歌とピアノ線で編んだ花冠を被り直す。
はだれ霜を踏みしめて綻びを口ずさむ。
零れる息の白さに放った欲を思い出す。
鼓膜に根を下ろしていた声を引き抜く。
指輪で首を吊らないと幸せになれない。
きっと世界は死んだ恋の火葬場なのだ。
どの世界でもトップに立つ奴は初めは皆、初心者
皆、そう言う。僕もそう思ってた。
でも中には居るんだ。
僕たちが何年もかかって手に入れた技術を
たった数日で習得してみせる奴が。
そういう意味では、
世界は平等じゃないかも知れない。
でもそんな奴らも努力無しに習得なんてできやしない。
そういう意味では、
世界は平等なのかも知れない。
声に出したら痛かった
夜更けは殊に辛かった
誑し込む、僕だけの夜
耳にした時わかってた
傷口隠して笑ってたよ
月の野郎、僕だけの光
自販機には愛がないし
歯車でも恋したいから
螺旋状のアリア、笑う
笑ったら、痛かった。
部屋が白桃煎茶の良い香りに包まれる。
すぅっといっぱいに吸い込み、思わず笑みがこぼれた。
「良い香り。」
「でしょう?」
チャールズの淹れ方はいちいち上品だから、瑛瑠は好きだ。
「今日は楽しかったですか?」
穏やかに問われ、瑛瑠は苦笑いをこぼす。
「楽しかったけれど、終始真面目で隙がなくて、神経を張り詰めていた方が強かったかな。
一気に脱力して、結構食べてしまった。」
「あぁ……ちょっと前にパスタを食べたはずなのに、夕食のパスタも完食しましたもんね。」
「い、言い方……。」
そんな食いしん坊みたいな言い方をしなくてもと思う。というか、やっぱりパスタを食べたの知っているし……。
せめてもの抵抗に、チャールズをじとっと睨み付けた。
流れてゆく
砂のように
生きれたら
風に吹かれ巻かれ
自ら道を決めなくてよいなら
楽なんだろう
でも
感情は錆びてしまうのかな
てのひらの体温でぎゅっと握りしめて
くしゃくしゃに溶かしてしまった花弁
純白の花は醜く落つる
水面に浮かべた灯りはゆらりゆらり
嗚呼人のいのちみたいだなんて
ひとつも消えずに流れてゆく
あの灯籠はどこへいくんだろうね
僕らの知らない世界の果てまで
もしも行き着いたならば応えてはくれないかな
垂れた蝋に刹那傾いて
なにも無かったふうにまた廻ってゆくの
この世界は
誰かのせいだと
かこつけて
バラ色になるはずだった
あの日も
青色で染まった
あの夕日が
今日のぼくが泣いちゃうから
あの時間が泣いちゃうから
なければよかったなんて
いわない
さよならで始まる物語はいつも鋭くて、凍えそうなやさしさ。水たまりのなかのぼくがゆらゆら笑う、わらう。
わらって、消えた?
夢の最果てで太陽を待ってたんだ、星のともしびは瞬間の5億倍、夜空を泳ぐさかなは目を瞑ったからぶつかって、墜落する。とめどなく、とめるまもなく。何処にいたって呼吸ができる。心臓の在処もわからないのに、惰性と愚痴とほどほどの努力できょうも自転周期は保たれる。
湯船の底で目を覚ました怪物。きみの名前を一緒に探すんだ。ぼくらはきっと手をつなげるし、たぶん傷つけあうこともできる。
艶やかで真っ赤な唇
気の強そうな大きな瞳
つんと気取ったように上をむいた鼻
真っ白な肌
小さな顔
細くて長い手足
スタイル抜群の体
自由で気ままな猫みたいな性格
たまにこぼれる極上の笑顔
きみは魔女
とびっきり可愛くて美人ですてきな僕の恋人
隣にいる君の手とオレの手が
触れそうで
触れない
胸がドキドキして今夜は眠れなさそうだ
もし君も胸がときめいて眠れないのならなんて
そんなこと考えるから余計眠れない
私が見てるの気づいてない…
なんて、ないよね??
よく目が合うんだよな〜
じゃ、ないんだよ!!
