「これってまさか」
わたしがそう呟くと、耀平はポツリと発現、だとこぼした。
その一方、頭を抱えて苦しむヴァンピレスは少し焦ったような顔をした。
「まさか貴方、顕われようとしているの⁈」
ふざけないでよ…!とヴァンピレスは鞭を振り上げる。
わたしは危ない!と思い目を見開くが、わたしの側で師郎が咄嗟にリュックサックを下ろしてそれを投げた。
黒いリュックサックはそのままヴァンピレスに向かって飛んでいき、それにぶち当たる。
その瞬間、ヴァンピレスの姿は霧散するように消えていった。
「琳‼」
ヴァンピレスの姿…分身が消えた所で、師郎は慌てて階段を駆け下り琳くんに近寄る。
琳くんはゆっくり顔を上げた。
「師郎、さん…?」
彼は不思議そうな顔をする。
その瞳は、薄黄緑色だった。
「ま、私のことはいいですわ!大事なのはシオンさんの魔力量と精度ですもの!」
「わぁ切り替え早いんだね」
シオンも見よう見まねでそっと種を手で包む。
「そういえばさ、リサちゃんの固有魔法はどんなのなの?」
「あら、ご興味がありますの?もちろん教えてさしあげますわ!私の固有魔法は『爆破』です。少量の魔力を火薬にして、私が五感で把握できる範囲の中で好きなところを爆発させることができますのよ!正確な精度を求められる魔法でして、一家相伝のものですの!家族もみんな使えますわ」
「へぇ…」
勢いに押されて微妙な反応をしてしまったが、エリザベスは気にせず楽しそうに話を続ける。
「シオンさんはどんな固有魔法をお使いになりますの?」
「うーんと…いや、正確にはわかんないんだよね…治れ〜って思ったら怪我を治せるんだけど、割れちゃったお皿とかも直れ〜って思ったら直るの」
「あら、かなり広範囲に使えますのね」
「うん、そうそう、種に魔法使うとね、育ってお花が_」
言っている途中で、シオンの指の隙間から凄い勢いで蔓が伸びてきた。
「……まあ」
あんなに突然うまれた約束なんて
どれくらいぶりだったんだろう
私はとうとう一緒にお酒を飲むなんて
そんな実績解除もくすぐったい気持ちだった
それくらいには大人になったから
昔は聞けなかった未来の話まで聞けるようになって
そんなことも少し嬉しかった
大きな背中はずっと大きいまま
私の二つ前を走り続けている
「でも寒くないんでしょ?」
そう何回も笑いながら
君の冬が寒くない事ばかり願い続けている
リンネがランプの取手を握ると、ごおっ、と音を立てて、もの凄い勢いで炎が燃え上がり始めた。
ミルも中々の勢いがあったが、リンネとは比べものにならなかった。
「ひょえ〜、今からこいつの調整かよ。」
複雑な顔をしているエルを尻目に、ランプの炎を観察しているミルは、ふと疑問に思ってエルに声をかけた。
「そういえば、ランプの火って何色かに分かれることあるんですか?」
リンネの炎は、赤と青が入り混じっており、紫になっている部分もある。
エルは複雑な顔のまま答えた。
「ない。だからこいつはおかしいんだよ。おかげで調整の面倒なこと面倒なこと…。」
まぁ、杖そのものもおかしいんだけどな、とエルは付け加えた。
「取り戻さなくては」
レピドは二人の姿が見えなくなるまで見送ってからそう呟く。
「バア・スル・ジュ!いでよ我が最強の下僕!コン・ジン・リン!」
レピドは辺り一帯に散らばる機械を一つにして巨大な人形を作り出し一体化する。
「さぁ、私の闘いの続きを始めよう」
これは後年、『レピドプテラの反乱』と呼ばれる大戦のほんの数時間前の話である。