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だめ

まじめな僕を愛してよ。

いつだって変われやしないんだ

やだね、って言って君は笑った。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 4.フェアリー ⑮

「いや、別に、わたしは不見崎(みずさき)さんは何もしてないって思ったからだけど」
「あ~ それは分かってるんだけど… そもそも、あの時能力使って大丈夫だったのかな~って…”異能力”って、バレちゃいけないって言うし」
わたしはちょっと恥ずかしそうに尋ねた。
「あ、そこらへんは…大丈夫! あん時目細めたから多分バレてないし、それに、茉花達とかはさ、わたしの『自分の言う事を相手に信じ込ませる』能力の副効果みたいなので、多分能力の影響が及んでいる間の記憶が曖昧になってるからさ、少なくともバレてないよ?」
ま、後で何か聞かれてもどうにかして言いくるめるからさ、と彼女は笑う。
「はぁ…ていうか、『自分の言う事を相手に信じ込ませる』って、すごくない⁈」
結構強力な能力だよね、とわたしが言うと、笛吹さんははにかみながら言った。
「え…あーいやアレ、できるのは、『自分の言う事を相手に”強制的に”信じ込ませる』ことで、『相手を自分の意のままに操る』ことはできないんだよね~。言う事はきかせられても、絶対に特定の行動させられるワケじゃないし…だから、意外と使い道限られちゃうんだけど…」
「やっぱり、すごいよ…」
わたしは思わず呟いた。それに比べてわたしは…

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紙一重

優しい人にはなりたいけど
都合のいい人にはなりたくない

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きれいな春

新しい風は 意外と冷たくて
目を細めて 眉はひしゃげる
背負いなれたはずの おもい おもい
忘れていいんだって 言うように

波が揺れる 遠く見える
陽炎 懐かしくて 少し笑った
眺めていた それもやめて
肩を叩きに、今歩き出した


やわらかな風は またも冷たくて
絵に起こしたら どんなだろうか
見なれたはずの まちの けしき
また今度ね って 言うように

砂がずれる 靴に潜る
重くなっても 気にしないで
枯れ果ててた 夢が覚めて
肩を叩かれて、今思い出した


波が揺れる 遠く見える
陽炎 懐かしくて 少し笑った
眺めていた それ忘れて
肩を叩きに
今 ひかりだした

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世界統一戦線

「こちらは創業何年になるんですか」
「今年でちょうど、三百年になります」
「ご主人は何代目ですか」
「初代です」
「やはりか...」
「やはり...とは...?」
「ご主人、我々に協力していただきたい。実験体『ルーラー』」
「...へ?」
「まぁそうなるのも無理はない。報告ではLEVEL6の記憶処理をしたと聞いているからな」
「あんた、何をいってるの...?」
「まぁ自己紹介くらいはしておきましょう。私はエクス、プラネットの者です...アラクネ、捕縛しろ!ハウンド、ネメシスをこっちに回せ!スターク、転送の準備だ!」


「さて、これでフィクサー共は終わりだ」

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好き

好きな人を
見送るのって
こっちが辛いんだって
離れるのは嫌だって
そう言うと私は
わがままな子供になっちゃうから
でもね
飲み込むのは喉につっかえて
痛いんだよ
誰かわかってほしいんだよ

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まただ…

まただ…またこのうす汚れた人間の空気…
不満、ストレス、欲求、差別、嫌がらせ、妄想、
愚痴、憎しみ、怨み、怒り、不審、そういう、
空気…。ジブンハ キライ ソウイウ ココロ

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企画

「こちらは創業何年になるんですか」
「今年でちょうど、三百年になります」
「ご主人は何代目ですか」
「初代です」

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お前

「わが人生に悔いなし」
「それはお前に記憶力がないからだ」

3

Heterochromia of Iris [3]

