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鏡像編年史その②

「ッ!? 何だ!?」
鍵を拾った瞬間、足元から聞こえた声。咄嗟に飛びのく。
「……良い反射神経だ。わざわざ『それ』を取るだけのことはある」
さっきのと同じ声が、今度は背後から聞こえてくる。
「!?」
振り向く前に、何者かに目と口を手で塞がれる。
「んがっ!」
藻掻こうとしたけれど、直後に手が離れ、さっきまでいた場所とは全く違う空間にいた。
「ここは……?」
「ようこそ、もう何人目かのお人。これであなたも、晴れて我々の仲間入りというわけです。先程の非礼については、勘弁してくださいな」
さっきから聞こえてくる声が答えた。声のする方を見てみると、背の高い、足が一本しか無い男が立っていた。
「なっ、何者!?」
「そんなことはどうでも良いわけで。我々にとって名前にそう価値はありませんで。そういうわけで名乗りは結構」
「……じゃあ、何になら価値があるんです? 相手を呼ぶ時はどうすれば?」
「適当にしてくれれば。大抵の場合、私は『片脚の』だとか『しめじ野郎』だとか呼ばれておりますよ」
何故しめじ。
「何に価値が、という話ですが……」
片脚の男は、腕組みをしてしばらく考え込んでから答えた。
「我々の為した事に、でしょうかねぇ……」
「為した事?」
男は懐から一冊の手帳を取り出しながら続けた。
「ええ。あなたも聞いたでしょう? 『ミラークロニクル』。その編纂ですよ」

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夕景ボーイ・遊星ガール

水溜り弾くスタンスミス
五時の音楽がホラーに鳴って
文庫本の群れが山へと帰る
腕まくりで浮いた血管を
意味もなく褒める
そう言えば って照れ隠して
顔を上げれば別れ道
姦しい胸中を悟ってよ
押して自転車 引いて後ろ髪

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雨 月 風 好き 太陽 あんまり好きじゃない 明るすぎて 眩すぎて 自分には不釣り合いだ 朝よりも 夜が好き

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鍵は

何でもない日常だった
今日もそのはずだった
果たしてこいつはなんなのか、てか「ここ」はどこなのか
これがわからない

伊織タケルはいつものように公園に寄ってのおやつタイムだった
いつもは誰かと一緒だが今日はみんな都合が合わないと来た...まぁ受験生だし仕方ないが
しかし、最近のコンビニというのはすごい、何でもそうだがとにかくうまいのだ
次の菓子を食べようと袋を漁ると、なんだか買ったものたちとは明らかに不釣り合いな固い感触があった
取り出してみたがこれはどう見ても...
「なんだこれ...鍵...?」
疑問に思いながら眺めてると「それ」は突然高らかにこう宣言した。
『ミラークロニクル!』
その声と共にタケルは光に包まれた

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鏡味経由ダージリン(本日のケーキ付き)

空っぽだと発覚した途端、ピーコートの全てのポケットが とある予感で満ち満ちる。
そしてその予感は、店員が運んできたマグカップの中に"探していたもの"ではない"見覚えのある鍵"を発見してから、ゆっくりとまぶしい確信に変わっていく。

やっとだ。
君を、迎えに行ける。

僕はたったいま目の前に届いたアイスティーに手をのばし、冷たさをひたひた、水面を越えて''見覚えのある鍵''をつかむ。

--- ミラークロニクル

どうか君も、僕に向かって泳いでいますように。

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運命の現実

いつも思うんだ

なんで私を選んだの?
私で良かったの?
他に私より良い人居たんじゃないの?
その人を選んでいればもっと幸せだったんじゃないの?
私にも居たのかもしれない
でもあなたしか居なかったんだ
あなたで良かった
選んでくれてありがとう

でも、これがもし全て決まってたのなら私でごめんなさい

そんな気持ちを抱える私のそばであなたは同じ顔で微笑んでるんだ

「もうそろそろ帰ろうか、夕飯は何が良い?」

そんな日々が愛おしいんだ
どうかそんな日々が

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牢屋の様だ

走っても逃げられないよ、時間
飛んでも出られないよ、世界
嫌でも迎えに来るよ、死

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迷子

生きてる暇も無ければ、死んでる暇も無い
神から命を押し付けられ、今日もただ、はみ出た命が眼から駄々もれ

布団に潜って溺れるだけの毎日
何処へ向かうのですか?
何処へ向かえば良いのですか?

