君との出会いはとても偶然で
4月の風が髪をなびいた
教室の隅にいた君はとても可憐で
一目で高嶺の花となったんだ
たりない空
あえない時
いいたい事
みえない糸
しらない街
ききたい声
こころが雨
ところが晴
いたずら頭
とぼけた眼
ゆらいだ日
わすれた嘘
よっつの影
こころが雨
ところが晴
おそらは晴
しりたい愛
いらない恋
いまでも恋
それでも愛
あっさり認めてもらえたことに驚きを隠せない。
どこから尋ねていいかわからず、言葉を紡げない。
「情報は花さんから伝わったってことだよね?」
「はい。」
「じゃあ、花さんには私たちの正体はバレているってこと?」
「そういうことになりますね。」
返ってきたのはあまりにも悪気のない肯定で。
「……いいの?」
「よくはないですけどね。」
クラスが違ったのにどのタイミングで知り合ったのだろう。そもそもどうして正体がバレるなんてことになったのだろうか。少なからず瑛瑠たちは今のところそんなことはないと思われるし、今後もとりあえずはないだろう。人間の生活に馴染みすぎている。
チャールズは贔屓目なく優秀だ。それは瑛瑠自身よくわかっているし、チャールズの同級生も優秀だろうことは同然で。
「彼女の場合、色々特殊だったんです。」
ヒーローは
1%の正義と
99%のカリスマ性による
100%正義の彼は
ヒーローではなく馬鹿と呼ばれた
馬鹿じゃない人間は
早々に正義の路線を切り替えた
賢明な判断である
この世に倒すべき悪はいないのだから
正義を嘯く大衆意識は
人々の妥協の産物であるが
だからこそ安易に傾倒してしまう
正義を追い求め続けるのは
だからこそ難しい
ヒーローは僅か1%の正義を貫けるからこそ
ヒーローたり得る
好きって言葉はよく分からないけど
暇なとき
美味しいものを食べたとき
眠たいとき
いつも出てくるのは貴方の顔
それだけじゃダメですか?
一瞬だけ、男と目があった気がしました。私はその鋭い眼光に睨まれ、射竦められてしまいました。しかし、彼は私など気にも留めていなかったのでしょう、私にくるりと背を向け、次の駅で開く側の扉をじぃっと見つめていました。そうです。お察しの通り、その次の駅が、私の乗換駅だったんです。
人の多い駅でしたから、彼がその駅で降りることに何も不可解なことなど無かったのですが、ああ、この人も次で降りるのか、なんかやだな、等と考えておりました。
そうこうしているうちに、電車は駅のホームへと滑り込みました。ホームにはたくさんの人が並んでたっていました。車内で座席に座っていた人たちも、十数人が立ち上がりました。そのときは何も思わなかったのですが、思い返せばあのとき、男はしきりに肩からさげた鞄の中身を漁っていました。それが本当に私の想像していた通りだったとは、思いたくありません。
電車が些か荒っぽく止まり、ドアが開くや否や、その男は隙間をこじ開けるようにして外へ飛び出しました。それに続いて、他の乗客たちも降車し始めました。するとそのとき、駆け出したその男が、ピタリ、と足を止めました。そしてキョロキョロと辺りを見回すと、並んでいる列などお構いなしに、またドアの方へ、人を掻き分けて戻ってきたのです。なんだ、降りる駅を間違えたのか、そう思いました。車内でも彼はそわそわしっぱなしだったので、焦るあまりに間違えてしまったのだと、そう考えたのです。
その男は私の横をすり抜けようとしました。彼とすれ違い様に、私は彼と肩がぶつかりました。そのとき、私の脚に、男の鞄が当たりました。
「痛っ」
それは衝撃の痛みなどではなく、確かに刃物で切られたような痛みでした。痛んだところを撫でると、微かに血がついていました。慌てて私は振り返りました。すると、バチリと男と目があったので、私は驚きました。男は、何故かニヤリと笑うと(それはそれは不器用な笑みでした)、また向き直って電車に乗りました。そのとき、男の鞄の底の辺りに、キラリと光る金属のようなものが見えたのは、気のせいではなかったと思います。
