君は決して内気じゃないし
誰かの顔色を伺って生きていない
でも何故か周りは君を嫌う
気づかないところで
気づけないほど小さな心の傷を負わされる
君が
似てた
知ってたんだ
同じ光景を
同じだった
だからずっと君が気になってた
ずっと気になってる
君が居なくなったから、何も手につかなくなった。
そんな日々が続いた。
それだけ僕にとっての君は特別な存在だったんだ。
ある日僕が君の所へ行こうとした時、
君の声が聞こえた気がした。
「あなたはどうか幸せになって。私はずっとここにいるから」
「あと、私のことを好きでいてくれてありがとう。私もあなたのことが好きだよ。大好きだよ」
目を閉じればいつでも君に会えるんだ。
僕の大好きな君に。
君が居なくなったことは哀しいけれど、
神様は僕達に大事なことを教えてくれた。
ありがとう。
やっぱり君は僕の大切な人だ。
僕の好きな娘は、いつも形のいい唇を歪めるようにして話す。
わがままで、高飛車で、1人が好きで、しなやかに動く。
猫そっくりなその性格と仕草に心も目も奪われる。
クールで自分勝手な彼女は周りにはあまり好かれていない。
それでいい、と僕は思う。
彼女の本当の姿を知っているのは僕だけでいい。
あの唇がほころんで、とびきりの笑顔がこぼれたら、
きっとみんな彼女を好きになるだろう。
僕にいつも甘えるみたいにみんなに甘えたら、
きっと男がたかるだろう。
だから、このままでいい。
彼女は、彼女のすべては僕だけのもの。
英人は少し考える。
「アカネは多年生のつる植物だ。
漢字で色として表される茜色は主に夕日を形容するが、朝日の形容にも使われる。
元旦の日の出前の空は“初茜”なんていう。」
ちらりとこちらを見たことに気がついたので、ありがとうございますと伝える。瑛瑠の欲しかった回答をもらうことができた,の意だ。
瑛瑠はある可能性を見いだしてしまって考え込む。
それを止めたのは英人。
「さっき、この件に関してはとりあえず置いておこうと共有したと思ったんだが、僕の解釈違いか?」
冷やかなその声に瑛瑠は小さくなる。
「いいえ、合っています……。」
さらに追い討ちをかけられる。
「黙っていたが、質問のしかたも雑すぎだ。」
「すみません……。」
「どういう意味も何も植物だ。」
「でも、英人さんならわかってくれると思ったんですもん。」
口を尖らせてみると、英人は深く深くため息をついた。
そして、なぜだかむくれられる。
「瑛瑠のばか。」
「え、ちょ、なんで?ねぇ英人さん!待って!」
しばらくは平穏な日常を迎える予感。
小さい時から隣にいるのは君だった。
君が髪を切ったら1番に気づいたし
君が泣いていたら直ぐに駆けつけた。
君は僕の中のヒロインだった。
いつかきっとこの気持ちを伝えようと思っていたけど今は君の笑顔を見ているだけで幸せだった。
のに。
君は死んだ。
誰にも伝えずに。僕のヒロインはいなくなった。
明日からまた長い一日が始まるね
息ヲ止メレバ一瞬サ
休みは長い方がいい
息ヲシテテモ一瞬ダ
ゆっくり瞬きをする君の
花びらが散ってしまいそうだ
透る白い肌と
澄んだ瞳が
なんだか消えてしまいそうで
白昼夢を見ているような気がした
ヘリコプターが飛んでいた。
前を歩いていたおじさんが、驚いたように何度も空を見上げる。
べつにヘリ飛んでるのなんて珍しくもないのに。