放り投げた泪、丸めた毛布、 積み上げた文庫本、転がしたコップ、 台所の水時計、枕許の電球、 パジャマにも幻バイブ、 昨日になりかけた今日の雨、 ねぇ、おやすみ 話し声、 瞼、 、
背伸びをしていた 肩を怒らせ尖った顎に憧れた 何を失うのか知りもしないで 失う覚悟だけは決めてみた 背伸びをしていた 片頬だけで嗤う練習に明け暮れた 見下すものを増やすのが 大人になることだと思ってた
黄色い月が、もやの向こう 小さく登るのを眺めてた。 浮かぶように、ゆらり 泳ぐように、ふわり うさぎの餅つきだなんて 云ったのは誰だろう? 真ん丸なのか、 それとも歪なのか、 わからない 丸を描いて 黄色い月が、もやの向こう 小さく登るのを眺めてた。
春の月は黄色に限ります。
何回だって夢を見られるんだ ぱっ ぱっ ぱっ ぱっ 切り替わる情景に 色彩が舞い散る この胸にくすぶる涙を パレットで溶かして! いつかは笑えるんだと 何回だって思いたい この耳に残る声を いますぐ連れ去って! あなたの後ろ姿 水彩画のようだ ぱっ ぱっ ぱっ ぱっ 移り変わっていく
雨が乱反射して生まれた 仄かな景色と誰かの嘘と 傘に降る雨が 冷たい 沈んだ先のあの都市で 僕を塞ぐ あの壁の前で 濡れてしまった 詩集を 失くしてしまった 思い出を 僕は幽霊船に乗って 漂う 見つけ出すんだ 翡翠色の瓶
歩いてとんで走って まわってまわってひらり だいすきなメロディー 開きぐせのついた文庫本 ぜんぶ ぜんぶあるはずなのに わたしの中身がからっぽだなんて そんな そんなこわいこと だれも教えてくれなかったわ
目を覚ます。歯を磨く。湯槽に浸かる。牛乳を呷る。会社へ行く。キーボードを叩く。日替わり定食を頼む。キーボードを叩く。家へ帰る。カップラーメンを啜る。湯槽に浸かる。歯を磨く。瞼を閉じる。昨日のコピーのような今日。今日のコピーのような明日。世界は回る。僕は生きている。君はもう、居ないけれど。君は、もう、居ないのに。
私だけに 向けられた声 私だけに 向けられた言葉 私だけに 向けられた眼差し 私だけを 呼ぶ名前 あなたが 私のことだけを 考えてくれる 瞬間 少しだけ 嬉しいです (好きな友人、家族、先生、異性…好きな人に名指しされると嬉しいです)
捜していた、いつからか。 沈んでゆく、ゆらゆらと 手をのばしたって届かない 屈折率はいつだって残酷だ。 探している、いつまでも。 浮かんでゆく、ふわふわと 伸ばした手はもう見えなくて つめたくも、あたたかくもない 世界は当たり前な顔をしてそこにあるのに。 泪、置くように 息、吐くように 瞼も見えない闇の部屋で眠る、 こんな夜のこと。