今日も雲ひとつない空。
今日も快晴。
元気してるかい?
あっちの世界はどうよ?
久しぶりに大事な人に会えたかい?
こっちもなんやかんや元気にやってるよ。
ねえ、今日も雲ひとつない青い空だよ。
上空の海みたいな青一面の空で快晴だよ。
なんか心が浄化される。
なんでだろ…
もしかして、お空の上の上のあっち世界から手を振っていること?
だったらうれしいな。
この理不尽で忙しいこっちの世界を
広い空の海の底で見守っているのかな?
かもしれないね。
あれ、?暖かな風が私のとこに横振ってきた。
気のせいか。
いや気のせいじゃない。
あっちの世界からお便りを風が届けにやってきたのかな?
だったら嬉しいな。ありがとう。
こっちはもう元気にやってるよ。
こっちの世界は任せてね。
そういえば、明日の天気はなんだろう?
明日も雲ひとつない快晴かな?
「わっ」
わたしはその人とぶつからないように身体をよじったことで足がもつれてしまい、そのまま地面に尻もちをついてしまう。
幸い相手は転ばなかったが、全速力で走ってきたわたしに驚いて、だ、大丈夫⁈と心配してくれた。
「へ、平気です…」
わたしはすぐに立ち上がりつつその人に謝る。
高校生くらいと思しきその男の人は、ならよかっ…と安心したように言いかけた。
しかし最後まで言い切らず、彼はわたしが元来た方を見やる。
「…」
彼は何かを感じたかのように路地の奥を凝視していた。
わたしはそれが気になったが、ヴァンピレスに追われているのでとにかくその場をあとにしようとする。
その時だった。
「…こっち‼」
わたしとぶつかった男の人が、わたしの右腕をバッと掴んで駅の方に向けて走り出した。
びっくりする程の強い力に引っ張られて、わたしは何が何だか分からないまま駆け出す。
これから何が起きるのかさっぱり分からないまま、わたしは夕闇の中を走り抜けていった。
〈24.ヴァンパイア おわり〉
まだ気づかれていない私は
置いていかれるの?
私は道端に生えている
草花と同じなの?
ねえ。教えてよ。
人は何のために生きているの?
何故人は何かのせいにして逃げてるの?
「人を知らずによく生きてきたね」
私はそこら辺にいる人じゃないの
貴方もそうでしょう?
知らず知らずに
周りは先を行く
目立たないように
息を潜めている
私を誘ってよ
隅に咲いている華は
きっと素晴らしいから
何か欠けてしまった私は
取り残されるの?
私は壁に掛けられた
花と同じなの?
ねえ。聞かせてよ。
人は何を求めて生きているの?
何故人は何かを遺して逝くの?
「人を知らなきゃ生きていけないよ」
私は貴方と同じじゃないの
みんなもそうでしょう?
全てを見て
周りは先を登る
息をしているのに
目立たない
私を眺めてよ
地味に咲いている華は
きっと輝き出すから
好きでいてよ
見なくても好きでいてよ
一人でいても何も変わらないよ
見ていてよ
好きじゃなくても見ていてよ
嫌いでいても何も変わらないよ
ねえ。教えてよ。
私は何を成すために生まれてきたの?
私は何を成して空に逝くの?
「人を好きでいなきゃ生きていけないよ」
私は私を愛してたいの。
私だけでも愛していたいの。
ここにある道に
花を咲かせる
その祖先にきっと
いたはずの
私を気に入ってよ
隅で咲いている華は
きっといつかの主役
_アリエヌスの体内
「もう無理。疲れた」
「えっ!?ちょっと、お前、休むな!!」
二人はアリエヌスの体内を歩き回り、若干肉の厚みが薄そうな場所を見つけてそこを狙って攻撃していた。しかしいくら攻撃しても外に繋がりそうがなく、カウダはレヴェリテルムをアリエヌスに刺したまま息をついて寝転がってしまった。ブケファルスは慌ててカウダに言い募る。
「早く出ないと死ぬっつーの!わかってんのかよ!命の!危機なの!」
「わかってるよ…だから疲れた僕の代わりに頑張って?僕はこういうタイプの戦闘には向いてないの。ほら見て?レヴェリテルムが包丁なんだよ?」
「だからって…!もーー自分勝手!!お前もそう思うよな!!Uccello balla lingua cent!!」
「前から思ってたけどレヴェリテルムに話しかけて答え返ってくるの?」
カウダがそう呟いた直後、アリエヌスの身体が遥か上の方で揺れた。
好きな人にバレた
私のこの大好きっ子ってネームまでは知らないかもだけど、
私はもうアタフタ状態だょ。。
「貴女がわらわの提案に乗らないのなら、無理矢理にでも受け入れてもらうわ」
そう言って、彼女は右手に白い鞭を出す。
そしてそれを静かに振り上げた。
