でも気付いたらいなくなっていた。いやむしろ、わたしが”彼ら”とはぐれたと言った方が正しいか。
事の発端は20分ぐらい前、あのショッピングモールでのこと。
さっきまでわたしと一緒にいたメンバーの1人、ネロが、ココアシガレットなくなったから買いに行くー、と言い出したのがキッカケだった。
それで耀平が、んじゃ駄菓子屋行こー、と言って、あとの2人もそれに賛同して…
…で、わたし達は商店街の裏路地にある駄菓子屋に向かっていたのだ。
でも今はこの通り、わたしは置いてけぼりだ。多分今頃、彼らは目的地に着いているだろう。
…なんとなく、この状況は仕組まれたもののような気がした。
というのも、彼らと辿ったルートは無駄に回りくどくて遠回りのような気がして。
多分彼らは、最初からわたしとはぐれるつもりで、わざと遠回りしたのだろう。
もちろんわたしの考えすぎかもしれないけれど、正直彼ら―特にネロは、わたしの事をあまりよくは思っていないからこうしたのだろう。
今日だって、わたしがショッピングモールで彼らに会った時、ちょっと微妙な雰囲気になってしまったし。
こうなっても仕方がないのかもしれない、本当に。
言葉や行動の
節々がすこし
おもたい私に
優しい貴方は
なんだか少し
素敵に見える
わたしが住む街、寿々谷の商店街は、立派そうに見えて正直ちょっとしょぼくれている。
ここがわりと田舎なこと、近くにショッピングモールがあること、などの理由で、商店街は少し寂れ気味なのだ。
まぁ小さいころからそんなのは知っているのだけれど。
とはいえ、外面はどこにでもありそうな商店街だが、一歩裏路地に入ると随分違う。
路地裏にはよく分からないお店や、古い家がひしめき合っている。
正直、慣れている人でないと歩きにくい。そもそも、慣れている人でないとそこへ行かないのだけれど。
ちなみにわたしは慣れているとも言い切れないし、慣れていないというワケでもない。
ただ、あまりそこらへんには行かないので、迷子になっても仕方ないような気がする。
…というか今まさにその状況なのだけど。
「…みんな一体どこ行ったんだろう」
人通りの少ない小道で、わたしは独り呟いた。
ついさっきまで、”彼ら”は近くにいたはずなのだ。
汗をかいた4頭身のサボテン
とおい砂漠を夢みて 朝
生まれたことを祝福されるたび
とてもみじめになる気がした
ぼくには羽根がなかったので
昨日と昨日と昨日が散らばった部屋で
みんなみんな ひとりでいるつもり
間違って拾った他人の明日を投げ捨てる
だれにもわからなくていいの
だれのこともわからないので
切りすぎた爪で言葉を引っかいて
つぎの朝までさようなら
空の見えないところで歌いたいね
だれにも羽根なんてなかったので
「わたしは流行に左右されないの。
って。
むかしの流行引きずってるだけでしょう。
つまりだからあなたも流行に左右されているのですよ」
知をともなわない想像を妄想という。
ある先進国の出来事。自己効力感が得られる場所が職場以外にない五十代の男がつい暴走してしまう。派遣社員の若者に声を荒げて五分少々、ヤンキーが因縁つけるがごとく詰め寄ったのだ。したらさすがいまどきの若者、すぐには反撃せず、その場から逃げ、男の上司に相談。男は上司より年上であることもありなかなか興奮がしずまらなかったが、なんとかなだめられその日は落ち着いた。
さて翌日、男は上司に呼ばれ、上司のさらに上司に叱責される。もちろん男は納得いかない。悪いのはあの若者だ。だいたい日頃から態度がなっていない。社会の先輩として教育してやらなければ。と、若者をいじめるようになる。若さに対する嫉妬があるから執拗さがパない。若者は退職する。
一年後、クーデターが起き、先進国は軍事国家となる。クーデターのリーダーは例の若者。若者は、五十代になったら試験をパスしないと若者に発言できないという法律をつくる。男は、不満分子としてとらえられ、処刑されてしまう。
エピソードに言葉のタグづけをすることで記憶は長期にわたって保存される。
人口の少ないところに住んでいたら自意識過剰にならざるを得ない。
たった一粒
たった一瞬の 君の涙が
私を壊していく
それまでの感情と一緒に
跡形なく さらってゆく
蒼く澄み切った僕は
見上げれば 群青色の空
目を閉じれば 白い光が
世界で誰よりも美しい 1日を
世界で誰よりも輝かしい 未来を
握る
全て脱ぎ捨てて 新しい 今を 未来を 世界を
生きていこう
夏というのは、本当は線香花火に火をつけて爆ぜそれがぽとりと落ちて真っ暗な地面に跡形もなく消えてしまうくらいの時間しかないのです。
