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無題

言葉をください。
出来損ないの私にも。
温もりはない。心もない。
それだけのつながり。
それでもいいから、どうか言葉を。
それさえあれば、生きていけるの。

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鬼ノ業~序章(拾壱)

草の茂みに隠れる。
それは__
「あ、蒼!?」
「しっ。静かに。」
泣き止まない薊をぎゅっと抱き締めて、嗚咽が響かないように、そして、安心させるように言う。
「大丈夫。またすぐ逃げるから。」
朔は懸命に堪える。
「蒼、紗那が殺されたって…。」
「本当のことだ。俺が帰ったら殺されてた。玄関の前で。
だけど、俺は朔の母上を疑うつもりはない。」
朔は涙目だ。
「あんなに優しい母上などいない。」
ごしごしとこする。
「僕はこれからどうすればいい。
…それを教えに来てくれたんだろう?」
蒼は笑う。そうだ、と応え、
「このままここで隠れてろ。ただし、物音ひとつ立てるな。
きっと、朔達の叔父上が来てくれる。 」
「叔父上…?」
「朔の母上のお兄様だ。」
「なんでそんなこと知って__」
蒼は、これには不思議そうな顔をした。
「おばさんが…俺に、そう伝えてきたんだ。今日、帰り際に…。」
少々考えるようにしてすぐ戻る。
「でもおばさんがいっていたんだ。俺は朔達を信じている。
…でも、俺はこの村に留まらないきゃいけない。紗那のこともあるから。」
朔は強く頷く。
そこで、少し蒼は笑った。
「でも、いつかきっと会いに行く。探しにいくから、二人のこと。…妹殺した犯人も見つけてやる。」
朔は、蒼のその言葉が嬉しくて、涙が出てきた。
「待ってる。僕も、強くなるから。」
「あぁ!」

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手放す

たぷたぷに詰まった脳みそ。
レヴィンとレヴィナスとレヴィ=ストロースの違いとか。
地雷はオタワ条約で、クラスターはオスロ条約だとか。
ニーチェもフーコーもキルケゴールもフロムも、本居宣長に新井白石に安藤昌益。法然だとか源信だとか。
ウパニシャッドとジャイナとヒンドゥーとか。
そんな知識は、もう、要らないなんて。
この一年、何をしてたのか。
私の一年、何だったのか。
(倫理を一番勉強してた。色んな思想で、頭と心がおかしくなるような受験科目。好きだったのにな。)

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透明な花束

少し濡れた、睫毛の先。
赤い頬に溶けた貴方の夢。

その窓から覗く世界を、
好きになってしまった私を
その世界の入口まで連れていってくれますか。

何処までも透明な空気を泳ぐ言葉と、
ふわり、漂う貴方だけの色が、

好きだと言ったら、
困ったように笑って、
空をみるのかな。

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果ての記憶

忘れようと望んでる、でも居ないとなんか違う、なんなんだろう、この感じは

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flower head

人間関係に悩みなんて無いのは 悩むほどの関係がないからだ。
僕の幸せな脳味噌には 僕ひとり分の空間しかない。
さよならの数より はじめましての数のほうがずっと多い。
さよならしないうちに お別れしてたんだろうな。
思い出せないあの人と またはじめましてしてたりして。
いつだって新鮮な気分さ。 空虚。
どうせ空っぽなら せめて花畑を満載にしてたかったな。
かち割れたときに ぶちまけるために。
無意味な僕の人生が まるで美しかったかのように。
さらば現世 嫌いじゃなかったぜ。 来世は別にいらないけど。

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想い、想われたい。

あなたはどれくらい私のこと、私と同じくらい想っていて、今さらだから言わないけど、けっこう想ってるよと言われたい。

困った時にくしゃっとなる顔はキライじゃない。泣いていてくしゃっとなる顔は見たくない。ただ笑っていてほしい。それだけでボクは今日もボクでいられるんだ。

想いはいつも一緒なのに。いつもいつも。

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本日の魔法講座 その233

だって
キラキラの銀世界は
こすも の今日を塞いでしまったのだ

でも あなたを待ってる人がいるよ

ぽこぽこ 白を凹ませて
雑踏もしがらみも闊歩して

どうか ここまで やってきてよ

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ファンタジックスノウデイズ。

ざくりざくりと 白い世界に足跡を残す。夢みたいだった輝きは、すこしだけ遠くに見えた。
小さな夢の延長線、今日だけは描いてみてもいいよね。
明日には消える魔法。せめて今だけ、この目に焼きつけて。明日また、いつもの日々に戻れるよう。少しだけ白を思って、僕は白銀の世界をあとにした。