…マズい、そう思ったわたしは咄嗟に横にある路地に飛び込み、そのまま細い道を走り出す。
しかしヴァンピレスは待ちなさい!と叫んでわたしを追いかけ始めた。
わたしはとにかく、暗くなり始めた路地裏をひたすら駆けていく。
ひと気のない細道はひどく不気味で、時間帯も相まってあまり走っているのは気分がよくない。
だがとにかくわたしは逃げなくてはならない。
だってこの状況は、明らかにヴァンピレスがわたしの記憶を奪いに来ているからだ。
”記憶”と言ってもどこからどこまでのものが奪われるか分からないが、ネロ達との楽しかった思い出を奪われたくはない。
それにこの忙しい時期に記憶をなくすのはまっぴらごめんである。
そう思いながら、わたしはひたすら路地裏を駆け、人の多い駅前の方を目指した。
この街でも人通りが多い方である寿々谷駅前まで行けば、人目につくということでヴァンピレスも追って来れないだろうし、攻撃もしづらいだろう。
そう思いつつ駅前に近い細い通りへ繋がる角を曲がった所で、わたしは角から出てきた人とぶつかりそうになった。
つまらない日々に
少し華を添える魔法よ
どうか私に愛をください。
また壊れかけて
耐え抜いてきた貴方よ
どうか私に愛を届けさせて。
正義が崩れ
また諦めようと
信じれるものを
見つけていよう
太陽が輝く側で
朽ち果てた世界に
求めるはヒカリ
青紫の愛が根を伸ばす
もう悲しまないでよ
私がいるでしょ?
大丈夫。
始まりはもうすぐそこにある
面白くない私を
少し変える魔法よ
どうかこの日々が続きますように。
素直になれない
また諦めかけてる貴方よ
どうか誠実であっていて。
大切を亡くし
また踏みつけられようと
信じれるものを
探していよう
空のすぐ近くで
倒れかけた世界に
求めるはチカラ
青紫の決意が根を伸ばす
もう泣かないでよ
私と居るでしょ?
大丈夫。
希望は手を伸ばした先にある
輝き出す世界に
求めるはヒカリ
青紫の愛が芽を出す
もう独りじゃないよ
私を見つけてよ?
大丈夫。
未来はもうすぐそこにある
「彼らが貴女の事を大切に思っていなくとも、彼らを信じるのね」
ヴァンピレスはそう言ってうつむく。
それに対し、わたしは…違うよと返した。
「これは、わたしの意思なの」
わたしにとってネロ達は、大事な友達だから、とわたしは力強く言う。
「だから、あの子達から離れない」
こういうのは、自分がどう思うかが大切だってあの子達に教えて…とわたしは言いかけた。
しかしその言葉は、ヴァンピレスの黙りなさい‼という怒号に遮られる。
「貴女は、貴女は…わらわの言う事に従ってればいいのよ‼」
わらわと一緒なら、貴女はもう困らずに済むのに…‼とヴァンピレスは震え声で続けた。
わたしは呆然と彼女を見ていた。
「どうして、どうして、どうして…‼」
ヴァンピレスはばたばたと地団駄を踏み、頭をかきむしる。
そして不意に…もういいわ、と顔を上げた。
貴方は太陽。
周りを明るく照らし輝かせ、
自分自身を眩しく目が眩むほど輝かせる。
照らされた周りをかき消すかのように。
天性の才能。生まれ持ってした“特別”な人。
そんなあなたに憧れ焦がれて私はこの世界へと
小さな一歩を踏み込んだ。
貴方に近づきたくて、なりたくて。
徹底的に真似っ子をする。
それなのに、それなのに…
あの時の貴方のことは忘れない。
初めて会ったあの時。
いつも見ている貴方とまるで別人で。
本音を隠しているような。
わからなかった。
わからなかったからたくさん“勉強”した。
貴方を理解するために。
たくさんたくさんたくさん…
今なら少しわかる。あなたの気持ちが。
「怖かった」…違う?
少しは貴方を理解できたのかな。
少しでもわかってあげられたのかな…
今私は貴方と並んでいる。
貴方を目指して登ってきたこの世界の頂点への道中で。
お互い競い合い、切磋琢磨しながら。
貴方を頂点として登ってきたはずだったのに。
隣に並んで見えてきた。
貴方は強く振る舞っているだけで、
本当は弱いってこと。
そんな貴方をみていると
少し安心する。自分に近い存在なのだと。
今日も私は貴方と競い合う。
決着のつかない戦い。
それでもあの日あの頃目指していた貴方を
近くで支え、支えられること。
どんなにも嬉しいこと。
いつまでも続けばいいと思っている
選んでもらえなかった時の淋しさ、誰かに嫌われた時の哀しさ、その様なものと対峙したとき、必ず自らの言動を振り返るようにする。私もまた、選び嫌っていること。それはいつどこにでも咲いている。