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〜春・初恋〜

アタシ、15歳。
好きな人は、出来たことはない。
だから、人を好きになる感覚。
つまり、「恋」を知らない平凡女子。

-4月6日。高校入学。
私は、県外の高校へ入学した。
この高校は、中庭の大きな桜の木が有名だ。
入学式とHRが終わって早々、見に行った。

桜の花びらが優雅に舞い散る。
「わぁ…きれい…」

しばらく見上げていると、
「桜、髪についてるよ」
という声と共に、誰かの手が私の髪に触れた。
振り向くと、若い男の人。
先生だ。
「新入生か。遅くならないうちに帰りなよ」
そう言い、笑いながら校舎の方へ行ってしまった。
その笑った顔に、心を奪われた。
風に吹かれ、触れられた髪が頬に触れる。
-キュ…。
胸の音が耳にこだまする。
「これが-…。」

澄んだ空に、桜舞う。
春風のなか、アタシは、
教師に、初恋を捧げます。





ハニーワークスの「花に赤い糸」をBGMにして読んでみてください。

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LOST MEMORIES ⅦⅩⅣ

いきなりの呼び掛けに、それはもう心臓が止まってしまうかのごとく驚いた瑛瑠。
「は、長谷川さん……」
止まりかけた心臓は、慌てたようにすごい勢いで動き出す。
瑛瑠は思わずしゃがみこんだ。
「びっくりしたー……急に後ろから声かけないでください。」
恨みがましく見上げる。昨日チャールズに止められたうわめづかだということには気付かない。
望は一瞬固まり、困ったように微笑んで、ごめんねと手を差し出す。瑛瑠は、ありがとうございますと、手をとった。
「どうしたんですか?」
瑛瑠が聞くと、望は少し肩を竦める。
「先生に頼まれちゃって。瑛瑠さんは?」
学級委員長の仕事だろうか。
「ちょっと調べものを。」
あながち間違いではない。
「終わった?」
何も調べてはいないが、なんだかよくなってしまった。私、どこまで考えていたっけ。
「はい、もう大丈夫です。」
望は重ねて聞いてくる。
「じゃあ、途中まで一緒に帰ろう?」
断る理由はない。頷くと、後ろに華が舞う勢いで笑顔になる。
「教室から物とってくるから待ってて!」
「ちょっと、長谷川さん!」
瑛瑠の呼び掛けには振り返らずに行ってしまった。先生からの頼まれ事はいいのだろうか。

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運命の人

誰にでもみせたくないモノがあって

誰にでもみせられないモノがあって

それは過去の自分の過ちだったり、

自分の裏の顔だったり、

自分の弱みだったり、

片付けられない部屋だったりする。

無理にみせなくていいものばかりだし、

隠したければ一生隠していけるモノだけれど。


そういうモノをみせられる人が

きっと僕の運命の人なんじゃないか

と思った帰り道。

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風景

雨明けて、
午後、
西日が差して

見上げた空に
架かる虹。

夏だ。
夏が、来た。

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LOST MEMORIES ⅦⅩⅢ

我ながら良い仮説だと思う。人間界というなら、こんな狭い範囲に自分たちを送り込む意味がわからない。
ただ、そうしてまた立ち止まる。この地域とは、どこからどこまでの範囲をいうのだろうか。隣の学校にも同種がいるなんて言われてはたまったものじゃない。
速まる鼓動を抑えたがるように言い聞かせる。焦るな、祝 瑛瑠。
ゆっくりと深呼吸をする。どうしてここまで焦って考えているのだろう。そう思うけれど、それはわからないものに操られている恐怖なんだろうと思う。
やはり、共有者が欲しい。一緒に考えてくれる人。
霧 英人の顔がちらつく。あの漆黒の瞳。正体が割れているのは彼だけ。しかし、思いきりがつかない。
「瑛瑠さん?」

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鍵が解かれた恋

君が好きって事さ、バレちゃったよ。
友達に言われたんだよ
「あいつが好きなんでしょう??」って
なんか毎度毎度だけど慣れないなぁ
この感覚だけは
誰かに私の恋の鍵が解かれる時だけは
どうしても胸がくすぐったいの。

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譲歩と妥協は朝飯前

あんまり削りたくないんだけど
届かないよりはマシだから
ちょっとくらいはしょうがないよね
だって違うひとなんだもん
結局僕らは
この生暖かく湿ったはこをでられない

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なんとなく即興詩。

じっとりと重たい、湿気を吸い込んで…
洗ったばかりの車が雨に打たれるのをマゾヒスティックに眺めながら、落ちてきた一粒ひとつぶの水が凶暴なひとつの塊になったことについてぼんやりと考える。
手が届くほどの町がテレヴィに映った朝、人目もはばからずに泪を流したかった。ハンカチを噛み締めて泣きじゃくるのではなく、頬を伝っていく涙滴のころがりをくすぐったく思いながらただ、唇を噛んでいたかった。
このつまらぬ我が家が流れず、あの美しい町が呑まれたのは何故か。あの愛しい人々が途方に暮れ、この俺がのほほんと生きているのは何故か。命の重みを比べるほど傲慢ではないけれど…

(ご心配かけてしまった皆様、ごめんなさいとありがとう。)
(ぼくは一晩と少し、家に閉じ込められただけでまったく無事です… )
(でも、テレヴィに映ったあの町はほんの十数キロの距離で、)
(まだ気持ちの整理がつかないままぼんやりと生きています)