朔の首筋には刀が添えられている。
鼓動が速くなる。
誰。何故。
しかし、武器なら朔だって持っている。慣れた手つきで、矛の先を、相手の喉元へ。これは、天性の物だった。
「名を、名乗れ。」
朔が尋ねる。襲われたことなんぞあったことはないが、対応は優れたものだった。誰かに教わったことがある。__誰だったか。
すると、朔を掴まえていた手が、剣が、ふっと弛んだ。
「蒼だ。お前の旧友の。」
朔は勢いよく振り返る。
「蒼…!?」
あの日の面影が残っている。黒い短髪や、澄んだ黒真珠の様な眼はそのままだ。
「久しいな、朔。」
爽やかな風が、朔の髪を揺らした。まるで、二人の再会を喜ぶかのように。
追伸:
今回の追伸は此方にお邪魔します。調度一括りついたところで、定期考査という悪魔が追って参りました。2週間程休みます。一年間の成績決まってしまうので(*T^T)2週間後からは鬼ノ業~本章が始動致します。お楽しみに!
『5日目弍』
気がついた時には横になっていた。
目を開けると見覚えのある部屋にいた。
そう、森矢邸である。
「気がつきました?」と頭の後ろから優しい声が飛んできた。
みゆりはバツが悪そうに横になったまま背を向けた。
「......みゆりさん、駄目です。幾ら貴方が妖怪学の権威だったとしても駄目です。
貴方はもう少しであちら側に逝ってしまう所だった。」
みゆりは、「ごめんなさい......」とだけ言った。
風麿は、「夜明けまで少し時間がある、一つあの百鬼夜行の話でもしますか。」
みゆりはみゆりは背を向けたまま目を輝かせた。
悔しいから風麿には見せないが。
あの百鬼夜行は、実は神が率いているのです。
この地方にあの社が立つ前からいた神が。
貴方の立っていた本宮から前宮、秋宮、春宮と。
君が見た蛇達がその神様です。
僕は音頭の真ん中で秘法を行っています。
大体このような事を言っていたと思う。
話を終えてから風麿は、
「もう月曜日です。仕事もあるでしょう。
まだ暗いがお行きなさい、送ります。」
森矢邸からみゆりの家は歩いて行ける。
家路の中、二人は会話をしなかった。
別れ際風麿は、
「今日の仕事が終わったら私の家に来てください。
話すことがあります。
それと、私の家に来る時は遊ぶ時と貴方の意識がある時にして下さい、ね。」
と冗談目かしく耳打ちをした。
P.S.気づいている方もいると思いますが、このお話で書いている【佐奈伎】は諏訪をモデルにしています。
佐奈伎大社なんてもろ諏訪大社だし、森矢なんて字を変えただけだし笑
だから読む時には諏訪の地図を用意するといいかもしれません笑
ぜんぶが溶けてなくなりたい
もうどろどろに水飴のような
夜景は変わりなく綺麗なのに
私は切りっぱなしの毛先で
冬の風と遊んでおりまする
りんご飴は出掛けに踏み
赤い頬染め馴染まぬ予感
君は変わりなく愛されたがり
手にとまる蝶を虫かごに入る
夜は醒めることなく夜で
閉じ込めたぜんぶがふと
逃げ出そうと企み始める
私はゆらゆらと赤い糸で
あやとりしておりまする
胸のつかえがとれた頃に
君とまた会いたくおもう
『5日目壱』
丑三つ時、みゆりは目覚めた。
相変わらず百鬼夜行は続いている様だ。
ちんどんしゃん......ちきちきばんばん......
みゆりはついて行く事にした。
きつね、たぬき、かえる、へび。
様々な妖怪が動いている。
どれくらい歩いただろうか。
気がついたら佐奈伎湖の湖畔を歩いていた。
それでも百鬼夜行は続いている。
不思議なことに、みゆりには疲れが溜まっていなかった。
恐らく、もう30kmは歩いただろう。
気がついたら、佐奈伎大社春宮に着いていた。
春宮は中央に神楽殿がある。
妖怪はそこに集まっている様だ。
そこで音頭を取っていたのは。
数多の白蛇と、風麿であった。
瞬間、視界はブラックアウトした。
P.S.ちょっと続きます。
勝手に一人で想像して、
勝手に一人で怖くなって、
また勝手に、一人で涙をながす。
捨てよう。
缶コーヒーの底に溜まった澱を。
誰かの希望ばかり詰め込まれた進路調査票を。
クレジットカードを。金貨を。
夕焼けが美しく映える山並みを。
やがてガラクタと明かされる宝物を。ゴミ箱のようなおもちゃ箱を。
どうせ光る未来を。過去を。
ドブ川に沈みうずくまる美しい思い出を。赤ん坊が空を掴む動作を。
いずれ誰かと繋ぐ手を。あの日傷つけた腕を。喜びを。哀しみを。
心臓を。呼吸を。脳を。魂を。
ただそこにあるだけで涙が止まらない星を。
おそらく永久に耳の中で鳴り響く音楽を。歓喜の歌を。愛の歌を。悲しみの歌を。
宇宙を。
僕を。
さあ 最期まで残ったものはなんだい?
最後まで捨てきれなかったものは?
遂にきてしまった
選択のとき、今までずっと考えてたこと。
自分なりにたくさん考えて、正直今でも悩んでて、でもこれ以上考えたら禿げちゃいそうだから。
どちらが大切か、
大切なものを持ち過ぎたんだと思う。
ぐだぐた言ってもしょうがないな
腹くくって、いざ、
無くなったものは何かが埋める。
空いた穴は誰かが埋める。
きっとこの世界に
「代わり」
がないものなんて無いんだ。
でも、僕だけは誰にも
「代われない」
そんな存在になりたい
そう思うのはわがままだろうか?
ふわりふわり
酔ってしまいそうな香り
酔ってしまいたい
溺れてしまいたい
ふわりふわり
ポエム って
なんでしょう?
【ここにいるくせに
今さらなのですが
ときどき あーこれはポエムじゃないな、と自分の中にしまう言葉があります。
みなさんはそんなときありますか?】