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☆☆☆年 6月21日(水)曇りのち雨 日直 ささやく風と風

「目黒河」
廊下で名前を呼ばれた。あ、噂の哲くん。
「何」「ちょっといいかな」
哲くんの身長はわたしと同じくらいだった。みゆきの話によるとバレー部のレギュラーだという。みゆきはこのひとのどこが良いのだろう。
「あのさ、目黒河は知ってると思うけど、俺、みゆきのこと好きで、いろいろ誘ってるんだけど、断られ続けてて」「はあ」知り合って数十日で「みゆき」と呼ぶなんていい度胸だ。
「なんでだと思う?花火大会もおまえと行くって言ってるし」「うん」「目黒河、あいつのすきなものとかしらない?」そんな大事なこと、教えるはずがない。
「自分でききなよ」「そんな冷たいこというなよ、な?」「いやだ」「なんでもいいからさ、教えてよ」「……めぐちゃん?」みゆきだ。え、なんでそんな顔してるの。
「めぐちゃんが、哲くんのことすきだったの?」「は?」「だからわたしが哲くんと遊びに行くの妨害したの」妨害だと、思っていたの。
「みゆき、」泣いてる。待って、泣きたいのはこっちだ。
「わたし、花火大会、哲くんと行くから!」走り去っていくみゆき。

あれから『ときめいてZUSHIO展』へ行って、遠くの映画館に近くの商店街、みゆきの家でのテスト勉強会(という名の小さなお茶会)、わたしの家でのテスト見直し会(という名の小さなお茶会)……全部全部みゆきが、哲くんが誘う予定よりわたしといたいって選んでくれてるものだと思っていたのに。

「何があったんだよ」と口の端を上げていう哲くんとやらに返事をする気力も残っていない。嫌われてしまったんだ。

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☆☆☆年 5月17日(火)晴れ 日直 あおいろの鳥と鳥

「実はね、めぐちゃん」
急にみゆきの声が小さくなったので、思わず唐揚げを持つ箸が止まる。
「何」「花火大会はめぐちゃんと行くって言ったら、哲くん、次の土曜日遊びに行こうって」
「次の土曜?」聞くと、うん、と頷く。「返事したの?」「えっと、、」
ごまかすように口にものを入れ続けるみゆき。ってあれ、そのたまごやき。
「みゆき食べてるのわたしのお弁当だよ」「えっ!」なんて動揺っぷり。「うわああああごめん!」かわいい。
「OKしたの?」「うん、、」
なんだって!
今度はわたしがひたすらお弁当を食べ続けなければならなくなった。「めぐちゃんそれわたしのお弁当だよ」「嘘」「わざとでしょう」「違うって」
いつもみたいに笑いあってから、少しの沈黙が流れる。
「めぐちゃんどうかしたの」どき。
言おうか言うまいか迷ってたけど。
「次の土曜までなんだ、『ときめいてZUSHIO展』」「え」「みゆき誘おうと思ってたけど、」「行く!」みゆきはぱっと前に乗り出して、きらきらの瞳。箸をつかんだままのわたしの手を両手でつつんだ。
「いいの、哲くんは」「うん!一緒にいこうね、いつもの神社のとこで待ち合わせする?」さくさくと予定を決めていくみゆき。
どうか決断のきっかけが、ZUSHIOじゃなくてわたしでありますように。