夏の花のように朗らかな君だった
僕に向けた笑顔に太陽が綻んで
小さな恋心が動き出した
君だけがいない世界で
君だけが在る全部を見ようとしたんだ
それを探しに出かけたんだ
その場で想った言葉をすてて
いなくなった君を探そうと踠く僕は
君の微笑みの空の下で
それでも君をさがしつづける
風の通り道のリビングで
昼寝してたら
西日が眩しくて目が覚めた
秋の気配は
時計の針と短編集のページ
勝手に進めて
いつのまにかエピローグ。
ツクツクボウシのBGMが
middle tempo のコオロギに
今、心の表紙 閉じるとき
何台の車見送っただろう
キズだらけの
君の車が走ってゆかないか
夏の魔物は
君と僕が紡いできた短編集
勝手に閉じて
いつのまにかエピローグ。
ツクツクボウシのBGMが
middle tempoのコオロギに
今、心の表紙 閉じるとき
朝早く起きて 窓を開けて
秋の風が頰に当たれば
それは物語のはじまり
いつもの通学路で
塗りたてアスファルトの匂い
それは物語のはじまり
久々に会ったクラスメイトの
急に大人っぽくなった姿
それは物語のはじまり
新しく買った短編集の
風の表紙の新品の手触り
それは物語のはじまり
何が始まる時、怖くて
消えたくなっちゃうけど
五感 研ぎ澄ませて
小さな変化に気づいたら
勇気を出して心の表紙
めくってみよう
私だけのプロローグ。
真夜中にふと窓の外を見た
ふわふわと海月が浮かんでた
気づいたら手を伸ばしてた
音楽と夜を散歩していた
手をすり抜けてく魚
掴まえられない海月
明日なんて来ない気がした
こなくていいなんて呟く
ゆらゆらと
夜を歩いてた
君に貰った言葉。今でも僕は持ってるよ。
辛くなったら持ち出して、勇気に変えてるんだ。
君がこの言葉をくれたときこう言ってたね。
「これはある人から教えてもらったんだけど…」
今、僕の前にこの言葉を必要としてる人がいるんだ。
だから僕はこう言うよ
「これはある人から教えてもらった言葉なんだけどさ、」
きっと君にその言葉を教えてくれた人も、誰かから教えて貰ったんだよね。
言の葉が、誰かから誰かに伝わって、たんぽぽのように見知らぬ土地で花が咲く
なんだか言葉が旅をしているみたいだ。
また知らない土地へ飛んでいく
混沌とした夢のなかを
ただひとり歩いている
言葉を失って
ただひとり彷徨っている
あって無いようなものを
必死に手探り空回り
嗚呼疲れてしまったな
ふとひとつマッチを擦る
もうずっとずっと昔から
歩き続けて来たさ
死んだ言葉ばっかりだ
墓場に葬られることもなく
屍ばかりが轉がっている
泡沫の言葉を
刹那の歌を
玉響の歪ひずみを
誰そ彼に染まった夢のなか
たったひとり
汽車に揺られている
「世の中に悪態をついたって何も変わらないよ。」
「そんなことは分かってるよ。」
「何も変わらないから悪態をついてるんだよ。」
「どういう事だ?」
「何も変わらないってのがなんか自分らしくていいじゃん。」
「お前のポジティブってねじ曲がってるよな。」
「君が好きなんだ」
そう口にして初めて、僕は“好き”という感情が何かを知った気がする
他の誰にも代えられないたったひとつ、
素直に君に伝えたいと思った言葉
我が儘だと思った
片想いだと思った
また嫌われるんだと思った
違った。
僕が思ってるよりずっと、君に愛されていたんだ
もう誰かに愛されることなんて、
許してもらえないと思っていたんだ。
砂漠。宇宙。大海。森林。都市。氷上。蒼天。
僕がこんな風に単語を羅列すれば、君たちの頭は自由にそこへ舞うのだろう。
けれど僕はここに張り付いたままで動けない。
媒体の上でただ待っているしか出来ないんだよ。
雷が光って隣におちる。
風は生あたたかく雨は降らない。
千草色の瞳の彼はそこに灰色の空を映して旅を続ける。
怖くないよ。大丈夫だよ。
なんて気休めにもならない言葉しか
吐き出せない僕は
一体いつになったら
君を抱きしめれるんだろう
言葉だけ
一人歩いて行く
僕の知らない場所で
けたたましく鳴っては
言葉だけ
一人歩いて行く
さんざ火あぶりにされたあげく
プラットフォームの隅に打ち捨てられ
言葉だけ
一人歩いて行く
独善的な励ましと提言
僕の心とは裏腹な
言葉だけ
一人歩いて行く
せめてこれだけは、と
何時間でも謳い続けるんだ
森ノ宮駅二番ホームのベンチで
そいつは息も忘れたように項垂れていた
飲みかけのコーラをやると
少し舐めて、また気の抜けたような顔で
"ここにしかない言葉"なんて
結局どこにもなかったんだ
私なんて消えてしまえばいい
こんな中身が個性なら
なくなっても困らない
ここまでくると泣くのが間違いみたいで
でも涙はまだ枯れないんだ
いつの間にか歪んで狂った愛が
私を締め付け殺しにかかる