あなたの鈍感にもうんざりだから言っちゃうね
私、あなたのこと、だいすきだからね
お昼が終わって迎えた5時間目
ウトウトてたら君に起こされた
少し笑って「授業中…」と小さな声
夢なのかも分からなかった黄昏時
今晩は。こんな辺鄙な所によくいらっしゃいましたね。道中大変だったでしょう。ああ、申し遅れました。私、この館で使用人をしております、サムワンと申します。
さて、この館に来たからには、あなたにもゲームに参加してもらわなくてはいけませんね。あ、逃げようなんて思わない方が宜しいかと。ほら、既に扉は閉まっておりますゆえ。そんなに乱暴に叩いても開きませんよ。
では、ゲームの内容を説明いたします。
このゲームは、嘘吐きが誰かを当てる、という簡単なものです。これから5人の使用人を呼んできます。それぞれが話す内容をヒントに、嘘吐きを当ててください。本当に簡単でしょう?
それでは皆さん、お願いします。
A「よお、お前さん。よく来たな。ゆっくりしていけよ」
B「私達は、この館の使用人の中でも、特に偉い5人なんです」
C「えーっと、俺何て言うんだったっけ?」
D「全く君は馬鹿だな。さて、これからヒントを出すから、僕らの偉さの順番を当ててもらうぜ」
E「まあ、大事なのは誰が嘘吐きかだから、順番は間違えたって構わないよ」
え、誰が嘘吐きかは間違えてはいけないのか、ですって?ええ、そうなんですよ。これを間違えますと、我らの主の力により、簡潔に申しますと、死にます。ああ、だから逃げようとしたって無駄だと言ったでしょう?窓だって割れませんよ。
あ、因みに私達も人間ではないので。ああもう、だから逃げないでくださいってば。分かってて来たんじゃないんですか?
A「ちょっと?」
おっと失礼。どうぞ続けてください。
A「では私から。見ての通り私は年も食っていて経験も豊富なものだから、2番目以上には入っているよ」
B「私は女性だからか、3位以上にはいませんの。本当、男尊女卑って嫌な思想よね」
C「俺、実はこう見えてこの中じゃ3位の実力なんだぜ」
D「僕は4位」
E「お前ら本当のことしか言っていないじゃないか。あ、僕は2位以上にいるよ。」
A「あれ、そういやそうだな」
B「あれま本当」
C「ははは、まさかそんなわけ…」
D「何故黙っ…」
E「だから言ったろ?」
………えー、皆さん、ありがとうございました。さて、誰が嘘吐きか、分かりましたか?分かったらレスに書き込んでください。ああ、いえ、こっちの話です。間違えたら、分かりますね?
白い息
信号の点滅
赤いマフラー
透き通る肌
冷たい手
どうか消えてなくならないで
僕の隣から
僕の日常から
私は貴方のこと
何にも知らない
笑顔の裏に隠した葛藤
溢れた涙の本当の意味
その思いの100万分の1だって
計り知れはしないけど
アガペー的なその愛は
大きく固いはずだから
どうかその優しさで
自分自身を傷つけないで
貴方の手を握る誰かが
私じゃなくとも
誰よりも大きく固い愛を
注いでくれる人でありますように
まわりの音をすべてミュートして
君の声だけ聴いていたい
キューピットは
恋するひとを後押しして成就させるのが役目
僕はキューピット
だから君の恋も成功させなくちゃならない
君のそばにしばらくいて
君が恋を後押しされるのにふさわしいとわかったから
さあ、弓矢を君に放たなくちゃ
そうすれば君はあの人と結ばれる
だめだ
できないや
君のそばにいるうちに
いつのまにか僕が
君に恋してたみたいだ
もう、痛まないように
血を出さないように
永らく開けたままだった傷口を塞いだ
嫌いなものを
見ることも聞くこともなくなった
手術は成功したのに
息が苦しくて
これでいいのだろうか?
かじかむ手で硬貨をつまみ出し
120円の温かさを買った
120円の温かさは
しばし手を温めたが
口をつける頃には
10円の温かさしか残っていなかった
ずっと100円の温かさの
君が恋しい
青空に浮かぶ月は色が薄いから
影の薄い僕の仲間だと思ったが
帰り道に訪ねてみれば
太陽が月を黄金に照らしてるんだ
お前は仲間じゃなかった
ぽつり呟いて下を向いた
きっとまた新しくやり直せるさ!
かなり錆びついた歯車が回り始めた
……
歯車は四分の一周回ったところで弾け飛んだ
やっぱり私達、無理だったみたい
届くか分からない
不確かさを
消すように
この想い 音にのせて
あなたへ