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鬼ノ業~序章(拾)

「いきなさい!」
朔は反射的に走り出した。薊の手をしっかり握って。
しかし、大人がいく手を阻む。
「母様!母様!!」
泣き叫ぶ薊と、後ろで聞こえる怒号。そして__母の悲鳴。
しかし、それは次に、村人の悲鳴へとかわった。
思わず朔が振り返る。目に入ってきたのは、燃え盛る自分の家と、鬼の姿となった母の姿。朔がこの姿を見たのは、これで二度目となってしまった。
母は、その姿でいてもなお、人間に手を出さない。朔までも、なぜと思ってしまうほどに。
しかし、何か印を結んでいる。瞬間、遠目ではあるが、緋い飛沫が舞った。緋の出所は、村人なんかじゃない。それは全て母のものだ。
「母上…母上……」
立ち止まってしまう朔。大人は追いかけてくる。
そこへ、そんな朔と薊の手を引っ張る人物がいた。

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どしゃぶりのバス停で 11

私は家に帰って、早速それを読んでみた。
短編小説がたくさん入っているものだった。
一つ目の『愛の証』を読んでみる。
西田そうたにしてはめずらしく、ラブストーリー絡みだった。
主人公の刑事が、容疑者の女の人に恋をしながらも、事件の真相にたどり着いてしまった話だ。
このあとの、『命のトリック』『馬車で追いかけて』まで、一気に読んでしまった。
「美穂ー!」
お母さんが呼んでいる。
「何ー?」
「ちょっと手伝って!」
「えー…」
仕方なく私は、本をおいて、一階に降りた。

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ファヴァー魔法図書館 #63

『全世界運命的兵器機構』

彼ら彼女らは無事住む場所を手に入れた。
しかしそれだけで終わらせる事は出来ない、彼ら彼女らがニンゲンに立ち向かうにはニンゲンと同系統又は正反対の力が必要だった。
彼ら彼女らは正反対の力は持っていた、しかしそれだけでは足りなかったのだ。

ニンゲンの数は圧倒的である。
数と言うのは怖いもので、ニンゲンより生物的優位に立っていた彼ら彼女らでさえ蔑まれ時にUの毒牙にかかった。

彼らはニンゲンに立ち向かう為国家を創りニンゲンの言う【国際連合】を模した【全世界運命的兵器機構】を創った。
彼らは無理矢理創ったのだ、ニンゲンと同系統かつ大正義の【場所】を。

彼女らはニンゲンに立ち向かう為エネルギーの開発に着手した。重水素に三重水素、ご明察、その通りである。

蛇足だが、
ニンゲンは哀れにもUを使った、そして1ドル超えの溶解液と共に超即発臨界の炎に呑まれてしまった。
結局の所【全世界運命的兵器機構】が現在の【国際連合】になった。
この時から数巡後の話だが。

To be continued #64 『ディアナ家』

P.S.何故飛ばしても良いかも知れない章なのにここまで設定を深く作っているか。
それは、彼ら彼女らが後のあの子たちの祖先であるからです。
此処で言うニンゲンは哀れにも超即発臨界に飲み込まれてしまいました、知識が無ければ何を言っているのか解らないでしょう。良いんです、通じるのは一部の人だけで。
言葉だけ知った文系の科学なんて見てるだけで滑稽極まりないですから。

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霧の中

解放感は何もなく、ただ、喪失を抱きしめている。
学校には通わなかった。
高校には通わなかった。
予備校には通わなかった。
かといって、まともに勉強をしなかった。
何一つ、僕は努力をしなかった。
後悔はない。進歩には戸惑いが纏うもの。
けれど、乗り越えて見えたものは、燃え尽きることも出来ない、欠損を持った自分の姿だった。
(受験が無事終わりました。終わってからの方がつらいって、知らなかったなぁ。)

