誰の視点でもない
※『』はイカとにゃんこです。
「「「「『新年、あけましておめでとうございます!」」」」』
結月「てゆーか作者。年明けて2日経ってるぞ。
挨拶遅くねえか?」
『…』
美月「そーですよ!なんで2日経ってから、挨拶してないことに気づくんですか!」
結月&美月「「黙ってねえで、なんか言え!」」
『…』
時雨「…あのさ、2人とも気づいてないかもしれないけど、作者、半泣きだよ。」
『…(泣)』
時雨「だいじょーぶ。掲示板のみんなは怒ってないから。ね?」
『時雨ちゃん大好き〜。』
時雨「うん。わかったから、泣くのやめよ?ね?」
『うん!』
結月&美月&玲(((時雨ちゃん/時雨さん、お母さんみたいだなぁ)))
『こんなぐだぐだな小説ですが、今年もよろしくお願いします!今年の目標は、一週間で小説を四話は書くことです!』
「「「「『今年もよろしく〜。たくさん感想待ってます!質問も答えますよ〜。」」」」』
【新年のご挨拶 終わり】
英人は少し目を見開く。
「僕に?」
頷く歌名に、瑛瑠も同調する。要は、ヴァンパイアのアンテナが欲しいということなのだろう。
その意図を察し、質問を重ねる英人。
「場所は?」
歌名は顎に手を当て少し考えるけれど、出した答えはまたあとでにしようというもの。
「遠くないよ。でも、とりあえずそっちに話が移っちゃうと、ね。」
そう小さく笑うので、瑛瑠が受け継ぐ。
「では、来週にしましょう。」
次の日も休日なのだが、学生は忙しい。時間はまだある。
望が咳払いをした。
「ぼくたちがここに来た理由、それに関係しているであろうことについてだいたい予想をつけて、さらにその大本だろう狐について言及してきたけれど、この続きは来週に持ち越すってことでいいかな。」
そのまとめに3人が頷くことで、ひとまずピリオドが打たれた第1回会議(仮)。
深いため息を吐いて腕を伸ばし、疲れたー!と叫ぶ歌名を瑛瑠がたしなめた。
しかし瑛瑠だって解放感に駆られたから。
「さあみなさん、甘いものでも頼みましょう。」
待っていましたとばかりに、みんなの顔に花が咲いた。
手当り次第に投げた賽子
一の目ばかりかと思ったら
6面足しても6でした
マスの内容も空白で
進むも戻るもないマスに
止まっては想いを書き込んでいく
「今日は花見で昨日は月見で
美味しいお酒が呑めました
鮮やかな短冊 親子対決 勝っても負けても差すのはごこう」
お互いに切り札を待っていると
そう思っていた
あなたはあっさりと見透かしたように
1から順に並べ立てた13時
「愛を信じられずに、可哀想な人」か。
傘はなかった
買えるだけの持ち合わせもなかった
だからこうして
真っ昼間の明るい雨に打たれて
君との約束の場所
びしょ濡れの頬は
優しさが流れ出した
涙、涙。
スニーカーに染みた
振りきれないあの日の決意
涙、涙。
頭を振って髪が乱れ
迸った激情と感傷
涙、涙。
諦めて座り込んだ
冷たさが体を貫く
涙、涙。
雨がやむまでは、
ここにいようと思った。
そこにあった
確かにあったんだ
お前があんなことするから
驚いて逃げてしまったじゃないか
僕が伸ばした腕は
虚しく弧を描いて
しばらくしてダラリと垂れ下がる
そして気づくのだ
もうあれは帰ってこないのだと
二度とこの手に握ることはないのだと
そしてこの部屋に
不敵な笑みを浮かべながら
僕を迎え入れる孤独と
二人暮らしの毎日
日は傾いて見る間に輪郭を溶かす
慌ててなにもかも袖の中隠そうとしても
薄暗さは動きを奪いとり
そっくりまるごと止めてゆきました
なにも目には映らなくて
瞼を閉じても開けても暗闇ばかり
きっと私が涙を流していても
自分ですら気付くことはないでしょう
なにも見る必要なんてない
暗闇と錯覚に蝕まれるのをひしひしと感じながら
手探りで空気をかき回す
なにもかも無意味な空間を
限りなく夜に流れた夕暮れに
車のヘッドライトが雨に反射して
止めどなく落ちる雨粒を見るのが好きだと
いつかあなたは言った
なにも考えなくて済むのだと
アスファルトに刹那触れて
ゆっくりゆっくり飛び散った破片
反射する光もないままに
忘れたようについてきた音を嗤う
なにをしていても離れないのです
このまま人間として生きていけなくなるのではないかと思うほどに
脳裏に焦げ付いて離れないのはあなた
写真に映ったあなたはきっと虚像
この手に感じた感触さえ信じられないのです
rainyday
ヘッドライト照らされた雨粒
どんなに目で追っても終わらない
それでもとめどなく溢れてくるのはあなたの影
rainyday
あなたがいなければなにも成り立たない
こんなときに気づいても
もう少しだけ
もう少しだけ早く教えてくれれば良かったのに
神様
すっかり暗闇に包まれてしまった
今も雨は降っているのでしょうか
酔って帰宅し、玄関に倒れ、猫が死にかけのゴキブリをもてあそんでいるのをぼんやりながめた。果たして俺は生きているのか死んでいるのか。
「この世は本当に存在しているのか。すべては幻ではないのか」
俺はつぶやいた。すると、「人間は外部を知覚し、考察を加えることによって現実をものにするのだ」という声が部屋のどこからかきこえた。
「誰だあんたは」
俺は転がったままたずねた。
「この世ならざるものとでも言っておこう」
声のするほうに目を凝らすと、着物姿の、人間に似ているが人間ではないと思われるたぐいのものがこちらを見下ろしていた。
「なるほど。急に目の前に現れるなんてまさにこの世のものとは思えない」
俺は起き上がり、流しの水道からじかに水を飲んだ。
「さっきからいたよ。急に現れたように感じたのはお前がぼうっとしているからだ。鍵ぐらいかけておけ」
「べつにもう。どうでもいいんだ」
俺はそう言って口をぬぐい、座り込んだ。
「ずいぶん病んでいるようだな」
「いまを生きているという実感がないんですよ」
「若者なんてだいたいみんなそんなものだろう」
「そうかな。でも、病んでいるんです」
「いま生きているかどうかなんてどうでもいいではないか。人間は未来を志向する生きものだ。樹木を傷つけて一定時間経過後、染み出してきた樹液を食すサルなどもいるが、人間の未来志向にはおよばない」
「未来なんて不確かなものですよ。妄想の産物でしかない」
俺がそう言うと、すり寄ってきた猫をなでながらこの世ならざるものが言った。
「人間は現実より妄想依存型なのだよ。確かないまより不確かな未来。人間はパンによってのみ生きるのにあらず、妄想の力によって初めて人間として生きる。幻を生きるのが人間なのだ。お前はいまでさえ幻と感じている。完璧だ」
「よくわからないけど、少し希望がわいてきました」
「正月休み、あるんだろ。ちょっと遠出してみたらどうだ」
「はい。久しぶりにツーリングに行ってみようと思います」
数時間後、高速道路の中央分離帯で俺は血を流してうめいていた。見上げると、あの、この世ならざるものが、笑顔で立っていた。こういうのをもののけというんだろうな、と薄れゆく意識のなか、思った。
正月なのに吐き気が止まらない。
病名の宣告。
今年はいい年なんて2時間後には綺麗に消えたよ