青いくるみも
すっぱいかりんも
ふきとばすよな春の夜
いたいのいたいの飛んでいけ、って
笑ってくれた人はもういない
ならぼくはこの足に言うよ
いそげ、悲しみ、翼に変われ
いつか、ずっとむかし
木の葉が舞って包まれたとき
あらわれた赤いきものの童子は
風の又三郎だったんだね
細く、轟け、口笛よ
水槽で泳いでるこいつが
じつは凍えて参ってるなんて
みんなは知っているのかな
ぼくのシャツに飛びこんでおいで
白だから赤がよく目立つ
きっと仲よくやっていけるよ
フランスパンをリュックに入れていこう
この教室が海になったら
この教室が海になったら
「明日、世界が終わります。」
朝ごはんを食べながら
何気なくつけていたテレビのなかで
ニュースキャスターが突然言った
わたしはそのときちょうど
みそ汁の器を持ち上げたところで
やけに冷静に
「へえ。」
って呟いただけだった
世界が終わったら
あのひとにもこのひとにも会えなくなっちゃうし
わたしもきっと生きてはいられないし
それはとてもかなしいけど
ちょびっとだけ
うれしいって気持ちもあった
もうめんどくさいことは全部終わり
どんなことも明日で消える
良くも悪くも
まあ、いいかってね
とあるいなかまち、小さな女の子がまどのそとを見ていいました。
「どうしてこのまちにはゆきがふらないんだろう」
すると女の子のおとうさんが、うしろからちかづいてこういいました。
「このまちにだってゆきはふるさ。あしたにはいちめんゆきげしきになってるよ」
女の子は、ぱあっと、かおをかがやかせ、おとうさんを見上げていいました。
「ほんと。やったー」
つぎの日、女の子が目をさましてまどにかけよると、おとうさんのいったとおり、ぎんせかいがひろがっていました。
女の子はうれしくなって外にかけ出しました。
女の子がゆきを手ですくってかんしょくをたしかめていると、おとうさんがやってきました。
「おとうさん、ほんとうにゆきがふったね」
女の子のことばをきくと、おとうさんはにっこりわらってこういいました。
「じんこうゆきをふらせるぎょうしゃによなかからがんばってもらったのさ。六百万くらいですんだよ。いがいに安かったな」
女の子は、さすがおとうさんだ、とおもいました。
いつでも僕は君の
そばにいてくっついて
何時でも離れないようにするから
それは君が寂しくならないように
僕は何があっても
君の目の下くらいに
いつでも手を添えておくから
それは君が流した涙を拭えるように
僕を空っぽにしたのは君じゃないか
その後君はその空っぽの中に
貴方特製の惚れ薬を入れたんでしょ
分かっております
ずるいよ君は
なんて出来すぎた人だ
何万分?何億分?の一の確率
そんなデタラメなもとで生まれた
笑った時にできるえくぼが
世界一可愛いお人
ハートマークを作れば
たぶん世界は平和になる
あなたが拳銃を持てば
銃口から花が咲く
そんなあなただ
「嘘はつかないで」と
いや、それくらい愛してんだよ
なんてことのない
光がそっと手から漏れ出した
なんてこと、そんなこと
触れるようで触れない
理屈じゃ考えられないくらいに
君が僕のドアをノックした
立て付けの悪かったはずのドアが
最も簡単にすっと開いたんだ
庭に居たはずのシロクマがどこかへ消えていた。毎晩公園の噴水にでも通っているのか、朝は全身びしょ濡れだったから今日は拭いてやろうとタオルを持って来たのに。まあ、嘆くほどのことでもない。
次の日、もともとシロクマがいた花壇には、ペンギンが三羽。数は増えたが、シロクマに比べれば言うまでもないほど小さい。空を飛べない鳥だから、柵を乗り越えて窓からリビングに入ってくることもない。だが、ペンギンが"泣く"ということは知らなかった。近所から苦情が殺到している。まあ、嘆くほどのことでもない。
その夜、ペンギンたちも居なくなった。代わりに来たのは、青い金魚。金魚は水がなくても泳げるのだと、初めて知った。空中を呑気に泳いでいるので、問題は無いだろうと放っておいたら、翌朝には塀の外へ逃げていた。そうか、空気がある場所ならどこでも泳いでいけるのだ。まあ、嘆くほどのことでもない。
やはり、夢だったか。結構楽しかったのだけれど。
まあ、嘆くほどのことでも。
誕生
成長
入学
卒業
就職
解雇
訴訟
敗訴
挫折
無職
放浪
起業
成功
結婚
倒産
離婚
一気
酩酊
線路
落下
死亡
ある日、朝起きたら周りが真っ白だった。
辺りが空のように、どこまでも続いているようで不思議な空間だった。
当然誰もいなくて、ベッドを離れると果てしないどこかへ歩いた。
「あああああああ!」
声を出してみた。案外普通に出た。どこかへ行った声は帰ってくることもなく、消え去った。
1時間ほど歩いたはずなのにベッドは5歩後ろだ。どうやら全く進んでいないみたいだ。だからか、さほど疲れてはいない。
仕方がないのでもう一度ベッドに入る。まだほんのり温かった。案外時間は経っていないのかもしれない。
することがないので、目を閉じた。
次に目を開けた時には、自分の部屋でいた。
それ以来、あの真っ白なところには行っていない。
"案外”あれは夢だったのかもしれない。
犬とか鯨とか猫とか蛙とかミミズとかトカゲとか 木とか草とか
とにかく人間よりもっと素敵な生き物だったなら
君の隣で生きられたかもな
人類の愚かさなら歴史の教科書にうんざりする程書いてあるから
今更自分の愚かさを嘆いたりはしないけど
誰かに合わせたりするのは死ぬほど苦手だし
型にはまる位なら死んだ方がましだと思うよ
今日も、僕は
地球で最後の一人みたいに歩く
傲然と胸を張って
地球で最後の一人みたいに歩くよ
さよならだ