みんな一方通行
みんな同じ画面をみて
みんな同じ行動しかとらない
自由に行動すると注意される
羽を伸ばすな
上下関係をしっかりしろ
そんなこと言われても
それに反した事をした人が
正解だと言われる
結局ぐちゃぐちゃになって最後はこの社会がなくなるのではないだろうか
濡れたアスファルトに
街灯の明かり黒光り
誰も見てない雨上がり
こんな夜更けは僕一人
たたんだ傘は左手に、
湿った空気を吸い込んだ
星さえみえない夜の意味
それはみつからないままで
僕も黒く、闇夜に溶ける
告白しないんですか? の裏側は
振られちゃえ、なのに
ありがとうって照れて笑うから
また言えない気持ちが増えた
幼稚園の頃、世界は僕を中心に回ってると真剣に考えてた。
小学生の頃、友達の大切さ、助け合いの素晴らしさ、謙遜な心の持ち方、謙虚な姿勢の大事さをロボのような大人達に永遠と教え込まれた。
中学生の頃、自分達は大人に成ったつもりだったが、一人では何一つとして出来ない未熟な餓鬼だと毎日頭を小突かれ覚えさせられた。
高校生の頃、自立を求められた。他人に迷惑をかける事は恥だと聞かされ。社会に出れば誰も自分を護ってはくれないと脅され。
大学生の頃、自分の実力を過信してはならぬが周りと同値又はそれ以下ならこの先、生きてはいけぬと難題な課題を課せられた。
皆、同じような服を着て、同じような本を片手に無理矢理作った笑顔の自分と毎日顔を合わせ、毎日のように僕は僕を問われ僕は僕を…少し偽った僕を紹介した。
やっとの思いで生きるための仕事を手に入れ、同じような日々をアルコールで流し込むある日気がついた。
僕はこの世界という時計を動かす小さな歯車のまた小さな歯車を動かす、ひと雫の潤滑油なんだと。
煙草と酒と埃とため息が混じり合った静寂な七畳一間の僕の部屋で僕はゆっくりと
僕の時計を
止めた。
誰かが後ろから来る気配がして道をあけた。
なつかしい柔軟剤のにおいがして
横をすり抜けて行ったのはあなただった。
もう心のどこを探しても
あなたを好きだという気持ちは見つからないのに
なぜかその瞬間自分でも驚くほど胸が高鳴った。
それをごまかすように
友だちとくだらない話を続けた。
別れてしまったから
もうあなたは私の恋人ではないし、好きなひとでもない。
けれど間違いなく
特別なひと。
離れたい
離れたい別れたいと思うのに
離れれないし別れれない
相手のことを思ってとか
言ったりするけど
結局それは自己防衛のためであって
私は卑怯ものだと
悲劇のヒロイン風を演じてしまう
そんな自分が一番嫌いと
思いたいのに
思えない
ぐるぐると目が回るくらいには忙殺な日々
「忙殺って殺人事件になるのかなあ」と3秒考えてから「ああ、頭のネジがどこかに飛んでいってるなあ」と辺りを見回すくらいのてんやわんや
「なんかこの感じ、お祭りみたいだ、神輿を担ぐような」とはたと思って夜中の1時に神輿について検索するくらいには頭がパーティー状態
それでもふと君が笑っていることを思い出すと「ああ、きっと幸せなんだろうなあ」とじわじわ幸せに侵食されて甘い甘いケーキを作り出すから明日もずっと忙殺な日々
どうしたって大衆に流されて
いつもいつも誰かと同じであろうとする
周りと違う事を悪だと
別に思ってなくたって体は自然と同じである事を求めて
極端に違う事を拒絶する
常識に縛られたくない
でも縛られていないと生きていけない
常識というカゴの外の世界が怖い
だから不満な今を無理やり満足なものであるかのように自分に言い聞かせる
正直になれるのは言葉の世界だけ
行動の世界では大きな歯車の一部でなければならないと思う
そうして大きな歯車の一部でいる
殻の中で
このまま人生を終えて行くのだろうか
という恐怖がやって来て
忘れて
の繰り返しを今日も生きる
そんな毎日を
今を生きてると言えるのだろうか
・・・・・
答えは出ない
出ない
いつから分からないほど
長く降り続く心の雨
どうすれば救われるのでしょう
なんて
本当はわかってる
打ちつける冷たく悲しい雨
消えない痛みと悲しみを抱いて
濡れながら過去背を向けて逃げる私は
救われる資格なんてないんでしょ?