 魂の抜けたような顔で、少女は遊園地の前に差し掛かった。依然としてうだるような暑さは変わらない。むしろアスファルトからの照り返しが余計に強くなった気がする。それでもエントランス前のピエロは涼しい顔で(まあ着ぐるみだからそれはそうなのだが)風船を配っている。
 近づくにつれて、ピエロの様子がわかってきた。悲しげな表情に派手な服装。だいぶんとくたびれ、みすぼらしい有り様ではあるが、少なくとも汚いだとかそういう風ではなかった。赤や緑、黄色などの風船をもって、入園するしないに関わらず、手当たり次第子供たちに配っている。
 風船を受け取った子供たちは、それはそれは嬉しそうに「ピエロさんありがとう!」なんて言っているから、少女の頬は知らぬ間に緩んでしまっていた。
 ────私も貰おうかな。
 普段は無論風船なんて興味ない少女であったが、なぜかこのときはそんなことを思ったりした。
 やはり足取りだけは魂の抜けたようで、フラフラとそのピエロに近づく。そんな少女にピエロも気づいたようで、こちらを向き、にっこりと微笑んだ────ように見えた。何しろ着ぐるみだから表情なんてわからない。ずっとその悲しげな表情は変わらないままだ。
 少女がピエロの目の前に立つと、ピエロは残り三つ持っていた風船のうちの一つ───赤色だった───を、今までと同じように少女に向かって差し出した。少女はそれを受けとると、やはり他の子供たちと同じように「ありがとう」と言おうとしたが、なんだか突然気恥ずかしくなってうつむき、なにも言わなかった。
 と、その時である。パアンと大きな音が頭上で鳴った。あまり大きかったので、周囲にいた人は驚いて皆少女の方を凄まじい勢いで振り返った。無論驚いたのは少女も同じである。
 目を大きく見開いた少女は、身じろぎひとつしなかった。そんな少女を訝しく思い、ピエロがそっとその顔を覗きこんだ。
 半ば放心状態の少女の目がピエロの目と合った瞬間、ついさっき割れた風船の音と同じ音が、右目の奥で鳴った気がした。



 そこからのことを、少女はあまり覚えていない。気がついたときには目の前でピエロがグッタリと横たわり、少女は左手に封筒型の紙袋をもってカプセルをコリコリと咀嚼していた。
 少女───霧崎あかねの右目の瞳は、真っ赤に染まっていた。

[完]

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First Love

あなたじゃなきゃ 意味がない なんて
私が口にする日が来るなんて
初めて目が合ったあの日は まだ
思いもしなかった
真っ白な私の物語に
鮮やかな赤をくれた
ありがとうなんて 言わない
代わりに
Love for you
愛してる

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ジョニー

真っ黒な世界の
真っ暗なベッドの中で
冗談教えて ジョニー お願い
笑ってなくちゃ死にそうだ

鴉が肉を啄んで
ロックンロールはトドメを刺された
ギターが鳴らなきゃ ジョニー お願い
俺このまんま死にたくない


剥げた空から 終わりがやってきて
全てくまなく焼き尽くしても

割れた肉から染み出たアレが
何度も花を咲かせることを

教えて ジョニー お願い


真っ暗なベッドが
雨に打たれて 朽ちたって
俺らここで寝ていようよ
くだんない話で笑おう ジョニー おやすみ

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私の

私の大事な人
いなくなるなんて
考えられないけど
ネガティブな私が
囁きかけてくる
お別れなんだよ

そうやって拭った涙に
青い色を見て
それが悲しみなんだと知る

ねえ、あなたは…

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口癖

いつも 今日だけだから
昨日も 今日だけだから

魔法の言葉のように話す あなた

勝手ね

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世にも不思議な人々㉒ みんなで鬼ごっこ!