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シューアイス『三好の場合』

やばっ加藤がガチギレしてんじゃん!ソッコー写メ取ってTwitterで拡散。廊下から撮ったからちょっと画質荒いけどまあわかるっしょ。加藤けっこう顔濃いし。それにしてもなんでキレたのかなーって気になってよく見たら机の上に食べかけのシューアイスがあって、なるほどってなった。あたしも確かに加藤のシューアイスの扱いは正直どーかなって思ってた。食べ方汚いしそもそも感謝が足りないんだよね、あたしみたいなシューアイス正教徒からするとさ。加藤に張りあってるハルヒコは確かかなり厳しいシュー派に入ってたはずだし、納得だわ。まあ5組はアイシスト(シューアイスをその他のアイスと混同し信仰しない者を差す蔑称)多いし、ハルヒコも肩身狭かったんだろうな。で、もう我慢しきれなくなって爆発、ってことね。うんうん、気持ちわかるけどやって良いことと悪いことがあるよー。携帯チェックしたら早速2組の神崎照美からリプが来てた。やっちゃえ加藤!だって、あいつも加藤のこと好きなのかなあ。

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発動

イズモは叫ぶに近い形で宣言した
「我ら最高神様の復活のための計画を発動する!」
イズモは表の顔では、教団の神の化身のような立場である
「我らの理想の世界の為に、尽力しようじゃないか!」
信者達の中で歓声が上がる
「皆それぞれの誇りの元に、聖杯を我ら最高神様に!」
カップを教壇に置く
「宣誓は終わった!我らの誇りの元に、戦いの開始を宣言する!」
信者達は皆、狂ったような感覚に陥っていた...

「ふむ...そろそろか...」
ロマノフは杖を構えた
「我ら神の元に、信者達に力を与えよ!」
教会は謎の光に包まれた...

イズモは信者達が、異形の『モノ』達に変化していくのを見ていた
「(ふふふ こいつらはもはや僕のしもべ...所詮、信仰心はこの程度よ...)」
イズモは危険な笑みを浮かべながら命令を出した
「皆のもの、進撃せよ!」
異形の『モノ』たちは、教会の建つ、街へ進行をはじめた...

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そのうち

ゆめのまたゆめは夢になり
夢は語れる目標になり
知らない間に階段となって
気づけば私は空を仰ぐ

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向き合うこと

人は"本音"を言うことを怖がる
そりゃ 私だって言えない

それを言うことで・・・
自分の本当の姿を見せちゃうことで
相手が気を悪くしないか・・・
相手が離れて行っちゃうんじゃないか・・・
引かれるんじゃないか・・・
そんな風に考えちゃうから
"本音"なんて言わないのが1番!
それが自分だって言い聞かせる

でも"本音"を言うことで
すべてをさらけ出すことで
"わたし"という存在を知ることができて
何かあったとき 救い出せることができる

本音は言葉で言わなきゃ分からない
きっと いつか来る
あなたが "自分" を出す時が

本音を言うことは難しいこと
だからこそ
本音が言えるひとに出会えたらいいね

もう君には いるんじゃない?
君を受け入れてくれる人が すぐ傍に

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無題

傘を忘れる雨の日が増えて
化粧を落とし忘れて眠る日が続く

気が付くと床に服が散らばっていて
気が付くと何も食べずに日が暮れている

だらしなくなったわけじゃないの
ただ 貴方が家から出て行っただけ

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お弁当

もう頑張ってるよ、貴方にはきっと分からない
そうやっていつも、いつも、自分を殺してる
同じ人間の気持にさえ応えられない
そんな私は馬鹿なのでしょうか

結局後悔するんなら何方にいっても
一緒でしょう?
たとえ何方かが正解でも
今の私はただ立ってるだけ
いやもしかしたら正解なんて、と知らぬ間に
思っているのかもしれないね


もうやってるよ、私の何を知ってるの
そうやっていつも、いつも、自分を罵倒してる
同じ生物の気持にさえ応えられない
そんな私は嫌われ者でしょうか

結局後悔するんなら何方を選んでも
一緒でしょう?
道を他人に耕せて
悠々歩いてる貴方が嫌い
いやもしかしたらお前だって、と知らぬ間に
言われてるかもしれないね

さぁ考えろ、自分を洗え

皆そうやって自分に叫べたら
無垢な世界ができるのかな

正直になってもいいんじゃない?
そう思えたら少し進める気がしたよ