話して、彼は噂とは全く違う人物で、空襲で死んだ中学生でした。
 ……とは言わなかった。言いたくなかった。
 あの少年は、そうやって大っぴらにして恐れられて良い対象ではない。もっと純粋で幼くて、切ないものだ。会って、直接話を聞いてやらなければならない。あそこに行こうと思った者だけが密かに確かに知って、ずっと心に止めておけば良いのだ。彼もそれを望んでいる。
 だから俺は
「何もありませんでしたよ」
 そう言った。
「……なあんだ、そうだよな、ははは、期待して損しちまったぜ」
「そうっすよ。それより、あれから大変だったんすよ!昇降口全部しまってて、職員室行ったら何でいるんだってチョー怒られて!」
「ははは、どんまーい」
「元凶先輩っすよ!」
「へへへ」
「もう!」
「おい!そこうるせーぞ!」
「すいません!」「すいません!」
 またも先生に怒鳴られ、部活を始めた。

 あれ以来、俺はあの時間にあの教室に行くことはなかったけど、後輩には教えてやった。
 甲斐田正秀の『恐ろしい噂』を。


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はるかぜと共に現れた旅人と過ごすのんびり生活 EP.4

カービィに日本語を教え始めてから3週間。
カービィは意外にも飲み込みが早く、発音や文章も簡単に覚えていった。
「おはよう、蒼。」(カービィ)
「ぽよぽよ!」(僕)
少なくともこれで周りから見て不審な所は無くなっただろう。
次にやるべきは…食料の確保だな。カービィは食べ物をかなり食べそうだし。
でも僕の体にどうやって入りきるんだろう…?
まあ今はまだ気にしなくていいか。
とりあえずスーパーに行って色々買っておけば十分だろう。
ただ…カービィだけだと心配だ。
でも僕が外に出れば明らかに人が集まってきてしまう。そうなれば買い物所じゃない。
ならどうやって行く?
うーん…そうだ、コピー能力を活かせば上手くいくのでは?
ボールになれば怪しまれることはほとんど無いだろう。
物は試しだ。そう思いボールを吸い込んだ。
…うん、ちゃんとなれたみたいだな。自力で転がれるし、万が一があっても問題はない。
「ぽよぽよ、ぽよぽよ?」(僕)
「え?うん、分かった。よろしく頼むよ。」(カービィ)
「ぽよ!」(僕)
カービィにも伝えたから、大丈夫だな。
よし、行くか!まあ僕はバックの中に紛れ込むんだけど…
こうして僕は買い物へと出発した。

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