時、5時10分。場所、老人の家。わたしが寝かされている部屋は、客間だということだった。
合計で1日以上眠ったおかげで、全身の痛みはかなり楽になっていた。代わりに全身が怠くて、鉛でできているかのように重かった。布団から出られるような余力は残っていなかったので、耳を澄ませて家の中の様子を探った。家の中からは電化製品が動く音以外、何も聞こえない。あの老人は不在のようだった。漁師のようだから、早朝家にいないことは何もおかしくないが。
しかし、改めて思い返してみると、一人でいるというのはあまり無い経験だ。普段、待機中はいつも、相棒のダキニがぴったりと寄り添っていたから。
そういえば、わたしの相棒は無事だろうか。少なくとも、戦闘中に目に入った死体の中に彼女のものは無かった。まあ、ダキニは強いし、きっと大丈夫だろう。相棒との再会の為にも、今負っているダメージを早急に回復しなくてはいけない。とにかく眠って、自然回復に努めなくては。
12時5分、老人が部屋に入ってきた。手には粥の皿が載った盆を持っている。
食べるように言われたので、その通りにした。食事を摂れば、肉体の原料とエネルギーが手に入る。有難いことだった。
フェンリルはある独房の前で私たちを待っていたようだった。その独房の扉も、壊されて無くなっている。中を覗いてみると、モンストルムの男の子が行儀よく部屋の真ん中に正座していた。
「やっと来たな。おいデモの字、新入りだ」
「へえ。どっち?」
「スレイプニル側」
「同票かー。それより、さっきのサイレンは?」
「『外出許可』だよ。仕事だ、ついて来い」
「了解」
独房の中の子が立ち上がり、外に出てくる。
「やあ、僕はデーモン。君は?」
「ベヒモスです」
「よろしく。君、外に出たいんだろ? まあ気長に待てば多分出られるよ。フェンリルを信じてやって」
「は、はい……?」
言っていることはよく分からなかったけど、3人はどんどん先に進んでいくので、私もそれについて行くことにした。
「あの手前にいる方がかすみちゃん」
それで…と夏緒は急に真顔になる。
「奧にいる“あいつ”が、ナハツェーラー」
夏緒がそう言うと、蛍はナハツェーラー?と首を傾げる。
「そう、アイツはナハツェーラー」
他のみんなは“ナツィ”って呼んでるんだけどね、と慌てたように露夏が補足する。
「そうなの?」
蛍は不思議そうに首を傾げるが、露夏はまぁなと笑うだけだった。
「それはそうとしてだけど、蛍」
お前、今1人か?と露夏は屈んで尋ねる。
「うん」
そうだけど、と蛍は答える。
「父さんや母さんは?」
何気なく露夏が尋ねると、蛍はそう言えば…と
辺りを見回す。
「ママ、いなくなってる」
「え」
蛍の言葉に露夏はポカンとする。
「母さんがいないって…」
ヤバくね?と露夏は呟く。
窓から光が差し込む朝。小さな木製の椅子に、筆舌に尽くしがたい、人間離れした容姿の美人がお上品に腰を下ろしていた。
「ふぅ…」
ため息をつき、暫くうとうとしてから窓を開ける。朝はいつもそうだ。低血圧なので寝起きが悪い。彼_或いは彼女の名は、ニト。魔術師だ。
「うーん…よく寝た」
誰に言うでもなく呟くと、
「ニトーーっ!!おきろばかぁ!」
ニトの耳を刺すような大声が響いた。幼い子供特有の甲高い声だ。
「朝から元気だな…自重してくれるとありがたいんだけど」
声の主はニトの唯一の同居人_ロマだ。ロマは永遠に幼い、という呪いをかけられた少年で、本当はニトよりも年上…のはずだが。
「はやく!はらへったぞー!」
「はいはい今行くね」
ニトは重い腰を上げた。
「お久しぶりです」
一挙手一投足に舞う振袖の君が言うそれは
“大人になったよ”という合言葉だ。
「綺麗だね」
僕はわざと返さなかった。
君が少し照れる仕草。化粧の奥に見えるその目は5年前と変わらぬあどけなさを覗かせる。
「…髪いいねそれ」
照れながらもそう言える君はやっぱり大人だね。
「染めた、似合ってる?」
今の僕はこれが精一杯だ。
もうちょっと大人になって今度は僕の意志で逢いに行くんだ。そして会って言うんだ。
「お久しぶりです」
それが僕なりの…
「#{;;“}*}$=[€‼︎」
火炎をもろに食らったインバーダは喚き声を上げながら燃えていく。
「*{’;“;%]<<;|‘+]$>[+\{$|‼︎」
他のインバーダはイフリートに飛びかかろうとするが、イフリートが撃つ火炎で次々と焼かれていく。