キタ「というわけで今日は、みんなでケイドロをやりたいと思います!」
滝沢「どういうわけだよ。ってかケイドロって何だ。それを言うならドロケイだろ?」
伏見「え、ドロジュンじゃないのか?」
初「ドロ、何?」
伏見「泥棒と、巡査」
キタ「ご当地ネタは置いといて。鬼は一人。捕まった時点でアウト。制限時間は20分。範囲は噴水の公園敷地内。良いね?」
那由多「良いけど。鬼は?」
キタ「そりゃあ勿論……」
滝沢「……俺か」
キタ「そう!じゃあ一分間は動くなよ?よーい、スタート!」

2分後
萩『いやー』
那由多「全員」
キタ「捕まって」
安芸「しまいましたね」
伏見「オータロー以外な」
萩『まさか開始三秒で捕まるとは』
那由多「ボクはその5秒後。素の身体能力には自信あったのに……」
キタ「見えてたからいけると思ったんだがなぁ。30秒もたなかった」
安芸「やった!女子で一番!」
伏見「いくら短距離とはいえさぁ、瞬間移動に対応するあいつ何なの?あと僕、時速50kmは出してたんだが?僕は大体50秒辺りで捕まったんだったかな」
キタ「あれ、お前瞬間移動なんてできたっけ」
伏見「ワイヤーキーホルダーの能力。『最大5m後方への瞬間移動』の能力らしい」
安芸「うわあすごい。私も能力使えば良かった」
キタ「で、ハツ君は…。おお、やるな。逃げてる逃げてる。みんなにも見せてやろう」
伏見「いや、何も見えない。残像すら見えないって何?化物?」
那由多「ボク達にも見えるようにしてよ」
安芸「私には見えるんですけどねえ?」

更に18分後
初「よっしゃ逃げ切った………」
滝沢「ああクッソ!また捕まえられなかった!」
キタ「いやー二人ともすごかったよ」
那由多「ホントホント。途中から不可視レベルの速度だったものね。ほら見てよ、木が数本折れてる」
伏見「いや良く数本で済んだな⁉」
安芸「すごい能力ですねー」
萩『おめでとうオータロー』
滝沢「そういや何でこんなことを?」
キタ「ん?君の能力の限界にチャレンジしただけだが?そうだ、ついでに他のやつでも試してみよう」
初「え、てことはもしかして僕も何かやるの?」
キタ「Exactly(その通りでございます)。次回を楽しみにしてな」

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僕と月の鏡と地に一番近い紅い星

貴女の家にもこの雨は降っていますか?
あぁ、月に住む貴女はもう晴れしか無いんだった
なら濡れた窓に映る僕を見ていますか?
あぁ、曇った僕など雨空のうちには入らないんだ

僕の命が貴女へと運んだのに
約束したのに一昨日は一昨日なのに
どうして昨日がこんなに遠いの?

いつから見えなくなっているのか
分からないから人を失う
いつから見えなくなっているのか
分からないから怖い

貴女から僕が消えて
僕が思い出を忘れることが


1秒でも命を持つのが早かったら
こんなにあんなにと思うことも無かったのかな

「謝る」も1つの感情だと知った時にはもう
貴女は目を閉じていたね

涙は時を戻す魔法じゃないなら
貴女に出逢いたくなんかなかった

いつから見えなくなっているのか
分からないから人を失う
いつから見えなくなっているのか
分からないから怖い

貴女に出逢えたことが間違いで
貴女を愛した僕が悪かった


いつから見えなくなっていたのか
分からないから貴女を

いつから見えなくなっていたのか
分からないから僕らを

滲んだ目に貴女の強い言葉が流れる
月が見えない今夜

滲んだ目に貴女の強い言葉が流れる
月が光を零した今夜

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402号室では涙は頬を伝わない。

遮光カーテンの間から差す朝焼けを
反射しているガラステーブル
その上に置かれた
吹けば飛ぶような3万円を
ベッドの上からながめてる
少女のオッドアイが見つめてる
色違いの瞳からこぼれた涙は
頬のあたりで肌に貼り付いた
「ピエロみたいだね」
男は汚らしい笑顔でそういうと
青臭い部屋をあとにした