誰かに会いたいです
運命の人
私を愛してくれる人は何処ですか?
その人とはぐれました

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ёペンギン

幸は不幸の向こうで泣き顔で待ってる

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自分の心臓 今日はやけにうるさいね 少しだけでも黙ってくれよ 時計の秒針 カチコチうるさい そんなに焦らせないでくれよ 命も時間も有限で大切 よく聞く言葉だ それは事実。だから、どうした? 手垢にまみれまくった言葉は すぐに解放しろ 違う言葉に生まれ変わらせろ 同じ形に固定されて窮屈だ だからだからだから… 常套句や決まり文句を、ぶっ壊してやりたい 破壊衝動を、言葉に向けて

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さようなら

何度諦めるって言っただろう
何度大嫌いって言っただろう
そのくせ
何度君を終われなかっただろう

嫌われてる?
そんなの分かってたけどさ
もどれない?
そんなの知ってたけどさ

ただ
君といたかっただけなのにさ
君を笑わせたかっただけなのにさ

どうしてこんな辛いんだろ
どうしてこんな痛いんだろ

理由ならずっと前から知ってるよ

どうしようもないくらい嫌われても
どうしようもないくらい好きなんだ

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じれったい

涙じゃないんだ
ベッドから滑り落ちた雨が
地面に落ちて
それはそれは芸術的な
シミを板目に作ったの 

本当なら僕らの
2番目の宝物になるはずのものを
僕たちは僕たちのために
使い果たしたんだ
必死だったんだ

何故、こんなにも
じれったいんだろう 
じれったくて
汗ばむの
くっついてんのに
距離だけはそれでもあって
初めは0.05ミリ
次は0.03ミリ
最後にはお察しの通り

能動的で最高な
盲目的で最低だ
僕らは白いシーツの上でしか
主人公になれなかったの
サクランボを君が口に放り込んで
僕はボクになる

君は自分で殻を破れないから
僕が破ってあげないと
でもそれって辛いでしょ?
我慢してよ、泣いちゃヤダ

ここに居る意味を君の中に
置いてきてしまったから
急いで取ってくるよ
ちょっと待ってて

何故、こんなにも
じれったいんだろう
じれったくて
汗ばむの
抱き合ってんのに
泣く寸前の一歩手前
シーツを濡らしたのは
だから、涙じゃないってば

断片的で直感的な
喜劇的で悲劇的だ
僕は多分僕のもので
君は多分君のもので
でもここでは
僕は君のモノ、君は僕のモノ

「熱」は予測変換で「君」に
「恋」も予測変換で「君」に
「愛」ですら予測変換で「君」なったのに
「僕」は予測変換で「君」には
なれっこなかったんだ

分かってるフリして
実はゼロすら知らなくて
バカみたい、バカみたい

何故、こんなにも
じれったいんだろう
じれったくて
僕はシーツに潜り込んで
君にしか聞こえない声で
メソメソ泣くの
君の隣で「君が居ない」って
メソメソ泣くの

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笑わない世界、笑えない世界 No.2

私は空を見上げた。雲のすきまから見える太陽は美しい。少し向こうに天使のはしごが見える。いいな。私もああいう風に照らされてみたいな。
「クルミ!早く来なさい!」
母だ。
「何でしょうか」
「何でしょうか、じゃないでしょう!早くこれを片付けなさい」
「はい」
机に置いていた食器を台所へ運ぶ。カチャンカチャンという音を立てて流し台に置いて行った。
「できました」
「よろしい。勉強をしなさい」
「はい、分かりました」
私は2階にある自分の部屋へ行くため階段を駆け上った。
机に教科書やワークを出して早速取り掛かった。来週テストだからこのワークを終わらさなければならない。
「クルミ!こっち来て!」
また母の声がした。私は急いで階段を降りて母のもとへ行く。
「今日はやっぱり勉強しなくてもいい」
「えっ、でも。来週…」
「黙りなさい!今日はいいと言っているの」
「は、はい。分かりました。片付けてきます」
再び私は階段を上って部屋のドアを開けた。出していた物を棚や引き出しに片付けた。
「これ、観よ」
「え?あ、はい」
降りてきて言われた。今日の母はどうしたものか。変に優しい。
言われて観たテレビ番組は、相変わらずつまらないものだった。
バラエティー番組なのに、ニュース番組を観るかのように黙りこくってジッとしていた。

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きらい

人に嫌われるのと
人が嫌いだと勘違いされるの
どっちが苦しいかな