雨降りの駅。 ふと見覚えある後ろ姿。 思い出す苦い思い出。 一つ隣の車両に乗り、お互いの待ち人のところへ。 なんとなく見つめたあなたの読みかけの小説のタイトルは あの頃から変わってなくて。 時の流れが止まっているのかと感じてしまう。 駅のホームで迎える知らない人を見て気づいたよ。 あの頃から2人の視線も想いも 触れていなかったことに。 …なんて
君の人生は君の人生。 僕の人生は僕の人生。 それでいいじゃない。 君がしたいようにしてよ、 結婚なんて紙切れ一枚の契約に過ぎないじゃない。 たかだか紙切れ一枚の為に無理して一緒にいる必要がどこにあるの? 君の人生は君の人生だよ。 誰も責任が持てない。 でも、いつか君が最高の人生だったと思えるようになるなら 僕の人生は捨てたもんじゃなかったって思えるよ。 …なんて
いつもこんな日なの。 君が隣に座るのも、 僕の背中をさすりながら 鼻をちょっぴりすするのも。 夜なのに流れる風はぬるく、おもく。 君は誰かに何かを望んでる。 僕じゃないね。 背中をさする手は 僕にはあまりに大きくて 少しだけ甘い匂いを携えた君は 僕の恋する人だ。 僕は側にいるから、 と鳴いてみる。 彼女は涙目で笑った。
土日が嫌いだった僕と 土日が好きな僕と 君がいるかどうかだけが 僕が変わった理由ではないよ。
雨が降る。 雷もなって、風もつよくなってくれないかな。 君が帰れなくなるように。 と、僕は言う。 雨がやむ。 雲がなくなり、お月様に出会えてもいい。 あなたが手を離さないなら。 と、きみは言う。
あなたの寝息が ぼくの目を覚まさせる。
街が寝静まれば 1人の部屋に1人だけの夜 時間に押し流される日々で 弱音なんてこぼせなくて 悩みなんてない、なんて そんなの嘘っぱち 不安だらけ、本当は泣き虫 あゝ、猫になりたい。
君の真っ直ぐな瞳は初手85飛。 たじたじになった3四歩。 ゴキ中対矢倉右四間飛車、対抗形。 槍のような鋭さにあっさり詰めろ。 負けました。 桂をかつらと読むきみが好き。 矢倉は純文学、きみにはまだ王手がかからない。
ドアを開けて、暗い部屋。 おかえりのないただいま。 散らかってない下駄箱と冷蔵庫。 あるもので作り上げた主菜と副菜。 一皿で済む晩御飯。 埃かぶったカップと色褪せたカップ。 使ったことのない、いっぱい入ったリンス。 独りで使うセミダブルのベッド。 独りぼっちの歯ブラシ。 卒業と言えば、前向きかもしれないけどね。 桜の舞う踏切、通り過ぎる電車に君はかき消されたまま。
雨の日の開花宣言も 常夏の梅雨入りも 真冬の秋雨も 春先のなごり雪も 世界の色に ぼくらはまだまだ馴染めていないだけなのかも きみとぼくと。 あなたとわたしと。 いろいろないろが 心を惑わす。 …なんて