不安で不安で不安で
行きたくない
嫌で嫌で嫌で嫌で
生きたくない
そんな感情が渦巻いてたら
いつのまにか12時だなんて
世界は残酷
この命がいつ終わるかも教えてくれないで
恋に落ちることなんて、簡単だ。
…ほら、足許をみて?
可愛い「冬」が、マフラー巻いて
じっと見つめてる、瞳をごらん?
凍えた唇を、ふ と緩めて
まじで、恋に落ちる5秒前…
皆さんこんばんは。ユーレイ部員のシャア専用ボールです。三ヶ月ほど前からなんとなく復活している三題噺企画、今月もやりますよ(しゃち、待たせてごめんね)
お題は「冬」「恋」「マフラー」のみっつ。敢えてベタなのを選んでみました…笑
12月も残り半分と少し…よかったら楽しんでくださいな。
「? 何見てんの?」
「別になんでも?」
「ちょっ、見せろや」
「あーっあーっ、ちょっと~」
ホタルは俺からパッとスマホを取り上げると、メッセージアプリの履歴を眺め始めた。
「ふ~ん、なんもしてねぇのか」
「そう」
「さっきの感じからして、恋人とやり取りしているのかと」
「は⁉ そもそも、お前そういうのに興味あった⁇」
「ボクはそういうの興味ないし」
「…その一人称やめたら?」
「フン、やだね。これがボクなのだよ」
「やなかんじ」
変わらない掛け合い。特に一人称については昔から言い続けている。
ホタル、入間ホタル。おれの妹。生意気な小学5年生。
いつからか、自分のことを”ボク”と言っている。そういうの、俺は嫌なんですけど。
「でさ、フェスの件。どうすんの?」
「ああ」
実は決めかねているクリスマスの、”フェス”のこと、俺の周りで知っているのは、こいつ―ホタルだけだ。
こういう悩み事系は、優柔不断な弟のケイではなく、妹のホタルに言っている。
ホタルはこういう性格だから、悩み事は、アドバイスはくれないけれど―流し聞きしてくれている。
そういうのもあって、結構信頼してるんだけど。
「行くか行かないか、まだ迷ってる」
「そういうのは早く父さん母さんに言うといい」
「まぁそうだけど…」
「…行けば?」
ホタルがこっちを見ている。その釣り目が笑っている。
「…とりあえず、みんなに聞いてみよっかな」
「いんじゃね? ボクには異論を言う立場じゃない」
俺はホタルからスマホを取り返すと、みんなへの”言葉”を打ち始めた―
昨日に比べれば、短いかも。もしかしたら、ここはカギになる回かも?
ただならぬ望のオーラを感じとり、英人は降参,と手をあげる。
「あのとき嫌な予感はしたが、まさか本当に言うとはな。」
「私は、聞かれたので答えただけです。」
恨みがましく睨み付ける瑛瑠に、瑛瑠は家にいる自分の付き人のように飄々と返す。言い合えるのは、昨日を乗り越えたから。
「どこまで話した?」
英人の問いに微笑んで返す。
「英人さんと喧嘩してしまって、どうやら逆鱗に触れた私は、引かれるまま家へ連れ込まれ、泣いて謝ったという旨を軽く説明しただけです。」
「え?」
「は?」
「……霧、それは本当?」
歌名はそんなことまでは聞いていないという戸惑いを見せ、英人はかすっているようで根本的に何かが違うような脚色を目一杯使っている発言に驚き、望はそのまま受け取った衝撃が怒りへ変換されていく。
この、そうなのだがそうじゃないと言いたくなるような言葉で多大なる誤解が生まれ、英人の取り調べに暗雲が立ち込めたのは言うまでもない。
結月視点
目が覚めた。
白い天井が見える。
ああ、そういや僕、倒れたんだっけ。
【続く】
冷たい空が帳を下ろす
新月の闇
いつもより明滅の少ない
十二月の夜
見慣れた空は違って見えた
なぜだか手のひらが熱かった
寂しいとは思わなかった
ずっと僕は一人だったから
さっきまでが特別だっただけなんだ
もと塵の僕らが
塵に帰ることを
それほどに恐れるのも
滑稽なのかもしれない
胸を焼き焦がしたあの星は
まだ青白く輝いている
誰より近い場所で
シリウス『焼き焦がす者』
私もリクエストしてみていいですか??
