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想い人。

豪雨のなかを走っていた私は妙に非現実的で、足元にはねる雨水は私を現実に引き戻した。
確かにここにいるという一番いらない情報を突きつけるように。
いつの間にか心に住みついていた想いは、きっと伝えてはいけない。
私はあなたをこれ以上、知ってはいけない。きっと。

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即興

燦々と日光が降り注ぐなかでも降ってくる
通り雨を恨めしそうに見上げながら
僕の知らない赤の他人に片思い中の君は
どういうわけか僕を捕まえ愚痴ってくるんだ
「狐ですらお嫁に行くのにね」
僕は湿気をまったく感じる事の出来ない
カラッカラに乾いた笑い声しか出せなかった
でもふと思ったんだ
君になら化かされてもいいんじゃないかって
もう化かされてるのかもしれないけど

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無題

仲間とコートを駆け抜けた
仲間と同じユニフォームを着て
仲間と1つのゴールに向かって

お前らと同じステージに立った
お前らと自分の音をかき鳴らし
お前らと最高の曲を奏でた

君と並んで通学路を歩いた
君の他愛もない話を聞きながら
君の楽しそうな横顔を見ていた

桜が咲く頃動き出した時計の針は
3年後、桜が咲く頃に止まる
僕たちの時計はきっと
大人よりもずっと早く回る
早く回るから僕たちは
休んでなんかいられない
動き続けていないと
時計の動きに追いつけないんだ

一人一人の光はちっぽけでも
僕らの光は太陽に負けない
大きな光になる
輝き続けよう
青春の時計が止まるまで

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夜@星の木


光の溢れる 夜
けど、見たいものが見えない時もある
大昔の人々が生活に取り入れた
星の光と月の光
月は自分で光れない
君もきっと、そして僕もきっと
けど、太陽がいれば、強い光があれば
君もきっと、僕もきっと

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欠片

新しくした携帯電話に、真っ白な日記
僕が残したのは 最初の大事な記憶だけ

何も言えなかったあの頃
思い出すのは、幸せな日々だったこと

君は僕の太陽だったんだ。

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あたたかい

周りの声を気にしすぎて
他人の目線を気にしすぎて
不安で
孤独で
暗いところにいた私
そんなところに見えた
ヒカリ

暗闇で苦しんでいた私に
そっと手を差し伸べてくれた

その手はとてもあたたかかった

その優しさはどこまでもあたたかく
そのヒカリは手放してはならない
大切なものだと知った

ありがとう

これからは私があなたのヒカリになるからね

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c0l0r

空は 灰色 灰は 白色 白は 無色 溶けて 消えて 濾して 消えて 笑顔
 消えたんだ ここにはない ここにはない 何が? 刺さった 旗  刺され
た 空 灰色のまま 割れない 空のまま 壊れた 壊れた 堕天使 さあ僕を
 再生してくれよ

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無題

聞かれたから答えただけで
会話が弾んだと言えるのかしら。
私は一つも問いを投げなかったのに。
引き止められたから留まっただけで
その場を楽しんだと言えるのかしら。
私は否を唱えなかっただけなのに。

貴女の特別になりたいと
なるにはどうすればいいと
そう問うような方が
私の特別なんかになれるでしょうか。

初めに答えは全て差し上げましたのに。
悉く覆すような
与えられて胡座をかくような
そんな貴方に
私は只々 微笑みを。

その意味すら悟れない貴方に
私との未来があり得ましょうか。

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ぐら。

君にとって 僕のなみだは ただの気紛れ
流星を見たいとねがう その向こう
知ったのは 燃え尽きること。
燃え続ける、ひかり、あったような。

気紛れ、気紛れる、雨に降られる
濡れた髪や服に なにも思わないのは
疲れを言い訳に 眠ったんだ。

燃え尽きる、ひかりに手を伸ばしかけ、
その名前を呼んだって揺れる声しか出ない僕は

寝ぼけているふりをした。

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忘れないでと笑った君の
手のひらでガラス玉が 揺れたから
また 夏がはじまる
書けそうで書けないユーウツの文字さえ
ふらりと 意味をなくしそうだ

夕焼けが照らす頬
撫でてゆく風に さらわれないように
握りしめた思い出
止まったままの砂時計
風鈴の音色に呼び戻された世界で
僕は静かに呼吸をしている

忘れないでと泣いた君の
手のひらがゆらゆら 揺れたから
また 夏がおわる
風鈴の音色に呼び戻された世界で
僕だけが静かに呼吸をしている