イフリートはあっという間に4体のインバーダを屠ってしまった。
「これで雑魚共は片付けたぜ」
さぁこの先にいる大物を…と言いながらインバーダの亡骸の傍を通り抜けようとした時、ふと殺気を感じた。
「?」
イフリートが顔を上げると、先程倒したものと同型のインバーダが近くの建物の上から襲いかかってきていた。
避けきれない、そう思った瞬間イフリートの目の前に光のバリアが展開した。
「‼︎」
インバーダはバリアに弾かれそのまま地面に落下する。
「イフリート!」
大丈夫?と長髪のコドモがイフリートの所に駆け寄った。
「お、おう」
ありがとう、とイフリートは長髪のコドモ…デルピュネーに向かって言う。
「デルピュネー!」
デルピュネーの後を追いかけていた二つ結びのコドモことビィも2人に走って来る。
「どうしたのビィ」
デルピュネーが尋ねると、ビィはあ、あそこ!と先程バリアで弾いたインバーダの方を指す。
インバーダは唸り声を上げながら3人の方へ近付いていた。
どうも、ナニガシさんこと何かが崩壊している者です。またもやちょっとした企画をぶん投げようと思います。
その名も「ピッタリ十数字」。今回はポエムの企画ですね。
ルールは簡単。企画名の通り本文の文字数がぴったり十数字のポエムを投稿していきましょう、というもの。
ただし、別に10文字台なら何でも良し、というわけでもありません。今回のレギュレーションで許された文字数は、「10字」「13字」「15字」「19字」の4種類のみ。
また、英数字や記号は全角、半角に拘らず1字にカウントします。句読点も1字。
「!」や「?」も単体で1字になります。「⁉」の場合は2字ってことになりますね。「!!!!!」なら当然5字にカウントされますが、字数調整が簡単になり過ぎちゃうので、できれば気軽にそういう真似はやらないでくれた方が嬉しいなー……。
期間は2月1日~2月29日まで。
参加者は、タグに「ピッタリ〇字」と入れて投稿してください。〇の部分には自分のポエムの文字数を入れてください。だから「ピッタリ13字」とか「ピッタリ15字」とかそんな感じ。
ちなみに、企画期間より前や終了後に投稿しても良いんですが、その場合は企画の指定タグの後ろに、前なら「習作」、後なら「遅刻組」と入れてください。
つまり1月中に出すなら「ピッタリ19字習作」みたいな、3月以降に出すなら「ピッタリ10字遅刻組」みたいな、そんな感じになります。
簡単なような面倒なような、そんな企画ですがどうぞ奮ってご参加ください。
どうも、テトモンよ永遠に!です。
1月も折り返し地点に達したので企画「CHILDish Momstrum」の要項の再掲です。
まだ企画の存在に気付いてない人がいるであろうこと、企画投票で1番の票を獲得したのに参加者が自分以外1人しか確認されていないこと、などから要項だけ再掲したいと思います。
要項を読んで、参加してみたい!と思った方はぜひタグから世界観・設定などを探して作品を作り、投稿してみてください。
では要項です。
タイトルは「CHILDish Monstrum」。
異界からやって来る侵略者“インバーダ”に対抗するために作られたヒトの形をした怪物“モンストルム”たちの戦いと日常の物語を皆さんに描いてもらう企画です。
開催期間は1/1(月)15:00から1/31(水)24:00まで。
ルールは設定と公序良俗を守り、投稿作品にタグ「CHILDish Monstrum」を付ければそれでOK!
作品形式・長さ・数は問いません。
皆さんのご参加楽しみにしております!
この手の企画は難しいので「読み手」で参加する方が多いと思われますが、書き手がいないと読めるものは出てきません。
「文章が下手くそだから」と投稿を控えている方もいるかもしれませんが、下手でも企画者は嬉しいし誰かに見てもらわないと文章は上達しない(多分)なので良かったら投稿してみてください。
再度になりますが、皆さんのご参加楽しみにしております。
三月迄は先週の日程で日替わり投稿をする予定でしたが、予定より早くできなくなってしまったので又日程変更します。
度々すみません。
月曜日 「fate destroyer」
火曜日 おやすみ
水曜日 「円環魔術師録」
木曜日 「とある小説と猫」
金曜日 「廻るは因果、故に舞い散る桜の刃」