その後男がどうなったのか、私は知りません。
学校につくと、私は保健室に行って傷の手当てをしてもらいました。それで遅れたんです。なんですか、先生。そんな真っ青な顔をして。
【終わり】
なんでしたっけ。そう、その男の話です。その不思議な男は、電車の三両目の(私はいつも三両目に乗るのです)一番端の座席に座って、膝を揺らしておりました。よく見ると、その男の耳辺りの場所から(長く振り乱した髪で隠れていましたから)イヤホンのコードらしきものが下りているのを見ました。おそらく本当に音楽にノッていただけだったのでしょう。それから歯をガチガチと言わせながら、多分歌詞らしきものをパクパクと歌うように口を動かしました。その隣に座っていた人は、耐えかねたように席を立ち、男子高校生らしき人がその席にまた座りました。
私はケータイをいじり始めました。だって気になって仕方がないですもの。自分が穴になって、街中の物を吸い込むゲームをしていました。これがなかなか面白くって。ああ、すいません。話を戻します。
そうやってゲームをしていると、不意にその男が立ち上がりました。思っていたよりも身長が高くて、彼の周囲の人も同じように感じたのでしょう、皆がほんの少し後退りました。いくつかの駅を過ぎているうちに、車内の人数はいくらか少なくなっていました。その人々の間を、その男はうろうろと歩き回り始めました。得もしれぬ光景でした。幾度か男が肩にさげた鞄が周りの人に当たり、「痛っ...」という声が聞こえてきました。そしてしばらく後、男が足を止めました。
私の目の前で。
遅刻した言い訳?聞いてくださるんですか。いつもなら、言い訳するんじゃないーって一喝なさるのに。え、いや、あの、いえいえいえ。是非聞いていただきたいです。
今朝は本当に不思議な朝でした。
いつもと同じ時間に起きました。何の変哲もない、同じように目覚ましのアラームを止め、トーストを焼いて、コーヒーで流し込んで家を出ました。駅までも同じ道を通り、いつも乗る電車に乗りました。そう、いつもと同じ。ただ、その電車は、なぜかいつもと何かが違っている気がしたんです。
異様な雰囲気でした。乗車してしばらくは何も感じなかったのですが、ふと気がつきました。乗客皆の視線が、ある一人の男に注がれていました。それは適度に込み合った車内で、すごく自然なことのようでした。
その男の相貌は、確かに目を惹くものでした。ざんばらな前髪の奥には、鋭い眼光が何もない虚空を睨み付け、浅黒い肌には、無精髭がまだらに生えていました。真っ黒なTシャツの肩にはフケが乗り、ボロボロのジーパンは所々黒く染まっていました。聞いているぶんにはそう目を惹くものでもないかもしれませんが、何故か不思議な雰囲気を漂わしていたのです、彼は。
それは、涙というにはあまりにも綺麗だったので、思わず動揺してしまいました。
――あんなに美しく泣くやつを、俺は見たことがない。
じゃんけんに負け、ゴミ出しへと送られた俺は、校舎裏へ向かっていた。
そこに、人影を見つけた。たしか、同じ学年のやつ。クラスも違うし話したこともない。無愛想だが、女には人気のある顔だってことは記憶にある。
名前、何だっけ。
俺からすれば知り合いですらないが、目が離せなかった。そいつは泣いていたから。……いや、違うな。泣くというより、涙を流していたに近い。そしてそれが、酷く美しかった。
――目が、合った。
「悪趣味かよ。」
いやいや、口、悪。初対面だぜ。見られていると思って気を悪くしたのか……超睨んでやがる。
「そんなんじゃねぇよ。」
ゴミ箱をちらつかせてやると、そっぽ向きやがった。
……はやく捨てて帰ることにするか。
なんで泣いてたんだろうな、あいつ。あんなきれーな顔で、さ。
【続かない】
向かいのホームに
いないはずのあなたが見えました
セットされた髪型見たこともない靴に服
しかしそれは全くの別人で
初めての感覚になりました
こんなにも愚かに恋をしていたこと
後悔していますが今でも好きです