「え、そりゃ…」
彼らの間に少しだけ沈黙が下りた。
「なんていうか、腐れ縁ていうか…」
「ていうか、前にクラーケンの能力でこっちが被害被って能力の本領発揮できなくて、その原因探ったら知り合ったというか…」
「ま、異能力者のよしみってやつだよ」
師郎はニヤリと笑って美蔵の腕を掴み直す。
捕まえられてる美蔵は何とも言えない表情を浮かべていた。
「はぁ…というか、美蔵の能力って何なの? ネロ達に被害があるってどんな…?」
「え、それ気になる?」
わたしの何気ない問いかけに、美蔵は嫌そうな顔をする。
「アンタも異能力者であることがバレたんだから言えば? 第一コイツに能力使っちゃったんだし」
ネロが美蔵の方を見て皮肉気に笑う。
「う~」
美蔵はがっくりとうなだれたが、すぐに顔を上げて自らの能力について話し出した。
「…僕の”クラーケン”の能力は『他人の視界をに奪う』能力。まぁ”視界を奪って”も、その人が見ている風景を見ることはできないけどね。もっと言うと、『他人を一時的に盲目にさせる』能力とも言えるな」
綺麗な愛じゃなくていいから
この星のポッカリ空いてるとこを
綺麗な色じゃなくていいから
塗りつぶそうよ。
綺麗なレンズで覗いているのは
その目で見てるのとは違う
綺麗な画面の電源を切って
見つめようよ。
君は知ってる
だけど知らない
僕は知ってる
けれど知らないよ
I Know But I Don't Understand
綺麗な愛じゃなくていいから
綺麗な色じゃなくていいから
隣で空にぶちまけようよ
それだけでいいから
以下、トカゲの書いた文面である。
『やあお二人さん。話を聞いた限りでは二人も私の同類とお見受けする。その縁でどうか私の話を聞いてほしい。信じてもらえないかも知れないが私はもともと人間だったのだ。』
こんな文章書ける知能がある時点で十分信じるに値しますよ、トカゲさん。以下続き。
『ある日私は不思議な力を手に入れた。「暗示によって己の姿を変える」というものだ。それによって友人にこの姿に変えられてしまった。元に戻れたらあいつは殴ろうと思う。どうやらこの力は自分の意思によっては姿を変えられないらしいのだ。そこで頼みがある。何とかして私を人間に戻して欲しいのだ。無茶は承知だが、この姿のままでいるともしかしたら私は自分の人間出会った頃を忘れ、ただのトカゲとして知性も手放し無意味に一生を終えてしまうかもしれない。それが私はたまらなく恐ろしいのだ。』
「………どうするつーさん?」
暫く呆然とした後、有栖が口を開いた。
「………無茶にも程があると思うのよ、私。っていうか呼び方よ。……でもまあ、私達が拾ってて運が良かったね」
「けどつくば、人をトカゲには出来そうだけど、逆いけるの?」
「どうだろ。だから君の力を使うんだよ。確実に治すためにさ」
「どういうこと?」
「私の能力で君に、『あのトカゲは人間に戻る』と暗示をかける。そうすれば彼も元に戻るって寸法だよ。もちろん私もトカゲ氏に対して呪(まじな)うよ?」
「その手があったか。よし、早速実践だ」
「ありがとうお二人さん!あなた方は私の恩人だよ!恩に着る!」
トカゲ氏は無事元に戻りました。
「いえいえ良いのですよ。同じ能力者ですから。困ったときはお互い様です」
これはつーさん。
「しかし暗示で能力が発動ですか。シンパシー感じます。」
「ほう、君もその手の能力か。ぜひ詳しく聞かせてほしいな」
「はい、喜んで」
「フフフ、友人増えて良かったねアリスちゃん」
「え、うん、ってその呼び方やめてってば!」
ある男は濡れ衣をきせられ無実を訴えた
だが、訴えもむなしく
暗く寂しい部屋に入れられた
虚ろな瞳から流れ落ちる涙
彼は命を辞める前に言った
「僕はやっていない…」
神よあなたが下した答えは、こんなものですか?
無実を知っていたはずでしょう。
たとえこの声が届いたとしても
彼のキズは消えない。
なんで一緒にいるの
そんなことにも
答えられないやつだ。
かけ間違えたボタンの先は
いつだって出会えることはないから
今言える言葉は
今すぐに。
今触れる手は
今すぐに。
明日も会えるよ
それは、嘘なんだから。
ずっと一緒だよ
それは、夢なんだから。
テレ、も
ハジ、も
アイ、も
コイ、も
それは、今だけなんだから。
「さよなら、ごめんね」
何処かで聞いたような台詞を残して去る あなた
陰で泣くのはあなたが最初だなんて
泣くのはいつも私だった・・・のに
そのはずなのに どうして
その瞬間 知ったわ 本当に冷めたのは
あなたじゃなかった
あの日の私に見せるには あまりにも
綺麗すぎる涙だった
私を忘れて
思い出と一緒にあの夜に沈めてください
今更 愛してるなんて 泣きついたりしない
あなたに言いたいことは ただ一つ
「さようなら、ごめんね」
追いかけても追いかけても届かない。
捕まえたと思ったそばから離れていく。
あなたは逃げてさえいないのに。
夜からずっと逃げたくて
光に真夜中を閉じ込めていくのは
想像通りの未来に 多分嫌気がさしたから
林檎をかじる音 影を踏んでしまうこと
よそ見しないでよ 目を合わせてくれよ
朝の匂いを吸い込んで
僕は世界を見上げる
青く染まる天井がちょっとだけ
寂しく鳴いている
大丈夫 さようならなんて思わないよ