星の詩を、作っていただけませんか??
星という言葉や星座の名前など、星に関係する
言葉や表現が入っているものを募集します!!
美しい詩が沢山生まれそうなので、楽しみにしています。
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ホシノウタ
でお願いします!
待宵草の花明かり
月夜に照らされた鏡台向いて
紅差指を離した
唐紅に染めた唇
かたぶく三日月の輪郭をなぞった
遠くに揺らめいた不知火
あなたをひたすら待って
ひとり虚無な私
また鏡向いて紅を差す
何度も
何度も
なぞった唇と三日月
そのうちに
笹色に厚塗りしてしまった紅
あなたはまだ来ないのね
明け始めた夜は
空蝉に散った徒花
あんなに好きだったのに。
半年くらい会わないだけで、こんなにも簡単に薄れてしまうものなのね。
記憶は更新され続け、その波にあなたは押し流されて消えていく。
だけど。
あなたは魔法使いだから。
魔法が使えるから。
私はまたその魔法にかかって、すぐさまあなたの虜になってしまうんでしょう。
そうして逃れられないんでしょう。
でも、あなたはそれに気がつかない。
自分が魔法をかけたことに。
私があなたを好きでいることに。
私がここにいることに。
それでもいい。
それでもいいから。
もう一度、あなたに会いたい。
「ほんで、はっきのはなひのふどぅきなんだけど」
「なんて言ってんのかわかんないわよ」
口一杯にパイを詰め込んで話すアーネストを、シェキナが窘める。アーネストは近くの雪を一掬いすると、口に含んで流し込んだ。
「っん゛、さっきの話の続きなんだけどさ」
「さっきの話って?」
「ほら、君は僕のことよく知ってるようだけど」
「ええ、アーネスト・アレフさん」
「だから、イナイグム・アレフだっての」
「ああ、そうそう、イナイグマレフ」
「うん、けど、僕は君のことなんにも知らないなって」
「アーネストのスペルってErnest?」
『Ahnest』
「あら、そうなの」
「えっ、いましゃべったの誰?」
「さあ、なんだか上から聞こえてきたけど」
ちなみにこの世界に英語の概念はない。彼らが喋るのはフレア語である。
「て言うかそんなこと訊いてない。僕が知ってるのは、君がシェキナ・アビスタシだってこと、貸馬屋の娘ってこと、僕と同じ経済学の講座をとってるってこと」
「それだけ?」
「それだけ」
「それはひどい話ね」
あぐらを組んでいた足を投げ出し、少し仰け反ってシェキナが言った。
「私はあなたがネウヨルク出身ってことも知ってるのに」
「いやごめんっ...てなんで僕の故郷知ってんだよ」
「ライネンさんに聞いたわ」
「おしゃべり......」
「ともかく、別に私のことをわざわざ話すこともないわ。どうせ二週間近く一緒なんだし」
「確かにそうだけど、なんか不公平って言うか...」
「そんなことないわよ。あなた、私の故郷知ってるでしょ?」
「......ソルコムだろ?」
「ほら、おあいこじゃない」
「うーん、なんか煙に巻かれた気が...」
アーネストは焚き火の火をつつきだした。火の粉が再びパッと上がる。
「ま、良いか」
「わかってくれたならいいわ。それより、この間来てた旅の楽士、あの人凄く良くなかった?」
「ああ、覚えてる覚えてる、盲目の六弦琴弾きだろ?」
「そう、私あの声どこかで聞いたことが......」
夜は更けるばかり。焚き火が崩れて、三度火の粉を上げた。