見たくない 信じたくない
それだけ それだけ
ただ それだけなの
老婆は私が欲しい本をすぐに見つけ出した。これだけの本が雑多に散らばっている中ですぐには見つからないだろうと高をくくっていたものだから、「ほぅれ。こいつか?」と言われてまさにその本を差し出された時には再三驚いた。差し出す姿が超かっこよかった。私は敬意を込めて彼女のことを「寂れ本屋の魔女」と呼ぶことに決めた。
寂れ本屋の魔女はカウンターに戻る途中、私にいくつかのことを話した。
――最近はなぁ、この店にも若ぇモンが来なくなって寂しかったから、お嬢ちゃんが見えたときにゃ思わず声かけちまったよ。久しぶりに若いお客さんだった。ここに来るやつぁ大抵年いったおじいちゃんばっかだから、お嬢ちゃんみたいなのが来たのが嬉しくってさ。……この店もじきに閉めることになってんだ。アタシも年だからな……。何も哀しい話じゃねぇさ。そんな顔しないでくれ。あとぁのんびりと暮らすさ……。
この店は、何年続いたのだろうか。私は想いを馳せながら目の前を行く寂れ本屋の魔女に黙々とついていった。
文庫本サイズで720円だった。私は財布の中からきっかりその金額分の硬貨を出すと、寂れ本屋の魔女の掌に差し出した。寂れ本屋の魔女の手は大きくて暖かかった。
「これからこいつを見に行くのかい?」
魔女は文庫本の表紙を指さして問いかけてきた。そこには黒の背景によく映える、冴え冴えとした青の可憐な花――月涙花が見事に描かれていた。『月の涙 著 佐崎重宜』。
「ええ。実は私、小さい妹がいるんですけれど。……あそこでお兄さんと一緒に本を眺めている女の子です。それで私の妹が突然これを見たいと言い出しまして」
「へえ。可愛い嬢ちゃんだなや」
「私の自慢の妹ですから。……本当は私、最初はやる気じゃなかったんですよ。正直言って面倒ですし。写真とか今じゃ世界中で見れますし。――」
低く、嗄れた声だった。突然かかってきた声に思わず体をびくんと震わせながら、先ほどの声の主を探す。しかししばらく見渡してみるがどこにもいない。あるのはただ崩れそうな本がうず高く積まれているばかり――。
「ここだよ。……なんだい、若ぇのに眼が悪ィのかいな」
少々口の悪い声が飛び出してきた方を見遣ると、本と本の隙間に隠れるように一人の老婦人が座っていた。
「すっ、すみません!急に驚いたりなんかしちゃって」
「気にすんな。声掛けたのぁこっちの方だ。謝られる筋合いなんかねぇよ」
顔に幾本もの皴が引かれたこの老婆は、一体何歳くらいなのだろうか。少なくと八十歳は超えているだろうが、みれば元気ににやり、と笑ってみせた。
「今お前さんがいるのはカウンターだ。……望みの本は見つかったのかい?」
え、と思い改めてみてみると、確かに机のようなものが存在し、そこには「カウンター」と歪な文字で書かれてあった。なるほどここはカウンターらしい。
「……いえ。まだ、ですけど……」
「なんだい、歯切れの悪い姉ちゃんだなや」
再び謝りたい気持ちを我慢していると、老婆はかかと笑っておもむろに立ち上がり、少し歩いてこちらを振り返った。
「ほれ。案内してやっから、あんたが欲しい本教えろ」
僕が見ていた君は
鏡越しの君だったのかな。
鏡に映った君の眼を見て
鏡から跳ね返った声を聞いて。
だから、
もういいよ。
この先の君の世界に
僕の居場所がなくたって。
今も昔も変わらなかったから
鍵置いていくから。