「中二病なんですけど、治りますか?」
「中三になれば自然に治ります」
どーも読者の皆さん。俺っすよ。ラモスこと滝沢真琴ですよ。
いやね、先日ちと困った目に遭ったんだがよ、ちょっと面白い奴に助けてもらって、そいつのことをお話しようかと思って。
あれは確か、先週だったかな?覚えてねぇ。親が帰り遅くなるんでその日鍵持ってけって言われてたんだが、どうしたことか家の鍵忘れちまって。ヤッベどうしよー困ったなー、なんて思ってたら同級生に声をかけられた。
「オッス真琴ー。何か困ってたりすんのかい?」
「お前は確か……小鬼田平子!」
「違う。鬼怒川達彦だ。かすってもねえぞ。雑草みたいな呼び方すんな。ってか同級生の名前くらい覚えとけや」
「いやすまん。同級生の名前なんか半分ほどしか覚えてないんでな」
「ええ………。で、お前さっきから何困ってたのさ?」
「いや…家の鍵持って出るの忘れちまって」
「ああ、それなら俺が何とかしちゃる。確か俺、お前んちに行ったことあったよな?」
「おお。少し前に来たな」
「そんな奴の名前を覚えてないって……」
んで、俺の家にそいつがついて来たんだが、そいつは俺の家の鍵穴の辺りをちょっといじって、
「ほれ、開いた」
って。おかしいよな?ピッキングとか隠れて作ってた合鍵とかそんなチャチなものじゃあ断じて無い。もっと恐ろしいものの片鱗を以下略。
「おいオメー……。今何をした……?」
「ん?ああ、これは……あ、いや、何でも無い。気にしないで」
「ん?お、おお。……ってなるかァ!今のどう考えたっておかしいだろうが!ああ!テメェ、まさか……!」
「な、何だよ……。と、とりあえず俺帰る。じゃあな!」
帰ろうとするコオニ……じゃなかった、鬼怒川の野郎に、俺はカバンに忍ばせていた五寸釘を数本投げつけた。釘は奴の靴だけを綺麗に貫通しアスファルトに縫いつけた。
「おいお前よォ……。逃げようったってそうは問屋が卸さないぜ……?」
「おいおい、嘘だろ……?まさかお前も……あ」
「え」
「え?」
「お、おお」
「俺の能力は『一度開閉の確認をしたことがある鍵を開ける』能力。能力名は『アイアイ』だ。頭の中にあの曲がちょくちょく流れてくんだよ。しかしすげえな。俺の指の隙間抜けて靴だけ通すんだもんな」
「おお。すげえだろ」
叫びたくなるくらいには
私の心は
幸せを感じていた
夢でもいい
あなたを覚えていられるならば
何の変哲もない どこでも手に入る 黒い傘
だけどこれは 好きな人と 遠出した時の想い出
カバンの中に いつも入っている 折りたたみ傘
これは 好きな人に いつも入れるように 言われた
そのせいで やたらと増えた 折りたたみ傘
雨が降れば 君を想う
曇っていた今日も
傘をさすまでもない雨
そっと溶かしていた
蒸し暑くてつけた
クーラー20℃
ドライにして部屋干し
コントローラー握る手の汗が
そっと現実味を帯びていく
終わらないで
なんでもない日を
終わらせないで
誰も望んでいないよ
雨上がりすぎて気づけば
またら雨が降る
そんな季節に逆らおうとなんか無茶だ
そっと身をのせて
今日もまた
堪えがたい夜を乗り越えて
手探りの朝に飲み込まれ
劣等感と乗る電車
写真のなかのあの子みたいに
にっこり笑ってみたかった
ただそれだけの想いなのに
苦虫を噛み潰した様な顔しかできない
いらない表情 埋まらない日常
映った笑顔は純度百度の作り笑い
至らない笑顔 怒らないでハロー
ローテーション制の厄回り
力まず驕らず昂らず
ズバリ平常運転で
出来損ないでもそれくらいのこと
とめどなく流されるだけなんだから
楽なものでしょう
うつらうつらしていたら
楽園に辿り着けるかもしれないよ
僕は君の太陽になる。君と一緒に笑ってる。
陽が出ないなら雨になる。君と一緒に涙を流す。
暗くなったら月になる。暗くなっても一緒にいる。
君に分かるようにそばにいる。
りんご飴は暑さで溶けだす
数時間だけの夜のきらめき
君はいつもよりずっときれいで
でも僕は君に好きだと言えない
息を呑むほど 花火の光り
時計の針が僕を早く早くと急かす
隅っこでうずくまっていたいのに
逃げていたいのに
人間なんて辞めたい
いつも笑顔の君
見ていると辛くなる僕はもう…
後ろを振り返る暇もなく
黒い塊に追いかけられて
手のひらからこぼれ落ちてく幸せ
世界はそれでも周り続け
蹴っ飛ばした缶は音を立てて飛んでいく
苦労して作ったものが静かに崩れ落ち
地面に残るは無力感
『 人生矯正シマセンカ』
オ代ハ頂キマセン
代ワリニ貴方ノ人生ヲ
研究材料トシテイタダキマス